路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【卓上四季】:国家の苗代

2022-01-19 14:36:10 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【卓上四季】:国家の苗代

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:国家の苗代

 初めての施政方針演説で、田園の豊かな自然と潤いのある人間関係を苗代に例えたのが、大平正芳元首相であった。苗は人であり地域社会の担い手。大切に育てなければ、国の発展もないということだ。1979年1月のことである

 ▼経済成長一辺倒から転換し、自然と人間が調和した文化的社会を目指した田園都市国家構想。その理論的柱となったのが一昨年亡くなった劇作家山崎正和さんだった。高度経済成長後を展望した著書「柔らかい個人主義の誕生」で個人が尊重し合う調和した暮らしを提唱した政策ブレーンの1人だ

 ▼大平元首相がつくった九つの研究会には官僚のほか、気鋭の研究者や文化人らが名を連ねた。大局的観点から国家戦略の長期展望を探った点が特徴だ

 ▼その要素を盛り込んだ演説の内容は今も通用する。先達の慧眼(けいがん)である。構想は元首相の急逝でついえたが、その言葉の力は色あせない

 ▼以来40年。東京一極集中は止まらず、地方は衰退の一途にある。新自由主義的な構造改革の下で格差は拡大する一方、地方活性化はかけ声倒れの感が否めない

 ▼デジタル田園都市国家構想を掲げる岸田文雄首相は初の施政方針演説で「新しい資本主義の主役は地方。地方から全国へとボトムアップでの成長を実現する」と訴えた。デジタル化は手段にすぎない。いかに都市と地方を有機的に結ぶか。国家の苗代が荒れては実りもない。2022・1・19

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2022年01月19日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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