【生還】中央アルプス宝剣岳で行方不明の男性が冬山で生き抜いた手段

【生還】中央アルプス宝剣岳で行方不明の男性が冬山で生き抜いた手段

2022年1月22日 オフ 投稿者:

皆さん、こんばんは。社団法人ランナー龍(たつ)です。

 

この季節になると毎年、中央アルプスの遭難事故等の記事に注目しているのですが、

もっとも身近な冬のアルプス、中ア。

 

急に私のブログのアクセスが急増したため、嫌な予感がします・・・・

 

このようなニュースが飛び込んできました。

 

中央アルプスで男性が行方不明 単独で入山 待ち合わせ場所に現れず知人が通報 4日は吹雪で捜索できず

長野県の中央アルプス宝剣岳で、単独登山をしていた男性が行方不明となっていて、警察が5日から捜索を行う予定です。 行方がわからなくなっているのは、東京都港区の47歳の男性です。

中略

男性は3日に一人で宝剣山荘に宿泊し、4日午前8時前に山荘を出発したことは確認されていますが、その後は連絡がつかず、足取りはわかっていません。

中略

警察によりますと、4日午後の宝剣岳周辺は吹雪のような状況で、天候の状況をみながら5日以降に捜索を行う予定です。

引用:Yahooニュース 山梨放送 2022/01/04記事より

 

事故が多く発生する宝剣岳。

年始から、大変心配なニュースに驚きましたが、

すぐさま続報が。

 

どうやら無事、発見されたみたいです。

 

中央アルプス宝剣岳で行方不明 捜索4日目…県警ヘリが避難小屋近くで手を振る男性を発見

長野県の中央アルプス宝剣岳を単独登山していて、今月4日から行方不明になっていた都内の40代男性が捜索4日目のきょう8日、発見、救助されました。

中略

男性は3日に一人で宝剣山荘に宿泊し、4日午前8時前に山荘を出発したことは確認されていますが、その後、連絡がつかず、警察や山岳遭難防止対策協会救助隊が行方を捜していました。

捜索から4日目のきょう8日、足跡を見つけ、上空から県警ヘリで探したところ、宮田村伊勢滝にある避難小屋の近くで手を振っている男性を発見しました。男性はその後、松本市内の病院に搬送され、治療を受けているということです。

男性は避難小屋にとどまっていたとみられ、警察は治療後に男性から詳しい事情を聞くとしています。

引用:Yahooニュース 長野放送 2022/01/08記事より

 

2022/01/04(火) から4日間経過した2022/01/08(土)、県警ヘリにより無事発見されたようです。

宝剣岳と聞いて、絶望的かと思われましたが、

生還することが出来て本当に良かったです・・・

 

 

普通に考えて、標高3,000m級の冬山の稜線で、かつ吹雪の状況なのであれば半日も持たないと思うのですが、この環境下で生き延びました。

 

今回は助かった事例の考察。

さらには4日間生き抜いたという点に注目し、振り返ってみます。

 

 

4日間生き抜いた手段

今回の経緯を見ると、1/3(月)一人で宝剣山荘に宿泊されたところから始まっています。

アクセスは、千畳敷から入山ということなので、ロープウェイを利用したと思われます。

 

冬山の山小屋は閉鎖している場合が多いですが、年末年始は特別にオープンしていることもあるようです。以下は、宿泊地となった宝剣山荘のホームページです。

年末年始の予定と注意事項

今年も年末年始の営業を行います。

12/29泊~1/3泊まで。完全予約制です。

但し、天候状況や予約状況により、滞在日数が変わる可能性がありますので、ご利用予定のお客様は必ず前日までに

現地電話にてご確認をお願いします。 ※宝剣山荘直通電話 090-5507-6345

 

料金

料金は1泊2食付き・・・¥13,000 

幕営・・・¥2,000(1名) お湯・・・¥200(500㎖)

 

注意事項

※火器の使用・自炊はお断り致します。

※冬期間は凍結の為、水道が使用できません。(消毒用アルコール設置)

※シュラフをご持参下さい。

※館内ではマスクの着用をお願い致します。

※冬期間はお弁当の受付は行っておりません。

※幕営は宝剣山荘前雪上に設営して下さい。(天狗荘前、山荘裏、ロープの張ってある箇所は禁止)

※天候やロープウェイ運航状況等により変更の場合がございます。現地電話や当山荘Facebook・ホームページ等でご確認をお願い致します。

※雪山です。完全防寒対策、雪山フル装備にてお越し下さい。遅くも14時頃には到着されますようお願いします。

引用:宝剣山荘HP 2021/11/11お知らせより

 

厳冬期でもやっているんですね!しかも露営も。冬山のロマンが溢れます。

救助された方は、最終営業日1/3に宿泊し、1/4下山に発ったという事です。

しかし、4日の宝剣岳周辺は吹雪だった模様。

 

