※この記事ではクラブスーサイド(完全版)、舞渕明陽さんのシナリオついてのネタバレが多く含まれます。
記事を読む前に、以下の注意文を読んで頂けますと幸いです。
- センシティブな内容なので、今回は一部表現を伏字にして書きます。
- 自〇など死生観に関連する言葉に不安・抵抗がある方、またそういった趣旨のゲームを不快に思う方はブラウザバックをお願いします。
- プレイした感想を語る上で、妄想を含んだ考察を語っています。
- 思いっきりネタバレしています。素敵な作品なので、是非ご自分でプレイしてから読んで頂けると嬉しいです。
今回は百合を愛する副生徒会長、でも内面は…?な個人的にホラーゲームをやっている様な心地でプレイした
舞渕明陽さんの自〇エンド終幕18「元凶」エンドを中心に紹介&考察したいと思います。
また、記事には一部スチル画像が出ます。
ですが、立ち絵以外は編集してなるべく全部は見せないようにしています。
それでも「少しでもネタバレされるのは嫌!」という方はブラウザバックお願いします。
各キャラの考察記事も書いているので、お時間があれば読んで頂けれると幸いです。



クラブスーサイド関連でネタバレなしの記事が読みたい方は、以下の記事をおすすめします。


クラブスーサイドとは
まずはクラブスーサイドについて、あらすじと全体の流れを説明したいと思います。
今回は簡潔にまとめますが、詳しいあらすじを見たい方絵馬君シナリオの記事をご覧下さい。

主人公は希死念慮がある引きこもりで友達ゼロの高校2年の女の子、新堂林檎ちゃん。
久々に登校したある日、「クラブ・スーサイド」という張り紙に偶然見つけます。
林檎ちゃんは軽い好奇心で、集合場所である第3会議室へ足を運びます。
張り紙を見て集まったのは、林檎ちゃん以外に男子生徒が5人。
本気で自〇を考えている5人とは対照的に、林檎ちゃんは怖気づき「死にたくない」と思い直します。
それと同時に、林檎ちゃんは「どうして他の5人は死を望むのか」が気になってしまいました。
本気で自〇を考えている男子生徒5人(+追加シナリオ1人)の行く末を見届ける為に、
「死にたくない主人公」が「死にたい男子生徒」と1週間行動を共にする物語です。
舞渕明陽さんについて
まずは今回紹介する舞渕さんについて。
舞渕さんは主人公の林檎ちゃんと同じ2年生で生徒会副会長です。
しっかり者で誰に対しても友好的に接しており、クラブスーサイドにおいても司会の役割を果たしています。
家族構成はお父さん、お母さん、3歳差の妹さんの4人家族です。
妹さんに相談があると頼まれればメンバーと遊ぶより帰宅を選ぶくらい、兄妹仲は良好なようです。
表向きは非の打ち所がない優等生ですが…
よく見ると耳には複数のピアス。
胸にはタトゥーが彫ってあります。
シャツ一枚だと雨とか夏に汗で透けてバレません?
