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映画『女神の継承』感想

タイ・韓国合作ホラー。R18。

タイの霊媒師に密着したドキュメンタリー撮影時に起こった出来事というモキュメンタリー作品。映像はきれいで音声タイ語字幕日本語でまるでNetflixのよう。

その土地で信仰されている精霊と霊媒師、バ・ヤンなる神様の説明がありバ・ヤンは代々受け継がれているものであるが、現霊媒師ニムの姪ミンに継承の兆候が表れて・・というストーリー。

 

鑑賞後後味の悪い”最悪”という感想しか出てこなかった。挙げられないほど生理的に無理が多発していて嫌な映画だった。(良い意味含む)

私はホラーが好きでぼちぼち観ている方だとは思うけど、この後どうなっちゃうんだ~!?が常にあって見逃せず、引き込まれた。

霊媒師の密着撮影から不可解なホラー現象が多発しだして原因究明から結局対怨霊呪術バトル!?の流れは行き当たりばったりの密着映像感マシマシで良かった。

 

結局、あれだけ頑張って怨霊に負けんのかい!!という。犬は死ぬわ赤ちゃんは食べられるわで全部やったろうの精神がすごい。中盤からはパラノーマルアクティビティ、終盤はREC、コンジアムと恐怖の掛け算が加速していて面白かった。ジャンプスケアも少々。

しかし、怨霊に取り憑かれたミンを縛りもせず普通に同じ家で生活しているとこや、赤ちゃんの無事も確認せずミンを開放してしまうところ、たまにおかしな行動が挟まってくるのが気になった。展開上仕方ないのかもしれないが・・・。

 

冒頭に説明されていた、”全てのものに宿る精霊”が集約されて超絶呪い化した挙句、野に放たれたわけで、八百万の神がいる日本で育った私にはなんか身近に感じてしまう。家系的なものとはいえ、巫女に選ばれること自体理不尽で拒否権のない現象が、幽霊と同じくらい普遍的に”ある”ものと思わせてくるこの映画は精神的に恐ろしい。

ホラー好きな人にはおすすめしたい映画だった。

 

女神の継承

女神の継承

  • ナリルヤ・グルモンコルペチ
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映画『グレイテスト・ショーマン』感想

なんとなく演劇の話かと思っていたらサーカスの話だった。発展途上のアメリカで、自分の発想と行動力を武器に夢を叶えていくバーナムは眩しい。ユーモアがあって口が上手いバーナムが幸せな家庭を持ち、家族とも呼べる団員を迎えられるのは納得できる。

ストーリーは絵本のように明快で、成功と破滅、再生と幸福がわかりやすい。情緒的なヒューマンドラマは抑えられ、その倍以上に歌・ダンス・美術によるエンタメ要素が展開している。観ていて楽しい。

 

人間ドラマが控えめで私は寂しく思っていたけど、バーナムは妻を一番に愛していることがひしひしと伝わってくるのが好印象だった。ジェニー(歌手)とのアレコレは説明したところで許されるわけはないんだけども。

 

話の中で発生する”天才的な歌声を発揮するステージのシーン”というのは、万人にその認識をさせることが難しいと思うのだけど、本作の”全員が惚れ惚れするシーン”はそれに成功している。ジェニーリンドの歌唱シーンはすごい!!と素直に思った。wikiを見ると、歌唱役は俳優とは別にいるらしい。

 

ストーリーはご都合ながらエンタメ表現が際立っているため悪いとは思わなかった。やってることは優良誤認の見せ物小屋なので、成功は永遠でないことが確実なのだが、幸せになりましたとさ!終わり!の潔さが逆に気持ちよかった。

 

 

映画『生きる』感想

名作。

1952年公開の黒澤明監督作品。全編モノクロ。今から72年前の作品。

台詞は聞き取れないので字幕付きで。

 

役所勤めの渡辺は仕事の熱意もなく、死んだように生きていた。体の調子が悪く病院に行くと胃がんが判明。明るく元気な職場の女性によって、決心した渡辺は役所に戻り人が変わったかのようになり・・という話。

私の要約では全然興味をひかれないので、気になる人は観ていただきたい。観ればわかる。

 

コテコテに昭和映画なんだけど、難しい言葉もなくそもそも台詞が明快なのでわかりやすい。(開闢はわからなかったけど)

病院で洗面台使ってるのに割り込まれたり、飲み屋で野良犬がうろついてるし、あろうことか蹴ってるし今とは全く違う風俗が新鮮で楽しい。

モノクロのバランスがきれいで見惚れるし、バーカウンターの鏡越しに写る会話シーンにはオッとなった。

夜のシーンでは若者客の人数が多く芋洗い状態なほどで、映像が楽しい。

 

