【続】肝機能指標と糖尿病[9] ALTとASTでは

韓国 南原市の健康診断データ追跡から,『GGTが高いほど糖尿病発症率が高い』のは,GGTが独立に発症因子となっているのではなくて,他の因子の結果としてGGTが高くなっているだけ ということがロジスティック回帰分析 (logistic regression analysis)により明らかになりました.

ALTではどうか

では,GGTではなく,ALTではどうなのでしょうか? 前回記事と同様に,ALTと発症率との関係をみるとこうでした.

しかし,ここから 純粋にALTの寄与分を見るために,やはり前回記事と同様,Model1~Model4にしたがって,他の因子の影響を取り除いた結果はこうなりました.前回同様 男性だけの分析結果です.

GGTの場合と異なり,ALTでは 考えられるあらゆる因子の影響を排除しても, Q3とQ4 では有意に発症オッズ比が高いことがわかりました.
すなわち『ALTが高いと それだけで糖尿病発症率は高くなる』と言えます

ASTでは

同様にASTについても検討してみると,AST高値になるにつれて多少糖尿病発症率が高くなるようにみえますが,

多くの他の因子の影響を排除してみると

ASTの場合は,どの分位(グループ)でも有意差はありませんでした. したがって ASTの高低は,それだけでは糖尿病発症に影響しないということになります.

以上のデータは,すべて男性の場合の結果でした. ところが女性の場合は 少し様相が異なります.

[10]に続く

コメント