おまけに、過去に生徒を虐めた教師を左遷に追い込んだり、大人に対しては反抗的?攻撃的?な一面もあるようです。
そんな舞渕さんですが、自〇の理由は「自分が死ぬ事で、一番大事な人達が幸せになれると思ったから」。
ですが、林檎ちゃんと同じく死ぬ事自体は怖い。なのでこの1週間で「死の恐怖を克服したい」との事。
そんな舞渕さんに話しかけようとした林檎ちゃんですが、下駄箱を見れば舞渕さんを既に下校していました。
なので諦めた林檎ちゃんですが、何気なしに寄った図書館で偶然舞渕さんと再会します。
舞渕さんが手に持っていたのは…「世界の百合全集」。
そう、舞渕さんは女性同士の恋愛が好きな百合厨だったのです。
舞渕さんの意外なオタ的嗜好に驚きつつ、林檎ちゃんは舞渕さんに「百合探しの旅」を依頼されます。
具体性のないお願いに困惑する林檎ちゃんを察してか、舞渕さんは説明します。
「まだ見ぬ美しい百合を見つければ死を克服出来る」
「でも自分は汚れているから一人で見つけるのは不可能だ。だから、綺麗な君に手伝って欲しい」との事。
普通ならそんなお願いはお断りしそうですが…
好奇心を動かされてしまった林檎ちゃんは、その提案を承諾します。
汚れと苺
後日、林檎ちゃんは舞渕さんに呼ばれます。
サラッと舞渕さんが普段から百合妄想をしている事を暴露しつつ、
舞渕さんは林檎ちゃんの知恵を借りて別の視点の百合をご所望の様です。
話をする為に空き教室へ入った後、百合探しの旅をする前に林檎ちゃんは尋ねます。
「何故舞渕さんは、自分が汚れていると感じるのか。」
それに対して、舞渕さんは例え話で答えます。
ファンタジー作品では復讐すべき黒幕が自分の血縁、又は同等の存在だった場合、
創作物なら「俺はお前とは違う!」と言える。
だが、現実はそうはいかない。
だから自分は汚れているのだ…と。
この答えと同時浮かべた笑みには「これ以上深入りするな」という警告にも感じて気圧され、会話は一旦終了。
その後、ロマンチストだと自称する彼に苺の季節だと話を振ると…
舞渕さんは苺が好きというを教えてくれます。
ですが、「すき」という言葉とは対照的に…その表情は真顔です。
せっかく話題に出たので、二人は人気の苺大福をコンビニで買ってお花見をする事に。
苺大福を見つめながら舞渕さんは自分の昔話を語ります。
舞渕さんは、幼い頃から苺は林檎などの赤い果実が好きでした。
しかし、身内(恐らく父親)に「赤い果実が好きなんて女みたいだな」と揶揄われたそうです。
それ以来、舞渕さんは素直に果実が好きと公言出来なくなってしまっていました。
そして、そんな些細な言葉に傷つく自分に自己嫌悪を抱いている様です。
それを語る舞渕さんには、先ほどのような黒い感情は感じず…寧ろ悲しそうな表情をします。
そんな舞渕さんに対して、林檎ちゃんは憐れんだり同情する事無く、「私も似たような事あります。」と返答します。
舞渕さんとしては意外な返答だったようで、一瞬だけ素の舞渕さんが顔を出します。
その言葉に感謝を述べたあと、やはり林檎ちゃんは綺麗だと称賛します。
そんな林檎ちゃんに舞渕さんは、「罪は生きて償うべきか、死をもって裁かれるべきか?」と質問します。
その問いに対して林檎ちゃんは、「過去の行いは変えられない、だからこそ生きて償うべ。」と返答します。
それを聞いた舞渕さんは、どこか満足そうな表情をしまいした。
刺青と黒い百合
クラブスーサイドでの中間報告の日。
この日は舞渕さんは急用で先に帰ってしまった為、林檎ちゃんは2次会として右睡さんと枢姫さんの3年生組でファミレスに行く事に。
せっかくなので、舞渕さんの印象を右睡さんに聞いてみると…。
話をまとめると、右睡さんは舞渕さんが自分を偽っていると感じているようです。
表向きは善良であろうとするが、自分の負の面から目を逸らそうとしている。
