うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『幕末百話』篠田鉱造 ――明治維新の現場の声

 幕末を生きていた老人たちからの聞き書きを集めたもの。

 明治35年から38年にかけて報知新聞に連載された。

 幕末における社会の混乱、犯罪、庶民の生活が描かれている。

 

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・芝居

 歌舞伎役者に関する話題・スキャンダルは、江戸時代でなポピュラーだったようだ。

・人斬り

 武士にとって人の命は軽いものである。

 町民は武士に頭が上がらなかった。試し切りをするために夜徘徊する武士たちがおり、因縁をつけられると斬殺された。

彰義隊

 戦闘の際、草鞋の紐を結ぼうと敵に背を向けて首を刎ねれらた男。

 江戸にいた武士たちの多くは強制的に彰義隊編入されたが、裏切りや敗北で、間もなく隊は崩壊し、官軍は切捨て御免で幕府側の武士に対し人間狩りを行った。

 語り部たちは変装したり、官軍側に扮装したり、知り合いの家に逃げ込んで一命をとりとめた。

 

・犯罪

 強盗医者

 貧窮組

 強力な辻番

 

 折助……大名屋敷に寄生する食客たち 病人の殺し方 うんこひっかけ吊るされる岡っ引

 

 上田馬之助……喧嘩をふっかけてきた酔っ払いの織田家武士2名を斬殺するが裁判の末微罪、後、警視庁に就職した。

 

 銭湯で公方(徳川将軍)の悪口に相槌を打ったために密告され、刑場で拷問を受けた話。

 

 天保銭……各藩で陶器をまぜて鋳造したため価値が暴落した。

 

 維新の大赦令……牢屋から曲者が続々と出てきて、「八州鎮台」、「関東巡察」等の旗を掲げて町民たちを脅かした。後に素性がばれて街頭で斬首されるものもいた。

 

 例幣使……貧乏公家とその債権者である米屋、酒屋などが皆烏帽子をつけて、わざと駕籠から落ちて人足たちに対し金をせびる。

 

 異人殺害……攘夷派による外国人殺害に対し、幕府は「薩摩と京都禁裏の仕業である」と遁策を張った。

 

 コレがそもそも幕府の権力が薄くなる根本で、自ら箔をはがしたも同様じゃ。ついに幕府がこの遁策を張ったため、異人に将軍の上にまた天皇のあることが知れた。

 

 刑事の拷問……蛇の道は蛇

 

 撃剣修行……竹刀、面、小手による道場修行が安政の時代に流行した。

 主要な先生……齋藤弥九郎、桃井春三、千葉周作

 

 肉食は外国人来日後、維新後に急増した。

 

 治外法権寛永寺

 

 沼津兵学校……明治元年(1868年)に徳川家が開設したフランス式軍隊教育学校。旗本御家人のレベルの低いものがいた半面、後の陸軍将官となる者も在籍した。

 まともな学問・技量のない旗本を見て教官たちは「これだから徳川は亡んだのだ」と笑ったという。

 

 ある士族は刀を質にいれてしまったので、脇差に手ぬぐいをまき鞘だけを伸ばして羽織の下からのぞかせて出勤した。