食べ物から学ぶ世界史 人も自然も壊さない経済とは レビュー

ここ数日読んだ本「食べ物から学ぶ世界史 人も自然も壊さない経済とは」 著者 平賀 緑

ふと気になって手に取った本がなかなか面白く、このブログを面白いと思ってもらえる人なら楽しんでもらえるかなと思うので本のレビューをしようと思います。
※とか言いつつ、かなり独自の解釈が入ってるので感想文ぐらいの感覚で読んでください。^^




そもそも僕の知識量ですが、学生時代は勉強というものに無関心で何となくボーっと過ごして来ました。

なので基本的な知識も少なく、世界史についての記憶も先生字が汚かったな~教科書の表紙が黄色かった気がする…いや、あれは日本史の教科書か?ぐらいしか覚えてないので僕のように読んでハッとする回数は皆さんの方が少ないかもしれません。



ざっくりの本の内容としては

食べ物とそれを作る農業について、資本主義を基盤にどう効率的になりその裏にはどんなデメリットが生まれたのか。
世界的な歴史やポイントに起きたこと、それに関して大きく影響を与えた国の心情を交えて紹介しています。


ちなみに、資本主義により消費者に選ばれ、価値を生みお金を増やす企業の努力をすべて否定しているわけではないですが、環境破壊など資本主義の問題点があるのは周知の事実かと思います。

個人的に読んでてハッとした部分は

・資本主義の指標GDPに入ってないけど大切な項目
・資本主義の効率性によって安くなった商品としての食べ物とそれを安く食べる商品としての人
・ 奴隷や植民地によって同じものが大量につくられ、さらに安くなり輸入した国の多様性が減った
・オイルショック以外の歴史的なポイント

順に紹介していきます。



資本主義の指標GDPに入ってないけど大切な項目

まずはニュースなどでのよく見るGDP、経済の成長度合いがわかるとして知っている人も多いと思います。
そのGDPにはお金として測れるものしか含まれていないので人の健康や環境破壊へ悪影響を及ぼしてもGDPは減りません。


僕の個人的な認識ですが、資本主義は成果を上げた人に多くの富が入り貧富の差(スタートの差も)はあれど各自が得意なことや好きなことに集中して取り組むことで効率的に専門的なものが安価に提供できる多様性のある社会というイメージでした。

そういった側面もあるとは思いますが「食べ物も商品」としての価値、大きな力の思惑によってその地域で作れられるもの、人が選ばれてきたので、人が健康で幸せになるために作られるものが選ばれたわけではない。

日本に生まれ、当たり前のように食べていた米が主食に選ばれた理由が自分としては驚きでした。

それに、人の健康や環境破壊はまったく気にしなくてもお金に換算できる価値が増えればGDPが増えます。
環境破壊は数十年から話題になってますが、環境や人の健康を犠牲にして得た価値って何なんだろうと考えさせられました。

GDPに入ってない項目の例を簡単に書くとこんな感じです。

工場を作る(GDP↑)(環境↓)
大量に原料を買う(GDP↑)(環境↓)
原料を加工して健康にあまり良くない食べ物を売る(GDP↑)(健康↓)
過剰生産で食べ過ぎて肥満になった人への医療行為やダイエット食品にお金を使う(GDP↑)(健康△)

極端な意見になれば何もできなくなってしまいますが、必要以上の大量生産、大量消費はいらないんじゃないのかな?といった問いかけに感じました。お金を生むために地球も人も犠牲にして何が残るのでしょうか。



資本主義の効率性によって安くなった商品としての食べ物とそれを安く食べる商品としての人

上記で資本主義の悪い所を書きましたが、いい所としては自分で作れないものが市場に出回り、供給が増えれば安くなるので一部のお金持ち以外でも珍しい食べ物、サービスを楽しめます。

皆さんや当然、僕もこの恩恵を受けていて昔は王様しか食べられなかったアイスクリームや最近ハマっているブランデーにコーヒーも日本ではなかなか栽培できませんし、焙煎技術も価値として伝わっているので焙煎したてのとても香りのいい珈琲が家で楽しめてます。

コーヒー器具も海外産で恩恵を受けてますしとても満足しています。^^
・ボドムのフレンチプレス
・ビアレッティのマキネッタ⇒マキネッタの記事


奴隷や植民地によって同じものが大量につくられ、さらに安くなり輸入した国の多様性が減った

(植民地と先進国の格差がより広まる話)
先進国が経済成長するために植民地に市場的に商品価値がある食料を作らせる。
そのために必要な設備や肥料、農薬を買うために先進国がお金を貸し付ける。
生産効率がいいように改良された種を先進国から買い、単一の物を大量に作った商品を格安で先進国が買い取る。

(先進国の中でも貧富の差がより広まる話)

植民地から仕入れた安い食料品で作られた添加物入りの安い食品は、先進国で安い賃金で働く労働者のご飯となり、ご飯を作る時間も労働に使えるようになる。

結果として昔に比べて肥満や虫歯が増えている。つまり健康も一部犠牲になってGDPの価値が生まれている。


そもそも昔は多くの人が自給自足な生活だったのですが、資本主義の効率化により農地は一部の地主のものとなり、持ってない人は都心に出て働くことを強要されるようになりました。

これも「もてる者(土地、資産、資金、権利)」と「持たざる者(プロテタリア)」が効率的に価値を生むために資本主義のシステム化では必然なのでシステム的には問題は無いです。

ちなみに、僕の住んでいる田舎じゃ田舎はあまり仕事が無いからと、都会に出て働く認識が今も多少残ってます。

こうやって書くとかなり搾取感が強いですが、そういった側面なんて考えたことなかったです。



オイルショック以外の歴史的なポイント

オイルショックは何となく知ってましたがその黒幕を少し匂わせてました。
他にも、アメリカが植民地から世界のリーダーとなる飛躍の理由、窮地に落ちた時にその対策が決められたプラザ合意など知らないことばかりでした。
この辺は歴史をちゃんと勉強している人は知っている内容かもしれません。


まとめ

最近は自然農や畑にいる虫のバランス、土の中の栄養が身になり、どこから土に栄養が戻り地力になるのか?など関心があるのでその規模が大きくなり人の欲望が入り混じった話を食品を通して世界史の流れと共に知れました。

あとがきに「専門家からすると眉をひそめるような「ざっくりした」単純化があるかもしれません。」
と記載がありますが、僕は経済や世界史への基礎知識があったわけではないのでちょうど良く世界でどんなことが起きてその裏にはこんな意図があったともいわれてます。」といった感じでとても楽しく読めました。

当然、事実だけを記載した文献とは違うのですべてが書いてる通りではないかもしれませんが、知見を広げるのにとても良かった。

つらつら書いたら長くなる!と思って伝えたいことを最初にまとめたのですが、結果長くなりました。
読んでいただきありがとうございます。

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