傷ついた経験があるからこそ人に優しくなれる様に、負の面自体は決して悪い事ではない。
それなのに、舞渕さんは初めからソレが自分の中の存在していないように振舞う人だと。
そして舞渕さんは、そんな自分の負の面を閉じ込めたまま自〇する気なんじゃないかと推測します。
右睡さん的には一人の人間として舞渕さんは苦手なタイプのようですが、
何となく舞渕さんには生きて欲しいと思っているそうです。
そんな右睡さんらしい仲間想いの言葉を聞いた後、林檎ちゃんは彼の質問に答えるだけではなく、
自分も自発的に行動して少しでも舞渕さんを理解したいと思い立ち、行動に移します。
3年生組と別れた後、向かったのは古書店でした。
何か百合を理解出来る本は無いかと探していたところ…
人気のない本棚の中で、感情が消えた表情で白い紙を見つめる舞渕さんを見つけました。
とても声を掛けられる雰囲気ではない上、シャツの隙間から刺青が見えていました。
それを見た林檎ちゃんはふと、心療内科的にはピアスや刺青は自傷行為の一部だという説を思い出します。
直感で今の彼と会話するのは危険だと感じた林檎ちゃんは、静かにその場から離れます。
これがホラーゲームならここからあの舞渕さんと鬼ごっこが始まりそう(;´Д`)
その途中、一冊の本を見つけます。
内容は思春期の少女二人の物語。大人になりたくない少女と、そんな彼女に憧れる少女の話でした。
結末は作者が事故○したので未完成ではありますが、林檎ちゃんは時間も忘れて読み耽っていました。
汚いものを憎み目を逸らす舞渕さんが、大人になりたくない少女と重なったから…。
向き合う二人
後日、昨日より少しやつれた舞渕さんと学校の玄関で待ち合わせします。
現れた舞渕さんはあの日の様に眼鏡をしていませんでしたが、雰囲気は普段通り。
舞渕さん的には林檎ちゃんとお話するのが好きなようで、今回はお茶に誘われます。
到着した喫茶店は舞渕さんがおすすめするだけあって静かで良さげな雰囲気。
そこでまた、お花見の時の様に舞渕さんに2択の質問をされます。
今までなら、そのぼかした質問に素直に答えていた林檎ちゃん。
ですが…本当の舞渕さんを見てしまった今では、不思議とかったるさを感じてしまいます。
毎回遠回しな質問を投げかける舞渕さんに痺れを切らした林檎ちゃんは、
思い切って「はっきり言ったらどうですか?」と逆に質問をします。
その後、怒るでもなく悲しむでもなく…ねっとりとして背筋を凍らせる声で話す舞渕さん。
急に雰囲気が変わった舞渕さんに、林檎ちゃんはビビり散らかします。
しかし、昨日林檎ちゃんに刺青を見られていた事に素直に驚くと…少しだけいつもの舞渕さんに戻りました。
本人も自傷行為寄りの行動だという自覚があるが、辞められないし刺青を入れた事を一切後悔していないとの事。
そのまま空気が変わるかと思いきや…
舞渕さんは、今の会話で林檎ちゃんが死ぬ気が無い事を見抜いてしまいます。
色さんシナリオでも、林檎ちゃんは即座にバレてましたね。
色さんと舞渕さんの観察力が凄いのか、林檎ちゃんが分かりやすい部類なのかどっちなんでしょうね。
林檎ちゃんの動揺を肯定と捉えた舞渕さんは、「……やっぱり貴女は、本当に、本当に…綺麗だね。」と真っ黒な瞳で呟きます。
このまま舞渕さんに敵認定されてしまうか…と思いましたが、「綺麗」という言葉で…昨日購入した本を思い出します。
その本を思い切って舞渕さんに差し出すと、突然の行動に流石の舞渕さんも動揺を隠せませんでした。
林檎ちゃんは自分の気持ちを吐露します。
「今まで質問されたけど、舞渕さんが具体的にどうしたいのかが見えない。」
「自分自身を見つめ直すのは嫌で辛いのなのは分かる、それなら似たものを参考にすればいい。」
「この本の登場人物は舞渕さんに似ている。この登場人物を通して、自分を見つめ直して欲しい。」
「自分自身に向き合わないまま自〇してしまうのは、一番ダメな事だと思うから。」
