座談会御書講義

座談会御書「妙密上人御消息」講義(2022年8月度)

日本国の中にただ一人、南無妙法蓮華経と唱えたり。これは須弥山の始めの一塵、大海の始めの一露なり。二人・三人・十人・百人、一国・二国、六十六箇国、すでに島二つにも及びぬらん。今は謗ぜし人々も唱え給うらん。また上一人より下万民に至るまで、法華経の神力品のごとく、一同に南無妙法蓮華経と唱え給うこともやあらんずらん。

日蓮は、日本国の中でただ一人、南無妙法蓮華経と唱えた。これは須弥山となった始めの一塵であり、大海となった始めの一露である。二人、三人、十人、百人、一国、二国、六十六ヵ国まで広がり、すでに二島にまで及んでいるであろう。日蓮を謗っていた人たちも、今は、題目を唱えているだろう。また、日本国の上一人より下万民に至るまで、法華経の神力品第21で説かれている通り、一同に南無妙法蓮華経と唱えることもあるだろう。

背景と大意

今回、みなさんと学んでまいります「妙密上人御消息」は、日蓮大聖人が55歳の時に身延で書かれた御書です。

妙密上人については、詳しいことはわかっていませんが、折々に大聖人に御供養を続け、夫婦で強盛な信仰をされていたようです。

このお手紙は、妙密上人の真心の御供養に対して、その功徳の大きさを詳しく説明し、妙密上人夫妻を最大限に激励された内容となっております。

簡単に本抄全体の流れを紹介します。

まず妙密上人が届けた御供養に対して、人に食を施す功徳について述べられます。

次に、日本に仏教が伝来した経過を伝えた上で、末法には必ず南無妙法蓮華経の題目が広がると述べられ、大聖人ご自身が経文の予言通りの大難を受けられたこと、そしてそれは末法の御本仏の証拠であると宣言されます。

つまり、妙密上人が御供養したのは、他の誰でもない、末法の御本仏に対してである、ということを証明され、いかにその功徳が大きいかということを示唆されています。

そして、法華経を賞賛すればするほど、ますますその功徳は増えていくと述べられて本抄を結ばれています。

今回の拝読御文は、日蓮大聖人が末法の御本仏としての、一人立つ戦いを示され、南無妙法蓮華経のお題目が必ず広宣流布されることを述べられた箇所です。

大聖人の民衆救済の情熱を一緒に学んで参りましょう。

解説

始めに「日本国の中にただ一人、南無妙法蓮華経と唱えたり」とあります。大聖人は民衆救済のために、たった一人で立ち上がられたのです。

その一歩によって、現代にまで連なる世界広宣流布への道が始まったのです。

続く御文に「これは須弥山の始めの一塵、大海の始めの一露なり」と仰せです。

須弥山というのは超巨大な山のことだと思ってください。

大聖人はご自身をその超巨大な山であると言っているのではなく、一塵、つまり山の構成要素のたった一つであると表現されています。

なにゆえ、ご自身をそのような一塵、一露と表現されるのか。

これは、広宣流布は、「一人」からまた次の「一人」へと、一人一人の生命を呼び覚ましていく活動だからであると拝せられます。

二人・三人・十人・百人、一国・二国、六十六箇国、すでに島二つにも及びぬらん」とある通り、大聖人の一人立つ戦いは、立宗以来の闘争によって、お題目を唱える人が、二人・三人・十人・百人と次第に増えたのです。

そして、一国・二国の地域へと広がり、やがては、日本のすべてである66ヵ国と壱岐・対馬の二島にまでお題目の波動は及びました。

今は謗ぜし人々も唱え給うらん」との仰せは、最初は誹謗していた人たちも、大聖人が予言された「自界叛逆難」と「他国侵逼難」が的中してからは、認識を変えていったことを表していると拝されます。

厳しい迫害に対しても屈することなく戦い続ける姿を通して、敵をも味方に変えていったのです。

また上一人より下万民に至るまで、法華経の神力品のごとく、一同に南無妙法蓮華経と唱え給うこともやあらんずらん」とあるのは、法華経如来神力品第21に説かれている、全ての民衆が合掌して祈ったとされるシーンにことよせて、広宣流布が達成された未来を予言された御金言です。

創価学会は、本抄にある「これは須弥山の始めの一塵、大海の始めの一露なり」との仰せのままに、一人から一人へと語り抜いてきました。

どこまでも大切なのは、一対一の人間味ある励ましと信心の触発です。

自分自身が一人立ち、そして目の前の一人を励ましていく。

その闘争の中にこそ広宣流布の実現あるのではないでしょうか。

池田先生はつづられています。

「『誰か』ではなく『自分』が厳然と立つ!ここに創価の青年の本懐があります。大切なことは真剣な『一人』になることです。他の人がどうかではなく、自分が勇気を奮い起こして、『心の壁』を破り、拡大の対話へ打って出ることです。今日の広宣流布の大発展の基盤は、そうした草創の同志たちの必死の戦いから、限界の壁が破られ、築かれていったのです。強き祈りを根本に、友の幸福を願って対話に挑むならば、そこから新たな広布拡大の突破口は必ず開かれます」

まとめ

友を励ますのにも健康が大切です。

まだまだ残暑厳しい時期であり、流行病のリスクも依然として高いと言われています。

健康第一で、同志や友の幸福と健康・無事故を真剣に祈りつつ、一人立つ人材として、地域に幸福の連帯を拡大してまいりましょう。

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