足利事件は本当に冤罪なのか? 110 戦犯リスト【復刻版】 1 | 宇都宮義塾

宇都宮義塾

Music & Study Cafe
- 宇都宮随一を誇る高音質と豊かな教養 - Since 2012

※『足利事件は本当に冤罪なのか? 42 戦犯リスト』が何故か消失してしまったので

(サーバーの故障なのか?それとも何者かによる作為なのか?)

加筆訂正の上、復刻いたします。

 

 

【S級】

 

★菅家利和

 

 

半袖下着は血液型鑑定や月日の経過のために変色。
以前の鑑定で一部は切り抜いてあるため、体液は肉眼では確認できないという。

笹森学弁護士は「切り分けたどの部分に体液があるのかは、ばくちのようなもの」と指摘した。

(2009年1月24日付『下野新聞』3面)
 

「鑑定不能」もありうる。
証拠の体液は旧鑑定でほとんど使われ、微量しか残っていない。
長い間の常温保存などで劣化も懸念される。
この場合、再審開始の見通しはつかない。
(2009年3月21日付『下野新聞』6面)

 

発見時の下着は背面の中央付近に犯人のものとされる体液が点在していたが、
捜査時の鑑定に使用したため穴が開いていた。
再鑑定では穴の中心を通るように二つに切り、
検察側、弁護側双方が推薦する鑑定人が体液が付いていた穴の周辺などからDNAを採取した。

(2009年5月20日付『下野新聞』1面)

 

再鑑定については「技術的には常温で保管されていても五十年は可能」という。

一方で「半袖下着には多くの人が触っており、結論は出ないだろう。

再鑑定結果がいずれでも再審請求は簡単には終わらない」と予測する。

(2009年3月21日付『下野新聞』7面)

 

ただ、これまで裁判所関係者
証拠物の着衣に触れたこともある
といい、
新たに照合をした場合、
対象者は広範囲に及ぶ恐れもある。

(2009年5月15日付『下野新聞』3面)

 

捜査員ら約70人の鑑定要望に対し、検察内部では
裁判官なども触っている可能性もある。これ以上の鑑定は意味はない」
との否定的な意見が強かったが、押し切られる形になった。
しかし結果はいずれも不一致だった。
(2009年6月5日付『下野新聞』5面)

 

 

2010年1月22日に宇都宮地裁で開かれた第5回足利事件再審公判で
再生された宇都宮地検検事の取り調べ録音テープの内容。
▽1992年12月8日、宇都宮拘置支所

 

森川「間違いないんだな?ん?真実ちゃんの事件は間違いないんだね?」
菅家「はい。」

森川「真実ちゃんのは間違いない?」
菅家「はい。すいません。」

森川「昨日のあれは、真実ちゃんのあれ、も、嘘を言ったということで間違いないんだね。」

菅家「はい、すみません。ごめんなさい。取り消してください。昨日のは。」

森川「で、君が説明したね、あの、現場の川原に行って説明した事柄っていうのはさ、
もう警察も僕も知らないこといっぱい言ってるんだよねぇ。
作り話、でまかせなんていうね。昨日、わけわかんないで、
もう(聞き取れず)に説明したっていうけども。
わけわかんないで説明したにしては、
こんな具体的な説明なんでやるんだろうか。
作り話では出来ないですよ。
僕はそう思っている。」
菅家「(涙声で)昨日のことは勘弁してください。」

森川「(前略)君、現場検証の時にね、検証があそこで終わって、さ。
真実ちゃんのところに線香上げて花上げてって言った時に、
君どうやったか覚えてる?」
菅家「覚えてないです…。」
森川「両手をついて、ごめんなさいって言って泣いちゃったじゃない、君。」
菅家「はい、それは覚えています。」
森川「しばらく立てなかったでしょう?
あの時、警察官に促されて、やっと立ち上がって、
それで現場引き揚げていったわけじゃない。」

菅家「はい。」
森川「本当に自分でやったのでなくて、
あんな動作出来るのかなっていうのはね、誰でもそう思うよ。」

菅家「(沈黙)」

森川「あと、警察でも調書取ってもらったけれども。」
菅家「はい。」
森川「あの調書の中で嘘言ったりしたことはある?
まあ、勘違いは別としてね、思い違いとか忘れたとかそういうことは別として。」
菅家「はい。」
森川「あえて嘘ついたと。嘘を調書にしてもらったということはある?
この真実ちゃんの事件についてね。」
菅家「たぶんないと思います。考えてみて。」
森川「うん。」
菅家「ないと思いますけど。はい。」