舞渕さんは、林檎ちゃんがそこまで自分の自〇について考えてくれていたとは思っていなかったようです。
林檎ちゃんが軽い気持ちでお手伝いを引き受けたわけではないと伝わったのか、
舞渕さんはその本を受け取り、後日感想を共有したいと言ってくれます。
その後仲直りをした二人は、数時間前より素の自分を出して仲良く喫茶店で過ごすのでした。
家族の偽善
※此処から先はフラッシュバックが起こりかねない表現が多く含まれます。
精神状態が良くない場合、上の目次からこの項目をスキップしてください。
五日目、休日に林檎ちゃんは舞渕さんは外で待ち合わせをします。
昨日林檎ちゃんが渡した本の感想を聞く前に、舞渕さんは苺狩りに誘います。
春らしい日差しの中、二人は和やかな雰囲気で苺狩りを楽しみますが…終り際、舞渕さんは本の感想を告げます。
林檎ちゃんの事を舐めていたと。
あの本を勧めてきた林檎ちゃんには、もう隠す事はないから打ち明けたいと。
しかし、話の途中で大雨に降られてしまい、二人で近場で雨宿りをします。
二人きりの空間で、舞渕さんは林檎ちゃんに今まで遠回し語っていた自分の懺悔を聞いて欲しいと頼みます。
舞渕さんの家庭は前述したように4人家族です。
お父さんが溶接系の工場長、お母さんは専業主婦兼WEBカウンセラー。もうすぐ中3になる妹さんです。
特別お金持ちでも貧乏でも無く、ごく一般的な家庭でした。
幼い舞渕さんの目には両親は完璧な人間だと思っていました。ですが…ある日違和感を持ちます。
そして気付きました……お父さんが偽善者だという事に。
舞渕さんのお父さんは、会社や外では外面が良い人でした。
ですが…家ではその本性を現します。
お父さんは酒癖が悪く、飲酒すると舞渕さんのお母さんと妹さんを口で嬲り始めます。
ですが狡猾なので、直接的な暴力は無い代わりに毎日暴言が繰り返されます。
日に日に疲弊するお母さんと妹の様子を見た中学生の舞渕さんは、その愚行を止めるべくお父さん本人に直談判します。
舞渕さんとしては、その場で殴り合いの大喧嘩をするなり、次の日からお父さんの態度が変わってくれればと思っての行動でした。
ですが…結果は失敗。
お父さんはその場凌ぎに謝罪し、舞渕さんを抱きしめますが…今の生活を改善する気は微塵もありませんでした。
舞渕さんをそんなお父さんの姿に落胆したと同時に、お父さんの気持ちも解ってしまいました。
お父さんは理由があって母と妹を憎んでいる訳では無く、愛していてあの状態なのだと。
お父さんが自分を愛している事は自覚している、だからこそ自〇してお父さんに傷跡を残してこの状況を変えたいと。
ですが…舞渕さんは生きたいと思っています。大人になりたいと思っています。
しかし、自分がお父さんの様に成長していくと思うと、今はもう死しかないと葛藤しています。
そんな相反する感情を抱えるのは苦しく、生きたいと思える林檎ちゃんに死ぬほど嫉妬していると語ります。
それを聞いた林檎ちゃんは、これが舞渕さんに掛けられた呪いだと理解します。
それも、舞渕さんが純粋だからこそ生まれたもので、懺悔と名付けられたソレを聞いて出た最初の言葉は…。
感謝の言葉でした。
普通ならば、此処は同情したり慰めたりする場面でしょう。
ですが、この時は林檎ちゃんは本当の気持ちを話してくれた舞渕さんに感謝の言葉を述べます。
そして、この先舞渕さんがどんな選択をしようと、全て肯定すると言葉を贈ります。
そんな林檎ちゃんを見て、舞渕さんは最期の質問をします。
「人生とは何なのか、どうして百合が綺麗に見えるのか。」
林檎ちゃんは答えます。
人生とは、呪いの共有だと。
人生とは色々な人の呪い(思想や愛などの感情)に触れる事。
それが本当に呪いになるか、祝福になるかはその人の感じ方次第。
だからこそ、愛を呪い祝福される百合(自分が理想とする人生)は綺麗に見えるのではないかと。
