中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

「初動対応の遅れ」の話

2022-05-07 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他
 良い話ではないが、「初動対応の遅れ」とは、緊急事態等の有事にニュース等で流れる事が多く、その結果、後手後手に回って、以後に悪影響を及ぼし続ける様に繋がる。
 こんな話はコロナ禍での報道や、その後迷宮入りした犯罪捜査の報道等で溢れかえっていたので、ボクがわざわざ説明しなくてもイイのだが、ヒラマサの完全フカセ釣りでもこの「初動対応の遅れ」は以後の展開が不利になって、「結果はバラシ。」という率が高まる。
 で、今回はそれにまつわる話。


■ヒラマサは磯魚?■

 これはこのブログで何度もした話だが、同じ回遊魚であってもブリ族とヒラマサは習性が違う。ハリ掛かりして危機を感じた際に、海中に沈み根等の障害物の上を走るのがブリ族で、障害物の間に突っ込むのがヒラマサだ。だからブリ族への対応は多少遅れても何とかなるし、やり取りの最中にドラグやその他の操作でラインを放出できるので、ボクが磯釣り師だった頃は周りを含めて1.5号~2号のハリスでブリクラスを当たり前のように仕留めている。
 これに対してヒラマサは障害物の際や間に走り込むのでそうは行かない。大型になればなるほど掛けた地点から取り込みまでの間にある根周りを見つけてはその度に突っ込むので、執拗かつ傾向は顕著になる。よって、回遊魚でありながらグレやイシダイと同じタイプの磯魚の性質をもった魚だから、安易にドラグを使ってラインを送り出すと、根ズレでアウトになる。


■勝負の30秒■

 「アタリが出た後にモタつく」釣り人を現場でよく見かける。例としては、オートで掛かるフカセクラッチが付いたリール以外を使用していて、バックラッシュを起こしてそれをほどく間にサヨナラされる人、クラッチを入れたまでは良いが、その後すぐスロットルをフルにしない、あるいは全く入れないままでアワセの動作をしている人がそれにあたるが、それらの無駄、あるいは緩慢な動作が、いかに釣り人側を不利に導くかを説明する。

 船上から撒かれたオキアミは当然ながら潮上から流れて来る。これを喰うためにヒラマサも当然潮上に向かって喰い上がって来る。(低活性時は別)そしてマキエサの流れる筋に紛れ込んだサシエサを口にした後に反転して元の位置に戻ろうとするが、この時の動きがアタリとなってリールに現れる。従ってモタモタしていると刺さったハリやハリス&ラインの違和感を感じて反転&加速し、根周りに突っ込んでしまうのだ。
 従ってヒラマサとのやり取りで一番大事なのは、サシエサが相手の口に入ってから30秒以内の攻防で、ここで遅れをとると、ゲット率はグンと下がり、大型になればなるほど顕著になる事を肝に銘じて欲しい。

 スピードに乗った魚は急な方向転換は出来ないが、中でもヒラマサは器用な部類に入ると思うので、反転するまでの時間は短い。だから、こちら側にスキがあってはならない。
 よくこのブログに「30秒止めて」や「10m巻き戻して」と記しているが、これは糸フケを嫌っての事だ。ラインを出しっぱなしにして二枚や三枚潮の中、S字やW字状に糸フケが出た状態になっている時は狙った魚にサシエサが届く率が下がる上、運良くアタリがリールに出ても、タイムラグが出てしまい、違和感を感じたヒラマサに、相当な距離を既に稼がれているために即根ズレとなる確率が高まるからだ。従って、この糸フケの処理が前段階での準備になる。そして続くアタリが出てからが、この先の初動対応になる。


■初動対応■

 ヒラマサに対峙する釣り人が極力スキを作らない事が大切だが、その為に一連の動作を習得するのが早道となろう。以下はボクのパターンなので参考になれば幸いだ。
 まずアタリが出たらスプールを指で押さえてクラッチ・オン。(フカセクラッチ付きモデルは不要)次いでアクセルレバーをフルスロットルにしてからロッドをキーパーから外す。そしてラインの糸フケが取れて魚の重みを感じた時点で大アワセを入れるが、不足を感じた場合は二度アワセ、三度アワセを行う。
 ラインとの角度を90度付近になるよう、ロッドを上段に構えてリールの巻き上げ状態を確認する。そして巻き込みが十分でなければ左手でロッドを保持したままで、右手でラインを掴んで糸を抜いてリールに送り込むか、ポンピングで距離を詰めてゆく。
 ここまで書くと強引なやり取りに思えるかも知れないが、初動対応のキモは相手に反転するスキを与えない事に尽きる。上段で記したように、殆ど場合でサシエサを咥えた瞬間のヒラマサはこちらの方を向いているので、理想を言えば、そこから反転するチャンスを与えないよう、「頭をコッチに向けたまま」にするのだ。どうしても出てしまう糸フケ等の影響で頭がコッチに向き切っていなくても完全な疾走状態になる前であれば、ラインのプレッシャーを掛けていると、魚体に横方向の力が掛かるので、多少手こずっても、やがてはそれに負けて頭をコッチに向ける事も多い。よって「勝負の30秒」という理由はここにあるのだ。

 ボクの場合は、春の白石グリ釣行ではファイト開始時のドラグ値を4~
6kg辺りに設定して微調整を行っているが、これを支えるのが太ハリスだ。ハリス=8~10号&ライン=6~7号の組み合わせであれば、1mを超えるサイズであっても充分対応可能になる。(魚体にパワーが付く初夏以降の玄達瀬では更に太くなる。)
 また、ボクが電動リール、それも分速200m以上のハイスピードタイプを使うのは、この最初の30秒に、どう対応し、如何に大型ヒラマサに対して優位に立つかを考えているからであり、逆の意味では手巻きリールでは追いつかない(と、思っている)サイズを狙っているからだ。

 自分にアタリが出ないヘボさをさて置いて、他人の釣りを眺めていると、アタッた際の対応のマズさでバラすシーンを見るにつけ「モッタイナイ」と心中でつぶやき続けている。
 完全フカセ釣りはルアー系や生きエサ系と違って、マキエサの流れる筋に仕掛けを流し込まなくてはならないので、ラインとのバランスを考えると12号ハリス辺りが限界の釣りだが、最初の30秒を適切に対処する事で随分と有利な展開が可能になるのだ。要はモタモタして「防御?」している間にヒラマサに好き放題されてバラすのなら、「最初から攻めに徹した方が結果は上向く」という話だ。

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