生涯学習の国 | 米国公認会計士のフィリピン税金や法律のあれこれ

米国公認会計士のフィリピン税金や法律のあれこれ

フィリピンのビジネスや法律・税務・会計の最新記事や時事ニュースを配信していきます。

アメリカは生涯学習の国といわれています。 

 

日本でも最近は通勤時間や休日を使って資格の勉強をする方が増えたが、未だに非効率な残業を従業員に強いている企業が多いため平日はまとまった勉強時間が取れないようですが、アメリカは仕事のオンとオフがはっきりしています。勤務時間外の業務を一切行わないと決めている方もいらっしゃいます。

 

そして終業後の時間を自己研鑽のために使います。例えば社会人になってからも大学や専門学校に通ったり、通信教育を受けたりして、自分に磨きをかけている人を良く見かけます。それは、アメリカが日本以上に能力主義&学歴主義で、年齢に関係なく学校に通える風土が出来上がっているからでもあります。

日本は高校を卒業して大学入学し、留年しても一浪か二浪で進学希望者はほぼ全員が大学に入るため、大学生の年齢層は18才~24歳くらいで、在学期間は約4年間というパターンが一般的ですが、アメリカの大学はというと、高校から進学する人が圧倒的ではあるけれど、おおよそ1年が4学期制で、一定の単位(クレジット)を取得することで卒業するシステムなので、4年間で卒業できる人も日本に比べたら少ないと思います。

例えば卒業に必要な単位が120単位(クレジット)だとした場合、4年間で卒業するとしたら1年に30クレジットづつ取っていかなければならないが、「夏は学費を稼ぐためにアルバイトをしたいからスキップして、春・秋・冬の3学期で8クレジットづつ、5年間かけて卒業する」という人もいれば、2年間で100クレジット取ったから残りの1年間~2年間を起業したり、放浪の旅に出る人や軍に入隊などをして、時間をかけて卒業するという人もいる。 また大学を一度卒業して仕事に就いてから、今の会社に直結する専門知識を得たり昇進のための学位を取ろうとして復学する人もいるので年齢層は幅広いものとなっています。


私の知人も経営学を大学で学んで一度はEC企業に就職した後、仕事をしながらニューヨークで株式トレーダーになることを夢見て大学に復学して金融工学の勉強をしていました。
 

 そして彼は学業のために有給を使い果たした後、さらには勉強のために時間を使っているからと無給休暇を一部有給扱いにできないかと交渉していたようですが、結局のところ拒否されてしまいました。しかし後日、金融工学のMBA資格を取得したことで、早々と今の会社を見限り、目標でもあった投資会社に転職してしまいました。結局アメリカ人にとって会社とはお金を稼ぐ手段に過ぎないのだと思い知らされる瞬間でもありました。

アメリカは競争社会というけれど、会社も従業員の獲得競争にさらされていることを実感した瞬間でもありました。会社をやっている身としては、もしアメリカで会社を運営するとなると従業員からいつ無理難題を突き付けられるかと思うと寒気がする思いです。従業員を雇い続けるためには会社も企業価値を高めて少々の要求にこたえられる経営体力をつけておかないといつ倒産してもおかしくなさそうです。 

しかし、世界の市場で戦うには従業員は常に自己研鑽を迫られ、会社もシビアな従業員の獲得競争と高い給与を払えるように企業価値の増大という強迫観念にさらされ、生きる心地がしないような環境にさらされるのかと思うと自分にはそこまでできる自信が今のところあまりないというのが正直な感想です。

 

今はアメリカだけでなく中国やインドなんかもハイクラスの方々は勤勉で恐ろしいほど勉強漬けにさらされる環境で育っているということらしいので、今の日本の教育環境や自己研鑽の時間をとれない就業体系で果たして世界標準の人材が育つのかどうか、不安は募るばかりですが、少なくとも今自分にできることを着実にやっていくしかないと思う今日この頃です。