その答えを聞いた舞渕さんは「ありがとう、貴女に出会えてよかった。」と感謝の言葉を述べた後…
「恐怖が消えたよ。」と呟くのでした、
鏡に映るは真の敵
※此処から先は非常にショッキングな表現が多く含まれます。
流血描写が苦手な方、また精神状態が良くない場合、
上の目次からこの項目をスキップ or ブラウザバックをお願いします。
念のため下げておきます。
最終日、最初の流れは絵馬君シナリオと同じで、会議室の前で舞渕さんと絵馬君と軽く話して解散します。
卒業式が無事終わり、舞渕さんの送辞は好評だったようですが…卒業生である右睡さんと枢姫さんは欠席。
喰ヶ島さんの姿も見えませんでした。
放課後、誰も居ない廊下を一人歩きつつ、林檎ちゃんは舞渕さんを探します。
例の張り紙がある場所まで行くと、そこに舞渕さんが居ました。
舞渕さんに心は決まったかと聞けば、もうやる事は決めている様子。
そんな舞渕さんに対して、林檎ちゃんはあの雨の日に言った時と同じように、
「自分が正しいと思うようにやればいいと思います」と支持する言葉を贈ります。
それに対して舞渕さんは嬉しそうに微笑んで感謝の言葉を述べた後、「決意したら、伝えるね」と意味深な言葉を残して去っていきます。
その後、視点は舞渕さんに変わります。
舞渕さんは林檎ちゃんに「ありがとう 来世は綺麗な百合になるよ」と手紙を贈りました。
本人曰く、それは見栄っ張り故の行動。本当は未だ自〇の恐怖は残っていました。
大事な事がいつも言えないし言わないのは悪い癖だと自虐しつつ、舞渕さんは近所の公園を訪れました。
そのまま公衆便所に向かえば、バッグから包丁を取り出します。
此処まで来れば覚悟が決まるかと思いきや、寧ろ一層恐怖で体は震えて呼吸は荒くなり、涙が零れ落ちます。
心の中では、未だ死への恐怖心を抱えた自分を否定の言葉ばかりが浮かんできます。
ふと顔を上げると…鏡に映るのは怯えた自分の姿。
そして気付きます…本当の敵は父親ではないと。
本当の敵は…父を改心させられなかった。
母や妹に対して何もしなかった、何も出来なかった舞渕さん自身だと。
そう思ってしまえば…やる事は一つでした。
舞渕さんは鏡に包丁の柄を当てて、自分の体に何度も包丁を突き刺しました。
顏、喉仏、脳が傷ついていく中、舞渕さんは自分がこの世界から消える事に、
自分の血が公衆便所という汚い場所に滴り落ち、そこに自分の体が崩れ落ちる様を想像して笑みが零します。
何も自分を傷つけながら「さようならだ!」と連呼し、「俺と共に心中しろ!」と叫びます。
その言葉を最期に…画面は暗転しました。
視点は林檎ちゃんに戻ります。
ニュースでは、公園で惨〇〇体が発見されたと報道されていました。
特に頭部の損壊は酷く、身元不明とされています。
ですが…林檎ちゃんはその少年の正体を察してしまいました。
林檎ちゃんは舞渕さんからの手紙を再び読み返しますが、綺麗な百合になれたとは到底思えませんでした。
何とも言えない後味の悪さを残して、終幕「元凶」は幕を閉じます。
考察
実は舞渕さんもDV被害者
続いて、終幕18「元凶」の考察をしたいと思います。
舞渕さんシナリオを初プレイ時、オープニングの時点で不穏な空気があったのでビビりながらプレイしました。
黒い舞渕さんが顔を出す度に「怖い!」と声に出してしまった事が何度もあります。
ですが、改めてもう一度プレイすると…舞渕さんは普通の男子高生だったんだなと思いました。
そして、今の舞渕さんに必要なのは呪いじゃなくてカウンセリングだよ、とも思いました。
何故そう思ったかと言うと、
作中の端々で、お父さんの悪行によって舞渕さんの感覚が大分麻痺していると思う描写が多かったからです。
作中では、お母さんと妹さんが主にお父さんの悪行の標的だとされています。
しかし、舞渕さん自身も無自覚に傷ついており、日々DVを目の当たりにしている影響は強いと感じます。
