あらすじ 二幕 ②

 

 

 

※個人的解釈と所感を含みます

 

《二幕》

 

<待っていてくれてありがとう>

江原道鉄原郡、矢頭高地の奥深く
鳥のさえずりが聞こえます

スンホとヒョンミン、遺骨発掘鑑識団のチーム長たちはスンホの記憶を辿って随分と歩いて来ました
スンホの息があがります

左肩の古傷が痛み出しました
スンホは痛む左肩を押えながら周りをよく見渡します

「随分と変わってしまって...
山の形も変わってしまっているが、確かにこの辺りです
ここで確かです!」
スンホはすがるようにチーム長の手を握りました
「わかりました」
チーム長は発掘作業を開始します

”うわぁああ!僕たちにもついに小隊長ができた!!
うわぁああ!小隊長!!!”


あの時の学徒兵たちの嬉しそうな声と同時に銃弾の音がスンホの頭に響きます
頭をおさえてうずくまるスンホ

「お祖父さん!」
ヒョンミンはお祖父さんを抱えます
「大丈夫だ 大丈夫...」
スンホはヒョンミンに支えられて切り株に腰を降ろします
「いつも大丈夫だって...」

「お前は大丈夫か?」
「もちろんです」
「私は少し疲れた...」
スンホはうなだれました
ヒョンミンは初めて祖父が弱音を口にするのを聞きました
いつも山に通う祖父を理解できなかったヒョンミンですが
今では祖父の気持ちを思うと胸がしめつけられます
「もう...荷を降ろしてください...」
ヒョンミンは祖父の前に屈み込み、祖父の手を握りました


「私は17歳だったんだ...友だちも...
知らなかっただろう?」
「もう...十分になさいました」
「けど約束したんだ...」
スンホは下を向き言葉を詰まらせます
「友だちも理解してくれるはずです」

「こんなに会いたいのに...」
スンホは堪えていた涙をこぼします

チーム長が息を切らして走って来ました
「こちらです!!」

二人は急いでチーム長の後について行きます
スンホの足取りは自然に早くなりました

そこには大きな楓の木の下で発見された5人の遺骨

5つの小さな棺にそれぞれ発見された遺骨を一つ一つ丁寧に納める作業が行われています

「チーム長!」
ウジュが何かを発見し手をあげます

「遺骨の胸ポケットから名前を刻んだ鉄片が出てきました」

「ああぁぁ...ああぁぁ...」

それは自分が刻んであげた手作りの認識票でした
スンホは泣き崩れます

「土と木の根が遺骨の中に深く食い込んでいました...」
ヒョンミンも遺骨を自分の目でしっかりと見ます
「土と木の根と虫も...」
(二幕の最初に学徒兵が土と木の根と虫が頭の中までと言っていたのが思い出されます...)

(少年時代のスンホが舞台左側から出てきます)

(現代スンホ)
「楓の木の下」

(少年スンホ)
「石積みの後ろで」

(現代スンホ)&(少年スンホ)
「待っていてくれてありがとう」

「お祖父さん...」
ヒョンミンの肩を借りて涙を流すスンホ


僕の少年時代が埋められた場所
その短い一日が再び蘇る
僕はもう答えることができる
この夜が過ぎたら日がまた昇るんだ

行って来ると
すぐに戻ると
生きて戻ると
帰って来ると
僕たちは約束した
また会おうと
ただこの瞬間を待ちながら生きた


ヒョンミンは少年時代の祖父の幻影に出会います
少年時代の祖父に肩をポンッとたたかれるとヒョンミンは嬉しそうに微笑み
若き日の祖父を愛おしそうに目で追います

僕の少年時代が目覚めた場所
そのきらびやかな光が再び眩しい
僕はもう答えることができる
この夜が過ぎたら世界が変わるんだ

僕が鬼になったら
町中を探し回る
山の裾まで走って行って
家に帰る道がわからなくなってしまった


楓の木陰の下で
尾根にある石積みの後ろで
口笛が聞こえるあの場所で
皆隠れていた
僕を待ってくれていた


少年時代の祖父が再びヒョンミンの前で腕をポンッとたたくと
ヒョンミンの目には再びいつもの祖父が戻って来ました
(少年時代のスンホと現代のスンホがヒョンミンを軸に入れ替わるように交差します)

