風刺要素たっぷり映画ドントルックアップを鑑賞しました。
ブラックコメディとも言われていますが、そこまでコメディって感じしなくて。
むしろ結構リアルだなって思いました(結末を除いて)
私は序盤から感情移入してしまい、最後は隕石墜落系の映画としては斬新な展開に、新鮮味を感じ総じて面白いって感情になりました。
簡単なあらすじと私のネタバレ感想をお話ししますね。
ドントルックアップの概要・あらすじ
概要
- 監督:アダム・マッケイ
- 製作年:2021年
- キャスト:レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・ローレンス、ロブ・モーガン、ジョナ・ヒル、マーク・ライランス ほか
簡単なあらすじ
天文学者であるランドール・ミンディは、教え子の大学院生ケイトから巨大彗星の存在を報告される。なんと彗星が地球に衝突する恐れがあり、ことの重大さをホワイトハウスに報告することに。そしてテレビ番組にも出演するが、誰も耳を貸さない。途方に暮れた彼らは奔走するが、無慈悲にも彗星は地球へ近づいてきて・・・。
ドントルックアップのネタバレ感想
風刺的映画が好きな人にはきっとウケる作品。
私、こういうの好きなんで最後まで楽しめてしまった。
風刺映画・ブラックコメディ感
ブラックコメディというか、すっごい皮肉感たっっっっっっっぷり。これぞ風刺映画って感じでした。
彗星が地球に墜落だなんて、そんなん題材にするなら普通シリアスに仕立てそうだし、緊迫した状況が描かれがちですよね。
でもこの映画は、そんなことよりも、天文学者とその教え子がこの危機的状況を知らせようとしているのに誰も相手にしないってのがメインで描かれているのです。
そして結局「わかる人たちだけでいいよね」って、諦めの境地で自分たちの幸せだけを考えて最後を終えるって言う。(うん、それでいいと思う。)
で、なんでこれが風刺的かと言うと、現実的にありえるような人間の行動を映し出していたから。
普通に考えて、一般人よりもはるかに知識のある天文学者が言うんですから、一般人は危機的状況だと判断し避難したり解決法はないか真剣に受け止めるものと思うんです。
でも「そんなのあり得ない」という思考がすっごい働いていて、しかもあまりにことが大きすぎで、想像の範疇を超えて理解できない、だから考えることができない。
だから皆、笑ってスルーする。
(もちろんフェイクニュースなどの存在もあり、信じすぎるのもリスクって面はありますけどね)
教授たち、すごい必死こいて警鐘を鳴らしているのに、ついには笑いものにされる始末。そして命よりもお金、利益を選ぶという。
お金は単なる手段、と言われるけど結局はお金っていうところもブラック感がすごくありました。
しかも最後に、選ばれた人たちが特殊な宇宙船に乗って冬眠。(パッセンジャーをちょっと思い出しましたけれども)
そして何万年も経った後の地球上でのシーン。ちょっと進撃の巨人を思い出しましたね笑
でもそこで女性大統領は謎の地球上の生物に食べられてしまい、もはや人間とは・・・。
人間とは・・・・・・・・な状況・・・笑
そして彗星が墜落した後も皮肉。瓦礫の下から出席補佐官が奇跡的に生還。
生還したけども、周りには誰もいない。
生き残りたいと思っても生き残っても、結局全人類がいなければ生きてたってしょうがないんですよね。
ここで前半部分のイライラを消化できた人もいるのではないでしょうか。
(聞く耳を持たず馬鹿にした人たちの末路って感じで)
最後の最後までも皮肉たっぷりで面白かったです。
役者陣のハマりっぷり
レオさま、貫禄っぷりがすごかったですね〜。
落ちぶれた&ちょっとメンタル弱そうな科学者って雰囲気ムンムンだし、もうレオさまって感じじゃないですね。
というのも、ちょっと前までレオナルドディカプリオって王子様オーラがあったじゃないですか。(レヴェナントでもまだ王子様オーラがあったと思ってた私)
けど最近は全然感じない。単に年齢の問題じゃなくて、本当に役者感を感じる。
ジェニファーローレンスのケイト役もハマり役。個人的な偏見かもですが、彼女ってどうもチョイ悪な役柄がしっくりくる気がして。
今回の役柄も、見た目と度胸がある性格、ちょっと自暴自棄になりかけた部分がかなりさまになってたと感じました。
ただ、ティモシーシャラメに関しては、彼ってすっっっっごい王子様オーラってか貴公子オーラあるじゃないですか。かつてのレオさまみたく。
だから今回の役柄はちょっと不一致感あったかなぁ・・。身なりより、顔が目立ちすぎて・・・笑
正常性バイアス
彗星を信じる人と、信じない人と真っ二つに分かれちゃいましたね。
これって世界中でよくあることなんですよね。政治の思想だったり選挙活動だったり。
ルックアップ(見上げろ)ドントルックアップ(見上げるな)
ドントルックアップ=見上げるな、つまり現実を見るな ってこととも捉えられます。
超風刺感ありますね〜
現実を見るのは大切だけど、その現実があまりにも悲痛なものだったら直視したくないですよね。
問題を問題として受け止めず、目の前の幸せだけを選んでいきたいです。
何がどの情報が自分にとって正しいのか、精査するのも頭使うしまぁ大変ですし。
迫り来る危機が重要であればあるほど全人類が現実を見て、危機を感じるべきだと思うんですが、実際にはそうしない人の方がめちゃくちゃ多いと思っていて。
今回でいうと彗星が 地球に近づいていてあと半年後に衝突するっていうのを、自分よりもはるかに詳しい天文学者が警鐘を唱えている時点で、それはほんとに信憑性があるものなのか調べたり危機的状況かどうかって言うのを考えるべきことじゃないですか。
生きるか死ぬかの問題になるわけですから。
でもそれをしない。これぞ正常性バイアス!
この映画は実際にはありえないと思うかもしれませんが、でも、彗星とは言わずとも、現実こういう風になる場面って多いんじゃないかなーと私は思っちゃいました。
だから凄い風刺的だなぁって思いました。
そして現実を見る人と見ない人とでわかれる。
世の中って簡単に対立しちゃうから。
お互いが自分の意見は正しいと思っているし、そういった人たち同士でわかりあうなんて不可能に近い。
相手を言い負かしたり、論破したり、説得しようとしても不毛すぎる。だって互いが自分の意見が正しいと思っているんだから。
だったらもう自分たちの生活、自分の幸せだけを考えていこうって、この映画みたいな結末になるのも納得だし、ケイトの選択に私も賛成です。
自分の力ではどうにもならない、あとは流れに身を負かすってだけ。だって、彗星、止まりませんもの。
と言う感じで、久々に風刺的感満載な映画を見れて超楽しかったです。