 

 

2010年1月21日に宇都宮地裁で開かれた第4回足利事件再審公判で
再生された宇都宮地検検事の取り調べ録音テープの内容。
▽1992年12月7日、宇都宮拘置支所
 

森川「警察が怖いとか、殴られるかもしれないと、そういったところで、
僕は怒鳴ったりしたことは一度もないと思ってはいるんだけどね、ん?」
菅家「はい、そうです。」
森川「大きな声をあげたこともないと思っているんだけどね。」
菅家「はい、ありません。」

森川「ふーん。あの、今まで、警察でもどこでも殴られたり蹴られたりしたことはある?
菅家「ありません。」
森川「一度もない?」
菅家「それはありません。」


↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

 

釈放後の菅家さん

 

菅家「(当時の警察の取り調べで)髪の毛を引っ張られたり蹴飛ばされたりした」(笑)

 

 

1979年の福島万弥ちゃん(5)殺害事件について、
足利事件で起訴される前日の91年12月20日、
栃木県警捜査本部が菅家さんを足利署で取り調べた際の録音テープの内容。

 

警視「万弥ちゃん事件に対しては、ほんとに、どういったことなんだ。」

菅家さん「ほんとに……(涙声で)申し訳ないと」

警視「申し訳ないということは」

菅家「はい」

警視「自分でそういうことをして申し訳なかったと」

菅家「はい」

警視「私が万弥ちゃんの犯人なんだと。言うことで、わびたいと言うことなんか」

菅家「(泣いている)」

警部「菅家、泣いてねえでさ」

菅家「はいそうです」

 

 

 

2009年6月7日(日)に生放送されたテレビ朝日系列『サンデープロジェクト』にて。

「殺してない」ということで釈放されたにも拘らず、

幼女を拉致して殺害するときの状況をペラペラと語り出す菅家さん。

菅家「それで、なんていうんですか、それからマミちゃんの首ですか、絞め

(困惑の表情を浮かべるジャーナリストの田原総一朗ら出演者一同。

慌てふためいた様子で必死に菅家をフォローする佐藤博史弁護士)

 

(1991年12月22日付『下野新聞』1面)

 

この借家は八四年に長谷部有美ちゃん=当時(五つ)=が失跡した

パチンコ店や万弥ちゃんの失跡現場とは、いずれも直線で二・五キロ前後。

万弥ちゃん、真実ちゃんの遺体が発見された渡良瀬川河川敷からも直線で

一・五キロ弱で、自転車を使えば容易に行き来できる位置にある。

菅家容疑者はパチンコ好きで、真実ちゃんの失跡現場のパチンコ店にも度々来店。

パチンコ好きな菅家容疑者が、借家からそう遠くない有美ちゃんが失跡した

パチンコ店に通っていたことも十分考えられる。

(1991年12月4日付『下野新聞』2面)

 

(1992年2月11日付『下野新聞』2面)

 

 

(万弥ちゃんと有美ちゃんの殺害もいったんは認めた理由について)

逮捕当時の菅家「取調官があまりにいい人だったので、つい余計なことを言った」

 

↑3人も殺したら確実に【死刑】なのに?(笑)

 

 

【A級】 - マヌケな裁判官と愉快な詐欺師たち -

 

★佐藤正信(再審無罪判決を出したマヌケな裁判長。馬鹿。宇都宮地裁)

 

佐藤正信「菅家さんの真実の声に十分に耳を傾けられず、
17年半もの長きにわたり自由を奪う結果となりましたことを、
この事件の公判審理を担当した裁判官として、誠に申し訳なく思います。
このような取り返しのつかない事態を思うにつけ、
二度とこのようなことを起こしてはならないという思いを強くしています。
菅家さんの今後の人生に幸多きことを心よりお祈りし、
この裁判に込められた菅家さんの思いを深く胸に刻んで、
本件再審公判を終えることといたします」

 

 

★佐藤博史(菅家の悪徳主任弁護人。ペテン師)

 

 

★★★↑胃の内容物と整合してねーだろwwwww
大ウソこいてんじゃねーよwwwww

 

 

★本田克也(弁護側のインチキ法医学者)

 

 

袴田事件、高裁に差し戻し 再審認めぬ決定取り消し―釈放は継続へ・最高裁

一方、地裁が再審開始決定の最大の根拠とした衣類に付着した血痕のDNA型鑑定結果は
「DNAが残存しているとしても極めて微量で劣化している可能性が高い」として証拠価値を否定した。

 

 