また鬼になって
夢の中まで迷い歩く
花はまた咲いて雪はまた降る
積もり重なって季節ごとに僕を呼んだ

遅くなっても大丈夫だから
ここで待っていると


ヒョンミンは手袋をはめて小さな棺に蓋をし

国旗で丁寧に包むと棺をしっかりと抱きかかえます
涙が頬を伝います

どこかで生きているなら
だからここにいないのなら
僕に便りを伝えておくれ
あの青い空とあの白い春風


(少年スンホは左側から現代スンホは右側から棺を愛おしそうに触っていきます
真ん中で棺を抱きかかえるヒョンミンの両脇に立ちます)


もしも道に迷っても
寝てしまったまま隠れていても
僕たちは会うんだ
家に帰らなきゃ
夜が更けるのに


山の中をヘソンたち5人の兵士は紙ひこうきを持ちながら嬉しそうに駆け抜けて行きました

(一幕で書いた”僕の少年時代”、”僕が鬼になったら”とぜひ歌詞を見比べてみてください)


<春だ風が吹く>

(木の根に覆われた中で今なお戦い続けている兵士たち)

山河のどこかに眠れずにいる魂
12万3千 真夏の炎天下に焼かれた長い歳月
山河のどこかに離れずにいる魂
12万3千 晩秋の雨にさらされた残忍な歳月


発掘された遺骨の帰還式(葬儀)が行われます
ヒョンミンとウジュは立派な軍服に身を包み、棺をしっかりと抱きかかえ歩きます

チーム長はスンホに報告します
「パク・テフン学徒兵の遺骨が女性の遺骨と判明されて何か間違いがあるようです
民間人が紛れていたのかもしれません」
スンホはすぐに答えます
「リ・ヨンスクさんとのDNA鑑定を進めてください!
パク・テフンの名で入隊した女性がいるんです
私の友だちなんです!
名前はイ・ヘソン...」

幼い鳥が卵を割って出てきた
(学生時代のヘソンが舞台左からスケッチブックを持ってやってきます

ヘイル、ジング、スンホも後に続きます)
安全に守らなければ
小さな翼が乾くまで
僕がそばにいるよ


チーム長が部下に伝えます
「特記事項!遺骨のそばに小さな薬瓶が一つ!」
「薬瓶...」

スンホはデミアンの読書感想文で絵を描いた時の自分たちの楽しそうな姿が見えます

笑い合い、幸せそうな学生時代の4人
殻を割って出たばかりのひよこの絵を描いたジング
自分が描いた卵の絵を温めようと自分の本に挟んだヘイル
紙ひこうきを鳥に見立てて飛ばしたヘソン
記憶が鮮明に蘇ります

スンホはデミアンから卵の絵を取り出すと昔のように紙ひこうきを作ります

あの時の少年時代の僕の夢は...

「僕は鬼になってどこにでも皆を探しに行くんだ」

スンホは少年時代の思い出と共に小さな紙ひこうきを飛ばします
スンホの小さな鳥は50年の歳月を経てついに卵の殻をやぶり新しい世界へと飛び立ったのです


待ち望んだ者同士が出会えるよう
シャベルですくい
恋しい者同士が手を取り合うことができるよう
一歩前進


行き違った夢が重なり合うよう
シャベルですくい
とどまった歴史が再び立ちあがるよう
一歩前進

最後の兵士が戻ってくるその日
戦争は終わるだろう
最後の兵士が家に帰る日まで
我々は前進する
諦めはしない


春だ
風が吹く


紙ひこうきを片手に持ち

風のように棺のそばを通り抜けて行く少年スンホ

春だ
風が吹く


(舞台左の山には学生時代のジング、スンホ、ヘイル、ヘソン

舞台右の山には学徒兵のヨンソク、ヒョンボ、セヨン、テファン
向かい合って一斉に紙ひこうきを飛ばします)


