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【連想ゲーム 第3回目】星空を見上げた

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~ルール~

①順番を決める

②お題に沿って、想像していく

③尚、小説風とする

 

~メンバー~

 

 

【お題】

星空を見上げた

 

 

コカトリス

「やばい、間に合わない!!」

自転車のペダルを一生懸命に漕いだ。

今日の夜二十二時からペルセウス流星群が流れる。そのニュースを聞き俺はいてもたってもいられず外へ飛び出し、いまに至る。

初デートっていうわけにはいかないけど

あの子にあの景色を見せてあげたい。

そんな一心でペダルを漕いだ。

プルプルと太ももに入れてある携帯が鳴る。

もう着いたのかと落胆したが、今はそんなことに構っていられるほど余裕がなかった。

着いたか……。

山のてっぺん。展望台がある峰だ。

標高はそこまで高くないが、月明かりだけが照す絶好のポジション。

他の人がいないわけがない。その中で彼女を探すのは骨が折れた。

「おーい! 深雪さん。どこにいますか?」

ガヤガヤと騒ぎ立てる民衆のせいかなにも聞こえない。

「帰っちゃったかな?」その場にへたり込み下を見た。

「なーに、してるのかな?」

そんな声が上から聞こえた。

 

《黛クロナ》

「一番星を見に行こうよ!」

誘われたのは、夏の始まりの頃だっただろうか?

幼馴染みのあいつはいつも明るくて、クラスの中心にいるようなやつで。

地味な俺を支えてくれるような物好きだった。

思えば、いつからかあいつのことを目で追っていた気もする。

だから、早く元気になってほしい。

病気なんて、お前には似合わないよ。

そう願いながら、星空を見上げた。

 

《よう子》

二人で空を見上げていた。それは満天の星空だった。きれいだねーと、そうだな……という会話をして、そのあとは黙っていた。手は……繋がなかった。そのまま二人で、首が痛くなるまで空を見上げて、見上げて…………私の頬に涙が伝う。明日彼は行ってしまう。遠い戦地へ。帰ってこれるのか、これないのかわからない。またこうして星空を見られるのかわからない……わからないけれど……星空に願った。どうかまた、いつか、遠いいつかでもいいから。また彼とこの星空が見れますように……と。

 

《津蔵坂あけび》

誰よりも早くカシオペア座を見つけられる君は、オリオン座も見つけられない僕のことを笑った。

悔しかった。悔しくて悔しくて、必死に勉強して星座早見表も買って天体望遠鏡も買って、

君に僕の頑張りと上達を見せつけた。

でも、君は「まだまだだね」なんて笑う。

「だって、一番大切なことにいつまでも気づかないもの」

そう言われて僕は、もっと君に追いつきたくなったんだ。

そして僕は大学に進学し、宇宙物理学を専攻した。

誰よりも星のこと、宇宙のことに詳しくなるつもりだった。

でも僕はもう、君には追い付けないと思う。

今見上げた空に、誰よりも早くカシオペア座を見つけた。

きっと君よりも早いと思う。

それを確かめる術は知らない。

そう、僕はずっと、君に追いつけないんだ。

『だって、一番大切なことにいつまでも気づかないもの』

僕は今、宇宙のどこかに時空の歪みを探している。

君は僕を笑ってくれるかい?

 

《御船侑広》

戦争が終わった。星空の下、残ったのは私だけだ。

「同じ空の下。いるのは私だけか」

嘆く。そして、あの悲惨な日々を思い出す。

ある日、戦争がやってきて、15歳の少女が戦争に駆り出された。当然、私もユーリもアリアもサーシャも例外ではない。みんなが兵士として、生と死が渦巻く地へ連れ出された。

私たちは魔法で同じ人間であるはずの敵を殺していった。しかし、周りも人間も命を散らしていく。やがて、牙は私たちに向いた。

「ユーリ! アリア! サーシャ!」

星が火で炙られる夜に、友人は全員死んでいった。月は美しく輝いている。しかし、残酷なことに見ているだけだった。

やがて、戦争が去っていった。私の国は勝利し、多くのモノやヒト、コトを得た。一方で、私が失ったものは多すぎた。友人だけでなく家族も……。

そして、今、復興しようとしている街の夜空をたった一人で眺めている。

「この星や月が輝く夜空。見せてあげたかったなぁ」

呟いても戻ってこない。しかし、みんな、星となって生きているに違いない。