恐らくは、これで予定通り進路をとることが出来なくなってしまったと想像します。

午後3時に麓のバス停。たぶん、駒ヶ根バスターミナルだと思うのですが、待ち合わせされている方が、この時間になっても下山しないことから、速やかに救助要請をされたようです。

 

翌日を待たず、速やかな通報は良い事だと思いました。

 

下山路はロープウエイでは無かった可能性があります。

中岳や木曽駒の神社に寄ってから伊那前岳を経由して徒歩で下山とか、檜尾岳を経由して下山などいくつかのルートが考えられます。

それで8時出発の午後3時待ち合わせのスケジューリングが出来るという事は、

相当の山の熟練者であると、その時点で思いました。

 

そもそも、厳冬期に宝剣岳宿泊する時点で熟練者以外の何物でもないと推察してしまうのですが、47歳という年齢も考えると技術的にも体力的にもかなりの登山者であると勝手ながら、想像しました。

 

宝剣山荘を出発した男性はどのような進路をとったのか・・・?

 

宝剣山荘のお知らせが更新されました。

本年も宜しくお願い致します。

新年明けましておめでとうございます。本年も何卒宜しくお願い申し上げます。

年末年始は天気に恵まれず、キャンセルが多い年の瀬でしたが、

それでも猛吹雪の中お越し下さいました皆様には心より感謝申し上げます。

今年一年皆様にとって良い年になりますよう御祈念申し上げます。

今後の予定はFacebookにてお知らせいたしますが、本格的に開荘するのはG/Wの頃になると思います。

 

※現在中央アルプスではお一人の方の行方が分からなくなっております。

 一刻でも早い救助が待たれます。

引用:宝剣山荘HP 2022/01/06お知らせより

 

猛吹雪の中お越し下さいました皆様には心より感謝申し上げます。とありましたが、

天候が厳しい日が多かったのですね。

 

宿泊客が無事下山していないことは、山荘の方はさぞ心配されていたかと思います。

 

待ち合わせは駒ヶ根バスターミナル方面と考えると、先ほども言いましたが、

私の予想は以下の通り。

 

A 中岳や木曽駒の神社に寄ってから伊那前岳を経由して徒歩で下山

B 檜尾岳を経由して下山

C 登山道と関係ない道をスノーシュー、ワカン(カンジキ)、クロカン用スキー板などを駆使して   コンパスorGPSを頼りに下山

 

発見された場所から推察するに、AかCかなと思います。

中央アルプスの地図です。

左の白枠=「宿泊地」

中央の白枠=「発見場所」

右の白枠=「下山予定地」

出発地と下山地のちょうど中間地点の中央の白枠は、ルートの途中になるので、道が分からず闇雲に進んではいないと思われます。

中央の白枠、発見場所は ちょうど5合目くらいの場所。伊勢滝避難小屋です。携帯の電波はたぶん入らないのではないでしょうか。

 

救助された男性はこの伊勢滝避難小屋にとどまっていたものとみられます。

伊勢滝避難小屋は山と高原地図には載っていない場所なので、この場所を知っている前提で通過点として見込んでいたか、天候の悪化により進路を変更して避難小屋を利用した可能性があります。

伊勢滝避難小屋

出典:らい吉さんのブログ 葉っぱが64枚より

 

意外と新しくしっかりとした避難小屋ですよね。でも冬季は極寒なんでしょうけど・・

嬉しいことに、中には暖炉もありました! 私はここを知りませんでした。

この避難小屋に天候が回復するまで3日~4日ほど過ごしたのでしょう。

それ以外、生き残る方法は限りなく無いに等しい。

 

 

まとめ

皆さんは、このニュースご存じでしたか?

厳冬期の中央アルプス、宝剣山荘宿泊登山者が下山時に行方不明となった方は、4日後に無事発見されました。

避難小屋付近で発見されたとき、救助された男性は手を振っていたということは、

恐らくですが、凍傷などのダメージは無く、命に別状はないものと思われます。

 

これだけの期間、この寒さの中留まり生き抜いたことは凄い事です。

気温に耐える装備、4日間を凌ぐ食料、冬山の知識、避難小屋の存在やルート。すべてをクリアしていたのでしょう。

ただ、天候だけは防ぎようが無かった。

 

悪天候時の登山は自己責任ですし、心配や迷惑はかかってしまいますが、だからといって、無理に下山を続けるとなると、その代償として命を落とすことにもなりかねません。

 

命あって何よりですので、無事発見されてほっとしました。

Youtubeなどでは、冬山年越しの動画などもアップされていますが、厳冬期に山に留まることは並大抵ではありません。安易に真似されないことをお勧めします。

 

皆さんも安全に楽しく冬山をお楽しみください。ではまた!