バーンスタイン生涯唯一のチャイコフスキー全集
ひさしぶりのボックス化完全生産限定。同時期のマーラー全集と並び、ニューヨーク・フィル時代のバーンスタインの熱さを刻み込んだのが、このチャイコフスキーの交響曲全集です。
交響曲は1960年の第5番を皮切りに、1964年に第6番『悲愴』が、1970年に初期3曲が録音され、1975年の第4番の再録音で全曲録音が完成しています。いずれもこの時期のバーンスタインらしい、作曲家としての複眼的視点で緻密にアナリーゼされた解釈をもとに、音楽の喜びを全身全霊で伝えようとする情熱に満ちています。
金管や木管パートに名手をそろえた当時のニューヨーク・フィルのパワフルなサウンドも格別で、それをコロンビア・レコードが誇る「360サウンド」が見事にとらえています。
特に1964年録音の『悲愴』では、アダージョで終わるこの特異な交響曲のフォルムを明快に表出しつつ、熱い情感があふれ出てくるのは、ニューヨーク・フィルと一心同体となったこの時期のバーンスタインならでは。作品の魅力をストレートに味わえます。
このセットにはブックレットは付いておりません。トラック表は、各ディスクの紙ジャケットに記載されています。(輸入元情報)
【収録情報】
チャイコフスキー:交響曲全集、管弦楽曲集
Disc1
1. 交響曲第1番ト短調 Op.13『冬の日の幻想』
2. 交響曲第2番ハ短調 Op.17『小ロシア』
録音:1970年10月20日(1)、1967年10月24日(2)、ニューヨーク、フィルハーモニック・ホール
Disc2
1. 交響曲第3番ニ長調 Op.29『ポーランド』
録音:1970年2月10日、ニューヨーク、フィルハーモニック・ホール
2. 幻想序曲『ロメオとジュリエット』
録音:1957年1月28日、ニューヨーク、セント・ジョージ・ホテル
Disc3
1. 交響曲第4番ヘ短調 Op.36
2. 幻想曲『フランチェスカ・ダ・リミニ』Op.32
録音:1975年4月28日(1)、1960年10月31日(2)、ニューヨーク、マンハッタン・センター
Disc4
1. 交響曲第5番ホ短調 Op.64
録音:1960年5月16日、ニューヨーク、マンハッタン・センター
2. スラヴ行進曲 Op.31
録音:1963年1月21日、ニューヨーク
3. 序曲『1812年』 Op.49
録音:1962年10月2日、ニューヨーク、フィルハーモニック・ホール
Disc5
1. 交響曲第6番ロ短調 Op.74『悲愴』
録音:1964年2月11日、ニューヨーク、マンハッタン・センター
2. 幻想序曲『ハムレット』 Op.67
録音:1970年10月19日、ニューヨーク、フィルハーモニック・ホール
ニューヨーク・フィルハーモニック
レナード・バーンスタイン(指揮)ステレオ録音
☆4のコメント 2020年4月投稿
録音は57年から75年の長期に及ぶので演奏スタイルは微妙に変化している。若い頃はテンポが速く勢いがあるが、70年代になるとテンポも遅くなってきて表情も濃くなってくる。
私の好みとしては1番~3番が好演、後期交響曲では5番がいい。管弦楽曲では「ハムレット」がスケール大きい演奏。ただ、録音時期がバラバラなので音質も大きく違い、一番新しい4番の音が一番駄目。これは58年盤のほうがよかった。
音質で損をしている演奏が多い印象であり、HMVの宣伝文句のような好録音揃いとはいえず、優秀録音の全集が増えた今、相対的価値はやや落ちたと思う。データミスがあるのも残念。
レナード・バーンスタインのレコードは、若き頃にニューヨーク・フィルハーモニックを指揮したドヴォルザークの「新世界」でした。
オーディオ装置のスピーカーのテストには交響曲が欠かせないソースでした。
また、「さしそせそ」ノイズを確認するのに用いていたのが、シングル盤で森昌子の「先生」でした。