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桜と絵本と豆乳と

先週のらんどくラインナップ

2021年09月19日 | 読書
 まさに「らんどく」と思ってしまうラインナップだ。

『一人称単数』(村上春樹  文藝春秋)

 著名な作家の長編小説類には縁がなかった。短編集やエッセイ等はいくらか読んでいる。昨年発刊されたこの本は8篇収められているが、実は今回も正直引き込まれる面白さや高揚感は持てないまま読了した。ただ心にずっしりとした重みが残るのは確かだ。設定の傾向としては、ありがちな日常からの変質、または偏執的な登場人物、色彩感は乏しいが明暗のくっきりした言動などか。それにしても音楽や野球に対する溢れ出る嗜好があるので、似た趣味の読者にはたまらないかもしれない。




『えほんのせかい こどものせかい』(松岡享子 文春文庫)

 なんと単行本は1987年の刊。それが30年後に文庫化されていた。絵本について基礎的な学習ができる一冊といってもいい気がする。古臭さは感じない。対象となる子どもの実態は年々変化してきているが、本質では揺らがない部分があり、発達心理の要素も学べる。その点で自分を振り返ると、読み聞かせの選書は新しもの好きな性格通りになってしまっている現状があるので、もうちょっと意識して「名作」を読み込んで取り上げてみようと思わせられる。今年中に集中して取り組んでみたい。


『杏の気分ほろほろ』(杏  朝日文庫)

 ちくま文庫の「杏のふむふむ」というエッセイ集が面白かった記憶があるので手にとった。大好きだったドラマ「ごちそうさん」や「花咲舞」「デート」が放映されている時期の、仕事に関した内容が多かったので、これも楽しい一冊だった。それにしても広範囲にわたる好奇心と集中力、そして独特のアプローチなど、女性版星野源では…と妙な妄想をする。伊丹十三賞をいつか取るんじゃないか。解説の脚本家森下佳子によると、武田鉄矢が内面に潜んでいるようだとも…。その発想も刺激的だ。


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