具体的にどのような部分かというと…
- 被害者なのに根強い加害者意識
- 歪んだ愛情の知識
- 間違った大人の価値観
1つ目は、被害者なのに根強い加害者意識。
舞渕家の問題は、誰がどう見てもお父さんが一番悪いと思うでしょう。
ですが、舞渕さんは…
日に日に父親に似ていく自分に嫌気が差し、いつか自分も父親の様な人間になってしまうと苦しんでいます。
そして、自〇する時でさえ、一番の敵は父親ではなく、何も出来なかった自分だと結論付けてしまいます。
このように、舞渕さん自身も父親の行動に問題があると分かっているのに、
最終的には自分が悪いという結論に至ってしまいます。
舞渕さんが具体的にお母さんや妹さんに何かした訳ではありません。
寧ろ、一度は本気でお父さんを説得した経験があります。
それなのに、本人は何故か自分だって加害者だと確信してしまいます。
これはDV被害者が陥ってしまう「相手に殴られるのは、自分の努力が足りないから」など、
現状は自分に何か原因があるからだと錯覚してしまい、
自己肯定感と自分がDV被害者という認識が極めて薄くなっている状態と似ていると思いました。
なので、舞渕さんの中では「家族を救えない=自分の努力が足りない」となっており、
「努力が足りない自分=今のままでは父親と同じ人間になる」という、間違った認識が根付いているように思います。
2つ目は歪んだ愛情の知識。
舞渕さんの目から見て、お父さんは家族を愛していてあのザマだと言います。
ですが、プレイヤー目線ではお父さんはお母さんと妹…というか、
女性という存在を見下しているから、あのような態度を取っている様にしか見えません。
実際、若い男性である舞渕さんがキレれば、焦って小芝居を打ってその場を乗り切ろうとする訳ですから。
本当に愛しているなら暴言なんか吐かない筈です。
ですが、舞渕さんはお父さんのあの行動にも愛があると思ってしまっています。
共依存でしかない関係性を愛だと錯覚している自覚がない辺り、舞渕さんの感覚は大分麻痺しています。
3つ目は間違った大人の価値観です。
舞渕さんは幼い頃、お父さんに赤い果実が好きな事を揶揄われています。
こういった偏った価値観は、気の合う友達や家族以外の人と交流していく中でそれは違うと気付いて修正されていくものですが…
令和なら万人には受け入れられないお父さんの言葉が、
高校生の舞渕さんには「大人の価値観」としてインプットされてしまいます。
また、作中で舞渕さんは「大人になりたい」という願望を口にしています。
しかし、舞渕さんの中の大人のイメージ=父親となってしまっている為、
より生きづらくなってしまっているように思えます。
何故舞渕さんの自〇エンドはどれも攻撃対象が自分なのか
舞渕さんは、どの自〇エンドでも自〇を選択します。
この結末を見て、こう思った方も居るのではないでしょうか。
お父さんを〇害して、その後舞渕さんも自〇すれば丸く収まるんじゃない?…と。
ですが、舞渕さんはどの自〇エンドでも自分だけが消える結末を選びます。
開花エンドだと世間では行方不明扱い&逃亡者風の格好だったので、もしかしたら…。
それは何故か。
それは、舞渕さんの自己犠牲的な精神と、それ程までに舞渕さんの精神が限界がきていたからだと思います。
何故そう思うかというと、舞渕さんは性格上「自分がどうにかしなきゃ!」という意識が強い人です。
さらに、プレイヤーから見たら舞渕さんの父親はクズ男でも、息子の舞渕さんにとっては肉親です。
肉親だからこそ、手の施しようがない人物だという事実は受け入れがたいものです。
心の中では憎んでいても、お父さんの中にも米粒程度の善性があると、舞渕さんは信じたかったのではないでしょうか。
だから、自分が自〇すればお父さんは改心してくれる or DVを辞めてくれると思ってしまったんだと思います。
