ドラクエ考察はくぶつかん

ゲーム内では語られていない疑問点について考察します。ネタバレ注意。

【ドラクエ4】ガスのつぼの中身を考察

Hatena Feedly

f:id:Katsuox:20210207110334j:plain

ドラクエ4のエスターク神殿において入手できる重要アイテム「ガスのつぼ」

リバーサイドにいる研究者に渡すことで気球を入手することができます。

このガスのつぼの中には何が入っていたのか考察します。

ドラクエ4に登場する気球の種類

気球はその原理によって主に「熱気球」「ガス気球」の2種類に分けられます。

熱気球は空気を暖めて膨張させることで浮力を得る方式。

ガス気球は空気より軽い気体を充填することで浮力を得る方式。

ガスのつぼによって開発を完成させたということは、完成品はガス気球であると考えるのが自然です。

リメイク版で見られる気球、あるいはドラクエ4の気球に関するイラストを見ると熱気球に特有なバーナー(炎を焚き上げる装置)らしきものが見当たらないことからも、ガス気球であることに疑いの余地はありません。

ちなみに、現実世界において世界一周するほどの超長距離飛行を達成している気球は熱気球とガス気球のハイブリッド型で、より高度な「ロジェ型」と呼ばれる気球のみ。

このロジェ型もバーナーを有するため、やはりドラクエ4のものとは異なります。繰り返しになりますが、ドラクエ4に登場する気球は通常のガス気球で間違いないでしょう。

世界を股にかける旅をする勇者一向のことを思えば、気球がロジェ型ほど高度でないことに少し不安が残ります。

また、現実世界では気球の開発を巡る過程で墜落事故によって命を落とした人々の実例もあり、実用化への道は困鮮を極めた歴史があります。

ドラクエ4の時代では安全な飛行に関するノウハウも充実していないであろうガス気球。飛行実績の乏しい乗り物で世界を旅するのはいささかリスキーなように思えます。

ガスのつぼの中身の候補

ともあれ実際に勇者一行は気球による空の旅を実現しているので、本題のガスのつぼの中身について考えます。

ガス気球の主な動力は水素やヘリウム

現実世界でガス気球が開発された当初、浮力を得るために用いられていた気体は主に水素でした。

しかし、水素は可燃性で安全面に不安があるため(過去には爆発事故の例も)

現在ではより安全性の高いヘリウムが主流となっています。

となると、ガスのつぼに入っていた気体は水素かヘリウムだったのでしょうか?

ガスのつぼの中身は石炭ガス

ここで注目したいのがガスのつぼを「見せる」(あるいは「見る」)コマンドでトルネコに鑑定させた場合の反応。

『ふむ……? なんでしょうか このガラクタは。
うえっぷ! あまり長く持っていると ガス中毒になりそうですな。
う~~~む。なんだかわかりませんが これは店屋でも 引き取ってくれないでしょう。』

スクウェア・エニックス『ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち』より

トルネコ

この発言内容から不快感を示している様子が伺えます。何らかの刺激臭があるということなのでしょう。

水素やヘリウムは無色無臭の気体であるため、このような反応は不自然です。

では、ガスのつぼの中身はなんだったのか。

 

「石炭ガス」が最も有力な候補だと考えます。

石炭ガスは19世紀、チャールズ・グリーンらによってガス気球に用いられた実績がある気体で、「11人を乗せて飛行」「約500マイル(770km)の飛行を達成」などの記録を残しており(それぞれ別の飛行機会ですが)

最大10人になる勇者一行を乗せての長距離飛行もあるいは可能かもしれない、と思わせてくれる内容となっています。

(もし馬車が気球に乗っているとなると重量オーバー感は否めませんが…)

 

加えて、上述したセリフの中でトルネコは「ガス中毒」という表現を用いていますが、まさに石炭ガスに含まれる一酸化炭素はガス中毒の原因となる気体であり、特徴が一致します。

前提として、刺激臭を持つ気体すべてがガス中毒を引き起こすわけではありません。にもかかわらずトルネコがガス中毒になりそうだと判断したのは、石炭ガスの独特な臭いを識別できたからに違いありません。

アッテムトの地下に存在していたことの意味

さらに、ガスのつぼが眠っていたエスターク神殿は炭鉱の町であるアッテムトの地下に位置しているため、石炭との関連が強いことの信憑性はより高まる・・・かと思ったのですが、ガスのつぼはエスタークがその機能に脅威を感じて封印したとのことなので、元からあの場所にあったわけではなさそうです。

しかし、本当にこの位置関係はただの偶然なのでしょうか。

仮に偶然だとしても、エスターク神殿に何やら充満しているガス(=アッテムトを壊滅に追いやった有毒ガス)は実は石炭ガスで、長年石炭ガスが充満する環境にさらされ続けたガスのつぼは内部にガスを蓄積し続けていた…とは考えられないでしょうか。

その結果、石炭ガスを無尽蔵に排出する装置が完成したのかもしれません。

 

残念ながら、さすがにこのガスのつぼの原理は現代の科学では説明がつきそうにありません。

ガス気球の旅の問題点

余談ですが、(石炭ガスの)ガス気球の懸念点として

  1. 火気厳禁。安全面に不安あり
  2. ガス気球の高度調節の困難さ
  3. 横方向への推進力がない

などが挙げられます。

石炭ガスの可燃性に関する安全面の問題

1つ目は上述した水素を用いたガス気球と共通の問題点。まず勇者一行が火気厳禁であることを知っているかどうかが疑問ですし、知っていたとしても万全な体制を整えるのは意外と難しいもの。摩擦による火花で着火することも考えられますし、取扱いには神経をすり減らしそうです。

もし気球を飛び立たせる準備中にモンスターの襲撃を受けて、戦闘中に火が使われてしまう大惨事になっても不思議ではありません。

高度調節の技術に関する問題

2つ目はガス気球が自動で最適な高度を保ちながら飛行してくれるわけではない点。

気温の影響を受けて浮力が変化しますから、浮かび上がった後も常に高度に気を配っておく必要があります。

高度を上げたい時はバラスト(あらかじめ気球に積んでおくおもり)を手放すことで、逆に高度を下げたい時は気球の上部からガスを抜くことで対応できます。

単純なようですが、離着陸時の対応や急激な浮力の変化への対応、障害物への対応など、迅速な判断やデリケートな操作が求められる場面もあるでしょう。

また、この性質上、ガスかバラストのどちらか一方でも使い果たしてしまえば飛行を続けることができなくなります。

もしかするとゲーム上では連続飛行しているように見えて、実は定期的に離着陸を繰返しているのかもしれません。

 

このような条件を踏まえると、なんの訓練もなしに適切な高度調節を行えるとはとても思えません。勇者一行はリバーサイドで開発者からこの辺りのレクチャを―受けていたのでしょうか。

特にそのような描写はありませんでしたが、手探りで操作技術を身に着けたのであればさすがの一言に尽きます。

風任せであることの問題

最後に、気球は基本的に風任せな乗り物であり、行きたい方向に狙って動かすことができない点。

プレイヤー目線では行きたい方向に自由に動かすことができますが、実は作中ではゴッドサイドや世界樹への到達は困難を極めたのかもしれません。

まとめ

以上、ガス気球で世界を旅することには多くの懸念点があり、勇者一行の用途では解決しがたい問題が多く含まれるにもかかわらず、あたかも自由な空の旅が実現できているように見える・・・という謎の多い話になってしまいました。

が、今回のテーマである「ガスのつぼの中身は石炭ガス」という部分は理に適った結論ではないでしょうか。