古民家と並ぶ地域資源、農業を「命の循環の場」と位置づけ力を入れる。2町歩の稲田を抱え、畑ではナスやネギ、ズッキーニ、ジャガイモ、アスパラなど多様な作物を栽培。出荷しながら高齢者たちの食卓も潤す。3年前から無農薬で始めた地元産のニンニク「八幡平バイオレット」の販路開拓に忙しい。
農業は一般社団法人「すばる」で手掛けているが、ケアの利用者たちも野菜の収穫時には参加し、草取りなどで関わる。「生命のあり方を農業で考えたい。自然の中に人も含めた生死があるはずです」と高橋さん。
「農福連携」を視野に障害者就労継続支援B型事業所を設け、農作業に取り組んだこともある。だが、冬場の作業がないことや利用者が少なく、1年余りで撤退し苦い経験となった。
とはいえ、専業農家だったいとこという心強い協力者がいる。地域住民にとって農業は「普通のケア」を支える生活のベースでもある。生活の中に看取りもあると考え、多くの利用者を看取ってきた。「安心して死ねる場所でありたい」と強調する。「半農半介護という姿勢です」とヤギをなでながら語る。