プレイヤー目線では「いやいや、あのお父さんなら舞渕さんが自〇したらエスカレートするだけでしょ。」と思うでしょう。
舞渕さんが正常な判断が出来る状態だったなら、自〇なんて選ばなかったと思います。
ですが…
もう舞渕さんには、お父さんと正面から戦う気力が残ってなかったのではないでしょう。
いじめっ子やDVをしてくる相手など、物理的・精神的にも危害を加えてくる相手と真っ向から戦うには、
周囲の協力と相当なエネルギーが必要です。
いじめられっ子が最期は自〇を選んでしまうように、周りを頼れず孤独に戦い、
何かしらの手段で攻撃してくる相手に反撃するより、
自分を仮想敵にして、自〇した方が手っ取り早いと感じてしまったのではないでしょうか。
舞渕さんは表向きは「自分が自〇する事で家族が幸せになれる」と言ってました。
ですが、舞渕さんは本心は「この息が詰まる家庭環境から逃げ出したい」。
「誰にも頼らずにこの状況から救われたたい」という願望が強かったように感じます。
実際、生存シナリオでは「逃げの為の自〇だった」と心境を吐露しているので。
子供であるが故の舞渕さんの生きづらさ
人によっては舞渕さんの家庭環境を知って、「警察に相談すればいい」とか
「お母さんと妹さんを連れて祖父母の家とかに逃げちゃえば良いのに。」と思う方も多いのではないでしょうか。
※旧版をプレイした時私はこう思いました。
ですが、忘れていけません。
舞渕さんはまだ高校2年生です。
少なくとも私がまだ高校生の頃、DVの避難先としてシェルターがあるとか、
母子家庭向けに母子手当や児童手当(中学生の妹さんは当てはまるかも)があるなんて知りませんでした。
舞渕さんの親戚や友人を通して、そういった経験がある大人がいれば、舞渕さんが自〇しなくとも解決したと思います。
ですが、高校生でそういった経験のある方と接点を持つのは難しいと思います。
それなら、学校の先生に相談出来れば良かったかもしれません。
ですが…舞渕さんは大人に対して当たりが強い場面があるので、余程信頼した相手でないと相談するのは難しいと思います。
一番現実的なのは、舞渕さんのお母さんが目を覚まして支援してくれる機関に相談する事です。
ですが…
舞渕さんの性格はお母さん似のようで、「私さえ我慢すれば…。」みたいな共依存状態なのでこっちも難しそうです。
というか、お父さんの悪行が妹さんにも向いた時点で越えちゃいけないラインはとっくに超えてるので、
お母さんは早く行動に移すべきだと思います。
追加シナリオでは交流がある親戚の方も登場しているので、頼れる人が全くいないという訳では無さそうなんですけどね…。
このように、未成年の舞渕さんの力だけで解決するのは無理がある問題です。
それでも、何故舞渕さんが誰にも相談出来なかったか。
それは、舞渕さんが何でも一人で解決しようとする性格が仇になってしまったように思います。
私自身、自分の問題は出来れば自力で解決したい性格なので気持ちは分かります。
ですが、経験上こういった思考は、大人になると事態をより悪化させてしまうケースが多いです。
「自分はしっかり者だから解決出来る」と暗示を掛けて行動しているだけで、
心の中は不安でいっぱいで、がむしゃらに行動した結果思い詰めてしまう事が多々あります。
実際、周りの目からは舞渕さんが理想としていた完璧な人間には見えていなかったようで…
右睡さんや枢姫さんの目には、潔癖なくらい完璧であろうとするその生き方は異質に見えていました。
それにより、舞渕さんに対する二人の評価は「怖い」とか「敵に回したくない」など散々なものでした。
本人も、英雄や救世主の様な人物になりたかったけど、現実では上手くいかなった事を悔いており、
最終的にあのような結末になってしまいます。
では、舞渕さんはどうすれば良かったのか。
