稲荷町猟奇亭~妖美(よみ)

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観なかった人は損をしたと思う。3月6日(土)放送TVドラマ『クリスティ-原作/死との約束』

2021年03月07日 18時17分19秒 | 読書ーミステリ
◆3月6日(土)の夜にTVドラマで『クリスティ-原作/死との約束』が放送されましたね。フジテレビだったかな?自分は当日ではなく、録画しておいて本日7日(日)の午後に観ました。たぶん賛否両論になるんじゃないかと思いますけど、自分としては「賛」です。絶賛です!ミステリTVドラマはかくありたい!‥‥といった、もう理想形。いや、本当に面白かった!誉めたい点は色々とあるのですが、特に主張しておきたいこと。最近の純国産の刑事ドラマやミステリ・ドラマって、動機や事件背景があまりに悲しかったり暗すぎるものが多いじゃないですか。或いは警察組織と政治家や暴力団との癒着がテ-マになっていたり。つまり「謎解き」よりも「人間ドラマ」的な面に重点が置かれている。例えば『相棒』とかがいい例なんですけどね。勿論あれはあれで、ドラマとして凄く高いレベルに達しているから文句をつける気は無いんですが、自分としてはもうちょっと純粋なミステリ・ドラマが観たいんですよ。あくまで「謎解き」に重点が置かれているような。そして事件解決へのプロセスが何より楽しめるような。今回の『死との約束』は、そうした望みをきっちり満たしてくれました。満足です。実を言うと、これのクリスティ-原作が自分は未読なもんですから、謎解き面でも実に楽しめました。途中で「ん???」と気になった点があり、「ひょっとしたら真相はこうか?」と何となく予想はついたのですが、とにかく充分過ぎるほど楽しめましたね。このTVドラマを観なかった人は絶対に損をしたと思いますぞ。
◆大昔の児童書ミステリの中には、古書市場に於いてとてつもない高値がついてるものがあるんですよね。ただし、ちょいと古書業界の事を知っている人ならば御存じかと思いますが、「高値がつく=優れたもの」ではない。「当時はほとんど売れなかったが、今になって再評価されるようになったもの」とか「その後は全然再発されなかったために、その本でしか読めないもの」とか「え?あの作家がこんなの書いてたの?‥‥と思われるようなもの」とか。要は稀少価値がある「珍品」の類。これが高値の付く条件という事になります。もっと単純にひと言で言ってしまえば「当時は売れなかったために、世間に出回った数が極めて少ないもの」ってこと。「当時は大して売れなかった」という事が、これぞ中古市場で高値の付く大原則!ベストセラ-に高値は一切付かないぞっ。何はさておき稀少価値‥‥って事ですね。だからホ-ムズ全集とかルパン全集とか少年探偵団シリ-ズとかは、どんなに「美品」で「全巻揃い」であったとしても、古書市場では大した高値はつかないわけです。世間にたくさん出回ってしまってますからね。さて、こないだ暇潰しにネットを見ていたところ、1965年頃に偕成社から出ていた日本人作家による児童向けミステリ・シリ-ズの数々に途方もない値段がついていて驚きました。1冊2万円とか、高いものになると1冊5万円とか8万円なんて値が付いているものもあった。ただ、これらに今では高値が付くのもわかる。これらの作品、当時の超マイナ-作品ばかりだからな。ただ、う~む‥‥‥‥実は自分はこのシリ-ズの何冊かを所有しているんですよ(笑)。勿論全巻は持っていないけど、少なくともこのシリ-ズの中の10冊くらいは持っていると思う。しかもネットで調べた感じでは、そうした5万円とか7万円の値が付いているような「シリ-ズの中でも極めて極めて稀少」なものも数冊所有している。「ブックオフ」では駄目だが、これらを児童書ミステリの価値に詳しい古書店に売れば、結構な「お小遣い稼ぎ」になるのではあるまいか?‥‥なんて思ったりもする。ただ、それらの本は果たして自宅のどこにあるのか?何しろかなりの幼少期に読んだものだから、押し入れの奥の奥のそのまた奥の方にあるダンボ-ル箱の下の方にあるのではないか?ちなみに、それらの本の中の1つがこれ。



これには目が飛び出るほどの高値は付いておらず、古書店によってのバラつきはあるようだが、古書価格は大体1万5千円~3万円程度に収まっているようだ。ただ、数年前に、古書ミステリを集めているあるマニアックな方のブログを見ていたら、これを古本屋で必死に探し回ったが見つからず、古書収集仲間から高値で譲ってもらった‥‥なんて話が書かれてました。おや、そうなんですか。自分も所有しておりますぞ。もっと安い価格でお譲りしましたのに‥‥。しかしこの本を読んだ当時の自分(たぶん小学1年か2年)は、この作品のどこが面白いのかさっぱりわからなかった。ひたすら退屈‥‥って感じで。しかし改めてこの添付画像を見るに、これって大御所・高木彬光が書いたものだったんですねぇ。そしてこの作品は、その後に文庫やアンソロジ-などの別の形での復刊はされていなかったはず。なるほど、これでは高値が付くであろうよ。このヴァ-ジョンでしか読めないわけですからね。例えばこのシリ-ズには横溝正史の『怪獣男爵』とか『大迷宮』が収録されていたんですが、これらは後に角川文庫でも出たんです。あの1970年代後半の横溝ブ-ムの時に。つまり『怪獣男爵』や『大迷宮』は、このシリ-ズ以外でも読めたわけですよ。これでは稀少価値の点では落ちますな。取り敢えず「読む」だけなら可能だったわけですから。それにしてもこのシリ-ズ、確か「西条八十」とか「柴田錬三郎」の作品も幾つか入っているんですよ。小学校低学年当時は「西条八十」なんて全然知らなかったわけですが、今になってみると「えええ?あの西条八十が、子供向けとはいえミステリなんて書いていたんですか!」と驚き。

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