8つの紙ひこうきは空を舞います
スンホは兵士たちに敬礼をすると

自分の少年時代と兵士たちに手を振りました

 

<完>


最後まで読んでいただき、ありがとうございました

 

 

<2020年6月からの再公演の変化点>

 

※2020年6月からの公演はところどころ演出や歌詞が変わっていました

一番大きな変化点はウジュが持っていた役割(映画の主人公に憧れて遺骨発掘鑑識団に志望した)がヒョンミンに移行された点です

 

ブタ一幕のヒョンミンの日常の学生生活を歌った「春」が無くなり、学事警告を受けて皆に後ろ指を指されるシーンがなくなりました
学事警告の保護者面談の前にヒョンミンがギターを持ち、ライブをする祝祭でしたが、祝祭は最初のシーンに移動し、仲間たちとダンスが加わりました

ブタ遺骨発掘鑑識団面接でウジュが幼い頃の夢を熱く語り、インディージョーンズの映画の世界に入り込むシーンがなくなりました

代わりにヒョンミンの「僕のお祖父さん」の歌が追加されました

ウジュが映画の中の主人公インディージョーンズに憧れたようにヒョンミンはデミアンをドイツ語で読めて参戦勇士の軍人だったおじいさんをもしかすると映画の中の主人公だったのではないかと戦場を映画館で見るかのようなシーンに変わります

ヒョンミンにとっては戦場が映画の世界になっているんですね…ㅠㅠ

僕のお祖父さん
僕が生まれてくる時からお祖父さんだったんだ
だけどデミアンをドイツ語で読むんだ
制服を着て微積分も習ったんだって
すごいや
僕のお祖父さん
僕が自転車を習ったのはお祖父さんだったんだ
だけど参戦勇士の軍人だったんだ
映画の中の戦場の軍人のように
すごいや

(映画の中の戦場シーンが始まる)

制服を着て微積分を習ったキム・スンホは
お祖父さんにならなかったかもしれない
戦場で友だちと別れてしまったキム・スンホは
お祖父さんにならなかったかもしれない
僕の映画の中の主人公だったかもしれない
僕の映画の中の主人公…


ブタ「すごい夢」のウジュが歌う歌詞が少し変わりました

羨ましかった ステージでの汗しずく
僕は図書室から窓の外を見物する
羨ましかった ステージでのミスも
僕も真似して歌って図書室の外へ追い出された

ステージの一番前でヒョンミンを見守っていたウジュが図書室からステージを眺めていた設定に変更されました

ヘイルが教室の窓からいつも眺めていたので同じ設定にしたんですね

過去のスンホがヘイルに聞いたようにヒョンミンもウジュに聞きます

「チェ・ウジュ、図書室で一人でいる時、どんな気分だった?」

「Gluecklich!!(幸せだった!)」


ブタ「これは映画ではない」はウジュが歌っていましたが、一幕の設定が変わった為、ヒョンミンに変わりました

ヒョンミンに合わせて歌詞が少し変わりました

これは映画ではない
失われた伝説でもなければ
モノクロ画面の映像でもない
BGMのメロディもない
どんな戦争も映画ではない

ずっと記憶に残る台詞も
鮮明で親切な字幕も
美しい演出もない
映画の中の主人公じゃないんだ

 

ブタジングの死が人撃から空爆に変わりました

(スンホがジングを抱きかかえ、ヘイルが絶望するというシーンがなくなってしまいました)


ブタスンホが5人の学徒兵、一人一人の名前を呼びながら認識票を刻んであげていましたが、短縮されました

 

全体的に時間短縮されたような気がします
 

 

<気づいたことや記憶に残るアドリブなど>

 

ヒヨコ地方公演は地方ならではのアドリブがあります

대단한 꿈(すごい夢)でのヒョンミンとウジュの会話に注目です

 

191222 城南 昼公演
ヒョンミン:わぁ!お前、歌すごい上達したな!