★小林篤(嘘吐きジャーナリスト1号)

 

 

中年男 幼女の手引く
足利の真実ちゃん事件
失跡時間帯 土手で
近くに盗難バイク放置

(中略)
足利署捜査本部は十五日までに、同河川敷の土手を真実ちゃんが失跡した時間帯に
中年男が幼女の手を引いて下りていたとの有力目撃を得た。

捜査本部は真実ちゃんと犯人だった可能性があるとみて割り出しを急いでいる。
また真実ちゃんの殺害現場とみられる同河川敷の児童遊技場近くで、
失跡時間帯に近くのパチンコ店から盗まれたバイクが発見されており、
捜査本部は事件との関連について捜査している。
 
 調べによると、女の子と中年の男を目撃したのは近所に住む男性で、
十二日午後六時二十分から同三十分ごろ、河川敷でゴルフの練習をしていて目撃した。

男は女の子の手を引いて土手を斜めに下りているところで、すぐ近くには児童遊技場がある。
 目撃した場所は真実ちゃんが姿を消した同市伊勢南町のパチンコ店「ロッキー」から約二百メートル。
二人を目撃した男性は「男は女の子を後ろ手に引いており、
親子という雰囲気はなく奇妙な感じがしたのでよく覚えている。

女の子はスカートをはいていたが、二人との距離が七十メートルほどあり、
薄暮だったので男や幼女の人相、着衣は分からなかった」と話している。
当時、児童遊技場には大人一人と子供四、五人が遊んでいたという。
(1990年5月16日付『下野新聞』2面)

 

 この時刻に幼女を連れて土手を下りる不審な中年男性を、
ゴルフ練習中の会社役員が約七十メートル手前から目撃している。
この人は「男のシャツがカーキ色だったのは覚えているが、
人相などは分からなかった
」と証言している。

確かに二人までの距離は遠過ぎる。
(1990年5月20日付『下野新聞』2面)

 

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

 

 

この二人連れの確かな目撃者がもう一人いる。
五時三十分から児童遊戯場に来ていた主婦の加藤公子(仮名)である。
(中略)

事件発生後、ともに警察から事情聴取をされた際、
加藤が描いた顔のない中年男性の全体的なイメージ画を見て、
宮川はそっくりだと証言した。

 

加藤は、この中年男性は菅家被告にはまったく似てないと言った。
ガッチリタイプで長髪の男性で、
短髪の菅家とは大きく喰い違っていた。

(小林篤『幼稚園バス運転手は幼女を殺したか』2001年2月1日、第1刷発行。p89)

 

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

 

★清水潔(嘘吐きジャーナリスト2号)

 

 

 

だが、私達が取材を重ねても、菅家さんらしき人物を見たという人や、
幼い女の子を乗せた自転車の二人乗りを見たという目撃者は出てこなかった。
しかし、別の重大なシーンを見た人達ならば、いたのである。
その人達は事件発生直後に目撃証言を警察に伝えている。
だが、不思議なことに、その証言は煙のように消えてしまい、
「この事件に目撃者はいない」ということになっている。

聞けば、目撃証言を行った人達のうちの二人については現場で細かい実況見分も行い、
合計で一〇〇ページを超える分厚い調書まで作成されていた。

 

そのうちの一人は、渡良瀬川の土手の近くに住む自営業の吉田(仮名)さんだ。

吉田さんは事件のあったその日、一八時過ぎから河川敷にいた。

芝の上にいくつかボールを転がして、ゴルフの練習をしていたという。

 「たまたま土手のほうを、ふっと見たんだよ。

そしたら、女の子と手をつないで降りて来る男を見た。

土手の法面を下りてきたんですよ。二人は、手をつないでいましたね

(中略)

「男は、あんまり若くないね。遠くだから顔までは良く見えない……。

子供は、えーっと……四歳くらいかな。

二人がずーっと行った先に、遺体があったんだからね。

ああ、犯人はあいつだなと思ったよ」

菅家さんの自供内容を詳しく知らない吉田さんは、逮捕されたのは

自分が目撃した男だと信じていた。どんな男だったんですか? と尋ねると、

吉田さんは、うーんと吐き出すように言った。

 「はしっこそうな(すばしっこい)男だった。ひょろりとした感じでね。

そう、漫画のルパン三世、あれにそっくりだったんだよ。感じがね」

ルパン三世に似た男。

私は、ひょろりとしたその漫画の登場人物を頭に思い浮かべた。

菅家さんとは似ても似つかない。

脳内のメモ帳に強い筆圧で書き込まれたその名前―「ルパン」―は、

脳内メモの別ページとヒットする。

そうか―ふと思いついて私はバッグからあるものを取りだし、吉田さんに見せた。

吉田さんの反応は、私に確信を抱かせるに充分だった。

 