死んだように生きていた渡辺が生まれ変わるシーン。「何か作ってみれば」と言われ、「そうだ、俺も」となるシーン。あそこでハッピーバースデーが重なる演出がすごすぎる。。若くなるでも赤ちゃんに戻るでもない、”渡辺”が開眼する様として描かれていたのが何より迫真だった。

その後、あっさり通夜が始まり。参列者からああだったこうだったと始まってから、なるほどそういうことね!と。渡辺が命を燃やしたのは確実だとして、具体的にどれくらいで何をして・・というのがわからないため、聞いてるこちらはミステリーの気分に。

 

公園づくりに邁進して彼はしんだ。命を燃やしてヨボヨボになりながら駆けずり回った。やっと着工した建設現場での表情は太陽みたいにギラギラして、私には生命力のかたまりのように見えた。「希望だ・・・!」と心から思ったのは初めてかもしれない。

ストーリーが、とか、テンポが、とかそんなん放っておいて何かむき出しの原石を目の前にもたらされたような、そんな体験をした映画だった。

 

 

映画『PLAN75』感想

75歳以上の高齢者が自分の意志で安楽死できるようになった世界。

福祉として法整備され、肩身の狭い思いをする高齢者たち。

雇用も切られ再就職は厳しく生活保護には抵抗がありPLAN75に申し込むミチ。

テーマは穏やかでないが、映像はきれいで出てくる人たちも悪い人がいない世界だった。

 

主人公のミチはきれいで、勤務態度も真面目、丁寧に暮らし、お友達とつつましく生きている。なんてファンタジー

私が生きている中で接してきた高齢者は決してそんな人ばかりでなく、良くも悪くも個性的だった。

この映画は特定の人物に焦点をあてて展開していくので、たくさんの要素を出すとブレるというのはあるだろうけど、にしてもキレイな映像で、道徳の教科書みたいだと感じた。

 

正直なことを言えば、そりゃあ健康に問題なく頭も働いている人が社会制度のせいで死を選ぶことはあるべきではないと思う。逆に、健康に問題があったり、人とコミュニケーションが取れないほど疲弊している人は死によって救われる面もあるだろう。

そうやって二項対立になって市民同士で争いあうだろうことが簡単に想像できるが、それで誰が喜ぶかというと、PLAN75という暴力的な制度を敷いた政府であり。

この映画でも首相や政治家は全く出てこず、現場で働く役人ばかりが直面している。

現代の感じでPLAN75が制定されても、結局政治家はジジイだらけなんじゃないかな。

高齢化も貧困も少子化も自己責任にされてる世界でどう生きるのか。

受け身でい続けるほど状況は悪くなっていくけど、できることも少ない中でどう終わっていくのか。

せめて何か理想を持てれば希望になるのかなーと思った。

 

 

 

菊花賞2023 ルメールの神騎乗

お見事としか言いようのないレースで、本当に軽視して申し訳ない。

www.jra.go.jp

 

皐月賞馬のソールオリエンスとダービー馬のタスティエーラの2頭対決かとされる雰囲気で迎えた菊花賞。勝ったのは4番人気のドゥレッツァだった。

GI未経験・大外の条件から切ってしまったがドゥラメンテ産駒・ルメール騎乗(レース前も騎乗)で大いにあるとなるべきだった。。

実際に買ったのはサトノグランツとサヴォーナのワイド。いや、サトノグランツは悪くないからね・・・。

大外から前につけてそのままレース引っ張ってから引っ込んで足ためて加速して勝つなんてある!?という。。先行にいったあたりでデータキャラのメガネは割れてたね。

もちろんドゥレッツァ自身が能力高いのはもちろんのこと、騎手の判断や乗りこなしが超一流すぎてこれは”騎手で買え”の盲目信者になってしまいそう。

 

騎乗の上手い下手は未だにわかっていないけど、今回のルメールやジャックドールの武豊はすごかったのがわかる。馬の強さ比べが面白いのはもちろん、騎乗技術を見せつけられるレースも見ごたえがあってとても良かった。

それにしてもキャプテンがドゥレッツァ軸でバチ当てしててすごかった。70万?とか・・・。本買って勉強しよかな。

 

 

次回、天皇賞はどうなる!終わり。

 

 

秋華賞!リバティアイランド3冠達成する

競馬が面白い。

今回の秋華賞は98%リバティの圧勝で終わると誰もが思っていて疑わない雰囲気。

夏の放牧で+60だか50キロ増え、大成長したリバティ。ムキムキ。

追切は相手の馬が併せにならないとか言っちゃう始末。

ルメールでさえも会見は鼻で笑い飛ばし「リバティ以外には勝てる」と言う。

結局、リバティ単勝1.1倍までなってしまったので紐つけて買うしかない。

 

相手はドゥーラ、コナコースト、マスクトディーヴァで、穴にマラキナイアとフェステスバント。馬単で先の3頭、ワイドで後2頭。こういう時ルメール持ってくるんだよな・・・とわかっていつつ、ハーパーは切った。

