鎌を研ぎ、草を刈る。
そして、昼にはそうめんの上につめたく冷やしたトマト、野菜直売所から買ってきた地物のキュウリなどを細長く切り、庭から採ってきた山椒の葉を散らせて、食べる。これが、夏らしくてよろしい。
昨日はエンジン式の草刈り機を昼前にちょっとだけ使ったら、午後は体が怠くて仕事にならなかった。やはり振動工具は若いころに罹った病気(白ろう病・学名は振動障害)の影響で、身体に対する負担が大きい。鎌ならば、翌日は腕や肩の筋肉が太くなったような気分になる。
直近4年ほどの間に、大胸筋断裂、肩鍵盤損壊、左アキレス腱断裂という大怪我を連続して体験したけれども、すべて回復した。その間、体力は少し落ちているような気がするが、全体的には健康体に戻っているようである。現在73歳。人間の躰は不思議な回復力を持っているものだと感心する。
前年に買った草刈機が故障。やむなく、大鎌を持ち出して、振り回してみた。すると思いがけないことに、鎌は何の無理もなく草を払い、錆だらけの刃を天空にきらめかせ、まるで腕の延長のごとく藪を刈り進むのである。数年前までは、その大きさと重さが負担となって、振り回すことも出来なかった大鎌である。柄が乾いて軽くなったことと、自分の体調がやや戻ってきたことの二つの要因が考えられる。もともと乾いた樫の枝を削って挿げた柄であるから、極端に軽くなることはあり得ない。後者を採ることにしよう。そのほうが気分がよろしいではないか。今年の夏で68才。年寄りの冷や水などとは言わせない。
今からおよそ45年前(2022年の現在から数えれば52年前)の夏。
さて、今日も鎌を研ごう。