SNSインフルエンサーへの税務調査開始 (2021/9/16) | 米国公認会計士のフィリピン税金や法律のあれこれ

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 こんにちは、米国公認会計士の橋本です。 最近、フィリピンでもユーチューブやFacebookなどを通じたSNSビジネスが盛んになってきております。 それに併せてフィリピンの税務当局も外国人インフルエンサーへの課税を行うため彼らに対し税務調査を行い、調査に基づき関連する税金を徴収する姿勢を強めています。

 

内国歳入局(BIR)は、2021年9月16日現在、フィリピン国内で活動する250人のインフルエンサーをリストアップし、税務調査通知の送付を行いました。

ソーシャルメディアへの投稿及びそれに関連してフィリピン国内で収益を得ている者は自営業者或いは国内において事業活動を行う者に分類されます。また昨年8月16日に発行されたBIRRevenue Memorandum Circular 97-2021(RMC 97-2021)で定義されているように、彼らの収入は一般に事業収入とみなされるため、関連する税金を課税するとしています。

 

RMC97-2021によるとインフルエンサーが得ている収益とは次のように定義されています。

 

・ユーチューブパートナープログラム (You Tube Partner Program)

・スポンサーのついてるSNSやブログへの投稿 (sponsored social and blog posts)

・広告収入 (display advertising)

・ブランドアンバサダー (becoming a brand representative/ambassador)

・アフィリエイト収入 (affiliate marketing)

・製品の共同制作 (co-creating product lines)

・自主制作商品の販売 (promoting own products)

・写真や動画の販売 (photo and video sales)

・デジタルコースやオンラインサロン、月額会費収入、電子書籍 (digital courses, subscriptions, e-books)

・ポッドキャスト・ウェビナー (podcasts and webinars)

 

またプロモーションと引き換えに企業などから無料の商品を受け取るソーシャルメディアのインフルエンサーやブロガーはこれらの商品の公正市場価値を収入として含める必要があります。

YouTubeパートナープログラムに基づく支払いを含め、他国からのロイヤルティとして扱われる収入も同様にインフルエンサーの総収入の計算に含まれ、課税対象となります。

 

BIRは関連する租税条約の情報交換(EOI)条項に従って、外国の税務当局から情報を取得する権限もあることを強調しています。 BIRには条約パートナーから情報を入手するための特別な権限が備わっているため収入を確認する手段があります。 BIRはインフルエンサーの納税義務を確定するために、租税条約相手国から入手したデータを利用する可能性があります。

 

そのためソーシャルメディアのインフルエンサーは、脱税による罰則金の賦課と確定税額の50%の民事罰則金の納付義務を回避するためにBIRによる正式な調査が行われるのを待たずに自発的かつ誠実に収入を申告し、対応する税金を支払うことをお勧めします。

二重課税のリスクを回避するために、BIRはフィリピンが租税条約を締結している国に居住する非居住者から収入を得ているインフルエンサーに、彼らがフィリピンの居住者として納税義務が発生することを通知しています。

 

通達によると、税金の支払いを故意に回避しようとしたり、納税申告を故意に行わなかったり、正確で正確な情報を提供したり、税金を支払ったりするインフルエンサーは、税金の支払いとそれに対応する罰則に加えて、税法に基づいて刑事責任を問われることを警告しており、今回、税務調査通知が送られたインフルエンサーの対応次第では、この問題が他のインフルエンサーに波及する可能性があります。

 

日本人ユーチューバーなども日々動画をアップロードしていますが、そこから得られる収入についても今後はきちんと確定申告の上、納付しておくことが求められます。

 

GMA News Online 2021/9/16より