過去見ると人気上位が順当にきてる感じ。6位くらいまで。3歳で夏明けだしで激変しててもおかしくないのかなーと思ったけどあんまりそうでもないみたい。

 

結果、馬単的中!マスクトディーヴァの末脚速かった・・・前走レコード出していて、やっぱり疲れとかあるんじゃないのーて心配してたけど余裕だった。すごい。わずかながらお金もプラスで嬉しい。

 

レース後、川田泣いてた;;リバティ自身が圧倒的ポテンシャルだから、プレッシャーとんでもなかったろうな。こっからは古馬相手だろうけど、全然怖くないしむしろ対等な勝負になりそう。楽しみだーー。

息子がジョッキーベイビーズで優勝した時に見せたパパの顔しかり、最近の川田はとても魅力的。。

 

今期ウマ娘がやっていて、ちょうどキタサンのシーズン。ドゥラメンテバチバチにやっていて、これからサトノダイヤモンドともやるんだろう。今回の秋華賞もドゥラ産駒とキタ産駒がバチバチで、ドゥラ産駒であるリバティの勝利。父親の成し遂げられなかった3冠を達成した親孝行娘である。できすぎている・・・。

 

荒れずに儲かりはしなかったけど、見たいものが見れたいいレースだった。

 

『おやすみプンプン』を読んだ

読後、「大人だから耐えれた 10代だったらやられてた」と呟いたけど、嘘です30代の今めちゃくちゃくらってる!!読んだ後ぼや~っとして、全然ギューってしてる。

 

強烈なファムファタル。性衝動と自意識と痛み全部乗せで本当に、思春期に読んでなくて良かった。もし多感な時期に読んでいたら憧れておかしくなってた。

小学校時代、”虐待を受けていた愛子ちゃん”を助けようともしない展開で、設定はエッセンスなんだと気づき冷静になった。一般的に正しいとされるもの(愛子ちゃんを虐待から救う、両想いになる、キレイな学生生活を送る)は描こうとしてないんだな、と理解った。

 

全体的にジメッとした漫画だった。でも続きは気になる。”幸せ”にはならないことだけはわかる。プンプンはイジイジウジウジばっかりで行動しなくてこっちがいらいらしてくる。なのにモテるし、その数百倍女(女体?)を求めてる。人の気持ちを考えもしないで自分の事だけ、保身だけ。それでいいと思ってて結果何とかなってる、甘ったれだ。

対して、出てくる女の子たちは魅力的。田中愛子はもちろん、翠や幸も可愛いし息づいてる。プンプンを狂わすほどの田中愛子を説得力を持って描いているのがすごい。「言ったよね 次嘘ついたら殺すって」のとこ、最高でした。(台詞はおぼろげ)

”都合よく”なんだけど、都合が悪いと物語にならない。私はこれを『おやすみプンプン』のメタ的に捉えていたんだけど、外れてもいないっぽい。

gumichoko.hatenablog.com

考察を読んで、びっくりした。幸の漫画なの・・・?!と。確かに、プンプンのデザインは友達の落書きだったけども。だから途中までは面白いけど最後はそんなでもない終わり方だったのか?(日常は取り立てて面白くない)何重構造にもなってる漫画はすごい・・。好みの問題といえばそれまでだけど、田中愛子の裸のシーンが思ってたより淡白で。何なら行為のシーンも素っ気ない。あれだけ、あれだけ渇望していたものなのに、もっとネットリいやらしく神々しく描けるはずなのに・・と思っていたのは、幸が描いていたから・・ならわかる。

 

この漫画、プンプン一家をあのデザインで書いているのがとても良い。激しく揺さぶられた時には目の描写を入れて、心境によって姿かたちを変えて、変わり続けていくことで、核が読める。見える化。プンプンにおいては、子供プンプンが大人になってから現れることで、あの頃の気持ちになっているんだ、とわかる。人間の描写以上のささくれだった本人を感じられる。

目だけ、指先だけ、服装から、どんな人か想像できるのも楽しい。プンプン・・見た目良いんだろうな、とわかる。子供の頃ジャニーズ入りがどうとか言われていたからちゃんと顔は良いんだろう。顔が良くて静かで陰のある感じ。。惹かれる女子もいるだろうなーと。クズだからこそ・・何の魅力で引き寄せてるかわかんない主人公より、ダメな部分で引き寄せてる主人公の方が人間ぽくある。

 

この漫画、すごい面白かったな。プンプンは田中愛子に殺してほしかったのに叶わないところ、ましてや半生を漫画にされて公開される・・・幸による「私の」宣言とともに。でも、プンプンは悲しいとか辛いとかじゃなくて、苦しくてもやりながら生きていけるんだろうな。周りに恵まれたというのはあるけど、何しても悩んで自滅してめちゃくちゃになるんだから、幸せになんてならないんだろう。それでいい、それで良かった。