それは、林檎ちゃんが言っていたように舞渕さん自身が自分と向き合う事だったと思います。
具体的には…
- 最初は恥ずかしくても他人に頼ってみる
- 自分だけでは家族関係を修復出来ない事を認める
- 背伸びせず自分はまだ子供だという事実を受け止める
この3つを意識した行動が出来れば舞渕さんの心は少し余裕が出来、
舞渕さんの自〇は問題も根本的な解決にならないと冷静に思えたでしょう。
しかし、今回紹介した「元凶」エンドではこの内面の問題に向き合わず、
自分が悪いと雑にまとめてしまった結果、あのような悲惨な結末になってしまったんだと私は思います。
クラブ・スーサイドの張り紙を貼ったのは誰か
舞渕さんの追加シナリオでは「クラブ・スーサイドの張り紙を貼ったのは誰か」という、
プレイヤーも知りたかった疑問が舞渕さんと林檎ちゃんの討論のネタとして挙がります。
ですが、今回紹介した「元凶」エンドで舞渕さんがあの張り紙をあった場所に居たり、
意味深な一文があったり、
プロローグでも、主催者らしき人が居ないのに気味悪がる事も無く司会進行をしている姿からみても、
私は9割くらい舞渕さんが張り紙を貼った張本人だと思っています。
完全版プレイ前は、新キャラである字読さんがあの張り紙を貼ったのかと思いました。
ですが、字読さんシナリオを見れば、彼の境遇と価値観からそれは絶対ありえないと言えます。
他のメンバーも、「あの張り紙を見て決意した」と言っていた人が居たり、
同志を募るようなタイプの人がいないので違う気がします。
冒頭では希〇念慮があったので、張り紙を貼ったのは林檎ちゃんという説もゼロではありません。
ですが、林檎ちゃんは引きこもりで学校にあまり通っていませんでした。
態々あの張り紙を貼る為に登校するのは考えにくいです。
一方、舞渕さんは「〇の恐怖を克服する事」だと言っていました。
それなら、一人で〇ぬのは怖いから、仲間を集める為行動しても不思議ではありません。
また、生徒会副会長という役職をもっているので、校内で張り紙を貼っていても誰も疑問に思わないと思います。
それ以外にも、舞渕さんトゥルールート(と私が勝手に思っている)大団円シナリオでは、ラスボス的な立ち位置でした。
このシナリオでは他のメンバーとは違い、一番自〇という行為に執着しているようにも見えたので、
舞渕さんが主催者でも不思議はないと思います。
まとめ
今回は考察要素が多い舞渕さん「元凶エンド」中で、
「舞渕さんもDV被害者?」、「舞渕さんが自分が攻撃対象にする理由」、
「舞渕さんの生きづらさの原因」、「あの張り紙を貼ったのは誰か」という点を考察してみました。
私も舞渕さんと似た立場で両親の喧嘩を止めた経験があるので、
舞渕さんが抱える無力感と、簡単に家族を見捨てられない辛さは痛い程分かります。
経験者だからこそ思うのは…
悪いのは現在の関係を改善しようとしない両親であって、
舞渕さんと妹さんは100%被害者で何も悪くないと声を大にして言いたいです。
舞渕さんはお母さんが可愛そうだと言います。
ですが、明らかに子供に悪影響がある環境にズルズル縋っている姿を見ると、仄かに毒の香りがします。
本来なら大人が自発的に行動して解決しなきゃいけない問題なのに…そりゃ自〇してでも逃げたくなるよと思ってしまいます。
他のキャラも魅力的で大好きですが、私が一番共感出来たのは舞渕さんだと思います。
只一番心に引っ掛かるのは…結局追加シナリオでも舞渕家の問題は解決されなかって点です。
私みたいな人の為に、字読さんシナリオで救済的要素があったんでしょうが…。
次は字読さんの個別シナリオか、大団円シナリオ(と私が勝手に思ってる)のどちらかについて書きたいと思います。
只、字読さんシナリオは完全版で追加されたものなので、他のメンバーとは違いネタバレ要素は薄めで書きたいと思ってます。
気になる方はプレイしよう!
それではっ!