男と少女の目撃者はもう一人いた。松本(仮名)さんという主婦だ。

彼女は警察の事情聴取にこう答えていた。

〈子供については 四歳位 身長一〇〇センチ位 体格中肉 赤っぽいスカートで上衣は、

スカートに比べて明るいものを着た女の子だったのです〉

学校で美術の先生をしていたというこの女性は一枚のスケッチ画を残していた。

鉛筆で描かれたモノトーンの絵だ。低い位置に、雲が垂れ下がった空。

左側には遠近感のパースがついた堤防がある。

構図中央には広い芝の上を横切る大小二つの姿。

二人は画面左から、右に向かって歩いている。

大股で歩く男が「ルパン」に似た男であろう。距離があるため顔ははっきりと描かれていない。

男に寄り添うようなスカート姿の少女。二人が向かっている先は、遺体発見現場の方向だ。

(中略)

絵の中の、裾が広がったスカートにじっと目をやった。

〈赤っぽいスカート〉

この少女こそ、真実ちゃんではないのか?

一八時三〇分頃にパチンコ店周辺で最後に目撃された真実ちゃん。

その直後、すぐ裏手の河川敷では赤いスカートの少女が目撃されている……

この線がつながるならば、「ルパン」こそが真犯人と考えるのが自然ではないのか。
 (清水潔『殺人犯はそこにいる』2013年12月20日、第1刷発行。p79~81)

 

松本さんから聞けた当日の状況はこうだった。

薄曇りだった事件当日の夕方、松本さんは幼い子供を渡良瀬川河川敷の公園で遊ばせていた。

近くの芝にはゴルフの練習をしている男性がいた。

「ルパン三世に似ている男」と証言した吉田さんだ。

松本さんはブランコの近くで子供と四つ葉のクローバーを探していた。

ふと視線を上げると、ちょうど雲の隙間からオレンジ色の西日が芝生に差し込む中を、

幼い少女と男が歩いていた。

女の子が、男の人の前後をちょこちょことついて歩いていたんです。自然な形でね。

散歩してるような雰囲気でした。その子供も、安心してる感じですね。

信頼して、ついていっているような感じで歩いてました」

時間は一八時四〇分くらいだったという。

「男は白っぽい感じの衣服を着ていたと思います。そんなに大柄ではなかったです。

一直線に歩いていく感じですね。川の方に向かって大股で、どんどん歩いてるんですよ。かなり大股でした」

女の子の特徴は、真実ちゃんの当日の服装と一致していた。

「おかっぱ頭で。赤いスカートが目立ってましたね。上はそのスカートよりもう少し薄い色でした……」
 (清水潔『殺人犯はそこにいる』p134~135)

 

〈拝見しました。ゆかりちゃん事件の犯人と思われる男

映像とCGで当時の状況がよくわかりました。

(中略)

私が目撃した真実ちゃん事件の犯人らしき男を思い出してみると、

あくまで感想ですが、顔の輪郭や歩いているときの雰囲気がとても似ている気がします。

当時、警察の方に説明をしたり、なんども思い出そうとして繰り返しイメージしてきた犯人像ですので、

かけはなれていることはないと思います〉

意外と言えば意外。

うかつと言えばうかつ。

「ルパン」ではないか。

「足利事件」で吉田さんが「漫画のルパン三世、あれにそっくりだったんだよ」

と言っていた男と「ゆかりちゃん事件」の重要参考人が似ているというのだ。

連続事件と見なすなら、当然想定しておくべきことだった。

松本さんは「足利事件」には関心を持っていたが、

我々の番組を見るまでは「ゆかりちゃん事件」は意識したことがなかったという。

今回初めてサングラスの男の動きを見たことで類似点に気がついたのだ。

松本さんのご主人の「目で見た物を瞬間に記憶する力に優れている」という言葉が

今さらながらに思い出された。

後日、松本さんには日本テレビまでご足労頂き、大きなモニターで改めてサングラスの男の

映像を見てもらい、再確認したが、松本さんの証言は揺るがない。

 (清水潔『殺人犯はそこにいる』p156~157)

 