ウジュ:城南の牡丹市場で喉に良いもの売ってるから
ヒョンミン:なら今度兵長の進級記念に奢ってやるよ!牡丹市場で!
お前もその日が来るさ

(↑ヒョンミンとウジュは同期なはずなのに完全にチョグォンさんとジソンさんになってるㅋㅋㅋ)

191228 大田 夜公演
ヒョンミン:あ~お腹すいた

ウジュ:僕も
ヒョンミン:休暇が取れたら何を食べたい?
ウジュ:僕は大田のソボロパン!(小豆が中に入ってる揚げパン)
ヒョンミン:あ!聖心堂の!

ウジュ:うん!聖心堂!
ヒョンミン&ウジュ:うわぁぁ~美味しそう!!

(↑確かに有名ですが店の名前出しちゃったㅋㅋㅋ)

 

ヒヨコソウル公演の後半から、ヘイルがジングに「読書感想文は自分で書くんだ」と言っている間に、

スンホが停めてあるヘイルの自転車に気づき、「わぁ~ラブ(心の声)」とキラキラな瞳で見つめるようになりました

 

ヒヨコ地方公演から사랑이란(愛とは)の歌い方が変わりました
사랑은 둘 다인 동시에右上矢印右上矢印で力を入れて強弱をつける歌い方をしていましたが、
사랑은 둘 다인 동시에右矢印右上矢印と力を抜いて滑らかな高音で繋ぐ歌い方になりました

 

ヒヨコヒョンミンの自転車のシーンでお祖父さんがヒョンミンに手を振っているのを見て

ヒョンミンが「お祖父さん!自転車を買ってくれて本当に本当にありがとう~!!」と言いますが、

お祖父さん(キム・スンテクさん)は「目を閉じたらダメだ!」
お祖父さん(イ・ジョンヨルさん)は「目をしっかり開けるんだ!気をつけて!」

ヒョンミン(コ・ウンソンさん)は「階段!どうしよう!?」とお祖父さんに聞いたり、

その時によって異なりますが、191221 昼公演では「目を閉じたらダメだ!」と言いながらボロボロと涙を流すお祖父さん(キム・スンテクさん)を初めて見ました

スンホがジングを思い出した瞬間でした

孫のヒョンミンとジングが重なり合って見えたのがすごくわかり、胸がしめつけられるほどに切なく、ヒョンミンの笑顔を見ながら私も涙を流しました

 

ヒヨコソウル公演の時からですが、”序文”でスンホが

春だ 
風が吹く
 

と歌う前に、目を閉じて風を感じているかのように息を吸い、遠くの空を見つめるという仕草がとても好きです

本当にスンホの顔に暖かな風が当たっているように感じるのです

 

ヒヨコ城南では대단한 꿈(すごい夢)で暗転の中、ヘイル(イ・ジェギュンさん)が右ポケットからごそごそ取り出して、スンホの左耳に小さなお花を飾ってくれましたピンク薔薇
一日目はピンクのお花でつけるのに苦労をして何回も触っていましたが、二日目は水色のお花でとってもスムーズに!練習したかのように!一発でピンでつけてました
スンホが首をぶんぶん振っても取れないくらいぴったりくっついていました
一日目はピンクのお花が一つ、ぽつんと舞台の右前に落ちたままだったので、やはりつけ方を工夫して練習したのでしょう...
(舞台が終わってから近くに行ってピンクのお花をしっかりと確認しましたㅎㅎ

 

最終修正日: 12/29

 

 

 

ミュージカル歌詞出処:나무위키

 

 


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