“隈研吾”一行院 丸瓦の片流れ屋根を持つ寺院とオートメーション化された都市型屋内墓苑

“隈研吾”一行院 丸瓦の片流れ屋根を持つ寺院とオートメーション化された都市型屋内墓苑

2020年12月29日

概要

一行院千日谷会堂(正式名:永固山一行院千日寺)は東京都信濃町にある浄土宗の寺院。江戸初期の譜代大名永井直勝が屋敷内に一行院を設立したのが起源とされています。昭和37年に首都高速の建設に伴う区画整理により、鉄筋コンクリート造に建て替えられましたが、約60年が経過し老朽化と耐震性不足から現在の施設に建て替えられました。

設計

基本設計・監修は「隈研吾建築都市設計事務所」、基本・実施設計・施工は「竹中工務店」、内装(本堂)は朱雀都市建築研究所が担当。隈研吾事務所による寺社に関わる建築では「赤城神社(新宿区)」、「瑞聖寺庫裡(港区)」などがあり、2019年には明治神宮内に「明治神宮ミュージアム」が建築されました。和をテーマとする建築では「根津美術館」、「那須歴史探訪館」、「那珂川町馬頭広重美術館」、「歌舞伎座タワー」など。都内の最新作としては「JR高輪ゲートウェイ駅」、「スターバックリザーブ®︎スロースタリー東京」などがあります。

社寺建築はその寺院の持つ長い時間軸で見ても、建て替え自体が頻繁にあるものではありませんが、都心においては伝統を大事にしながらも現代的な社寺建築も登場しつつあるように思います。隈研吾氏は和の現代的な作風と社寺建築としての歴史の関係において新たな接点を導き出しています。都内では新宿瑠璃光院白蓮華堂(竹山聖+アモルフ)、深川不動堂 翼殿(玉置順/玉置アトリエ)、神田神社文化交流館(KAJIMA DESIGN)など新たなが社寺建築として新たな展開を見せています。

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建築の特徴

建築はアルミの特注丸瓦により大きな片流れの屋根を持ち、エントランスは大きく伸びた庇の下に杉板を大和貼りとし、シンプルな形状がより素材の風合いを引き出し、メリハリのある印影を屋根や立面に落としこむことに成功しています。院は都会的な屋内形式となっており、本堂を含めて室内での参拝が主となっています。屋内も杉板張りと左官仕上げによる現代的な意匠が取り入れられています。納骨堂は自動搬送設備によって管理されているのも特徴で、前建物においても採用されていたロッカー形式の納骨の形式をさらに深化させ都会における寺院の在り方を示しています。

一行院のアプローチ。アルミの丸瓦の屋根に影が落ちる。右側には納骨堂がある。

アクセス

JR信濃町駅より徒歩1分。