そう、そろそろ白状せねばなるまい―。

私は「ルパン」と思われる男を特定していた。

すでに書いたように、事件の調査を開始してから二週間目、

西日差し込む一室で束ねたあの黒いファイル。

それはある男を指し示していた。

その頃はまだ取材前だから、「ルパン」などという呼び方は知らない。

だが、黒いファイルから導かれた「推論」に基づけば、

その男が真犯人であることに矛盾はなかった。

私は「北関東連続幼女誘拐殺人事件」の取材を進めるとともに、

この男の裏取りも進めていた。確信は深まるばかりだった。

 (清水潔『殺人犯はそこにいる』p197)

 

晩秋の北関東はすでに気温も相当に低かった。
私は「ルパン」の家の近くに立って帰宅を待っていた。
静寂に包まれた闇が広がる住宅街。吐く息も白い。
うっすらと霧が流れる中、やがて小柄なシルエットがすっと玄関に消えるのが見えた。
私は小走りでその家に向かった。
薄暗い街灯の下に現れたのは、写真よりは老けてはいたが、
やはりどこかルパン三世に似た中年男だった。
名乗った上で、過去の事件を取材している記者であることを伝える。
「一八年前の事件について伺いたい」そう言うと、突然の訪問からか男は若干の狼狽を見せた。
菅家さんが収監されているとはいえ、男が真犯人なら逃亡の恐れもある。
取材は迂遠なやりとりで行なうしかなかったが、
まずは九〇年五月一二日、「足利事件」当日のことを男にぶつけてみた。
(中略)
そこまでわかった段階で私は話を変えた。
今度は「横山ゆかりちゃん事件」についてだ。
(中略)
一一キロ離れた二つの現場に出没し、連続事件の犯人として全ての条件を満たす男との会話は、
いろいろな意味で私の心に刻まれた。
(清水潔『殺人犯はそこにいる』p202~204)

真犯人に迫る証拠もある。
真実ちゃんのシャツだ。そこに残された真犯人のDNA型は、最新式の鑑定法で特定されている。
再鑑定で検出されたDNA型は、一八年目にして浮上した重大な証拠ではないか。
そしてついに、その日は来た。

明滅を始める携帯電話の赤いLEDは、私にいつも嵐の前ぶれを感じさせる。
鬼が出るか、蛇が出るか。
記者の首輪だか必需品だか知らないが、
いつだって鳴ればえいやと取らねばならないのが携帯電話というものだ。
ディスプレイには、私が待ち続けていたある人の名前が浮かび上がっている。
ゆっくりと携帯を開くと、覚悟を決めて耳に押し当てる。
意識して興奮を抑えたような男性の声が響く。司法関係者だ。
かつ、DNA型鑑定のプロフェッショナル。彼は一気にこう囁いた。
「いやー、結果が出たそうです。完全一致だと。ドンピシャだと。同一人物ですよ。
これは大変なことになりますよ……」

今度は「不」のない完全一致―。
携帯電話を握りしめたまま、私は深い安堵の息をついた。
やっぱりそうだったか……。
私が追い続けてきた「ルパン」と、「足利事件」の真犯人のDNA型が一致した。
高精度のSTR法によって、男だけが持つ「Y染色体」部位はもちろん、
男女のどちらもが持つ「常染色体」まで、その全てが「ルパン」と完全一致したのだ。
そして、MCT118法で言えば、「ルパン」はあの「18-24」型だったのである。

この鑑定法による全ての型の合致確率は、計算上は一〇〇兆人に一人。
地球の人口は約七〇億人。つまり確率計算自体がもはや意味すら持たない。
ドンピシャ。
電話を切った後もその言葉が私の耳に何度も蘇る。
私の「推論」が「真実」へ足をかけた瞬間と言ってよいのだろうか―
積年の疑問の氷解は、時に、恐怖感すら伴う。
私はぞくぞくとした感覚を味わいながら、次の手を考える。
捜査機関に伝えなければならない。
これは、一報道機関が、「スクープ」などと言ってただ流してよい情報ではない。

(清水潔『殺人犯はそこにいる』p207~209)

 

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

 

 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
https://datazoo.jp/tv/%E6%96%B0%E5%A0%B1%E9%81%932001/901119/2
>2015年10月18日放送 7:30 - 8:55 フジテレビ
>新報道2001

>女児誘拐事件 画像解析で“重要参考人”に迫る
>重要参考人の手がかりでカナダのクィーンズ大学のバイオモーションラボに画像解析を依頼した。
>解析結果は重要参考人は男ではなくかもしれないということだった。

>女児誘拐事件 女性が“重要参考人”の可能性
>体格的に歩き方が大げさすぎるため女性の可能性もある。右手を上げ指差す動作は女性に多く見られるという。