2022年1月26日水曜日

「真なるもの(verum)と作られたもの(factum)とは言い換えられる」。数学は、甚だ明晰、厳密で、反駁の余地はないものの、それは我々の精神の自由な所産だからである。数学の命題が真実なのは、我々自身がそれを作ったからである。(ジャンバッティスタ・ヴィーコ(1668-1744))

真なるもの、作られたもの

「真なるもの(verum)と作られたもの(factum)とは言い換えられる」。数学は、甚だ明晰、厳密で、反駁の余地はないものの、それは我々の精神の自由な所産だからである。数学の命題が真実なのは、我々自身がそれを作ったからである。(ジャンバッティスタ・ヴィーコ(1668-1744))



ジャンバッティスタ・ヴィーコ
(1668-1744)














「この時代、ほとんどすべての人が、数学とは自然についての事実の知識の一形態であり、 あらゆる科学の中でも最も深遠・確実で啓示するところの大きいもの、粗野な五感にはとても 望めぬほどの能力を具えた形而上的洞察の対象、事物のしばしば曖昧で常に人を誤る外観を退 けて、その真の属性を明かす力を持った人間理性の誇り、と考えていたが、その時に、なるほ ど数学は甚だ明晰、厳密で、反駁の余地はないものの、それはわれわれの精神の自由な所産で あるからのこと、数学の命題が真実なのはわれわれ自身で作ったからである、と宣言するの は、まことに重大な一歩であった。ヴィーコの有名な一句「真なるもの(verum)と作られた もの(factum)とは言い換えられる」はこのような意味なのである。ヴィーコがこの原理を 表明した時に列席していた名士たち、ナポリ総督やグリマーニ枢機卿が、果たしてこの発言の重大性に気づいていたかどうかは、大いに疑ってよいであろう。この点では、彼らも当時の学 者、いやその後の知識人たちとも変わりはなかったのである。」
 (アイザイア・バーリン(1909-1997),『ヴィーコとヘルダー』,ジャン・バッティスタ・ ヴィーコの哲学上の諸観念,第1部 全般にわたる理論,2,pp.56-57,みすず書房(1981),小池 銈(訳))
アイザイア・バーリン
(1909-1997)





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