見出し画像

知財データの不備

知財情報を色々活用したい。特に経営に関わりたいと知財村が総出で盛り上げようとしています。

しかし、知財データは特許公開まで一年半という遅れよりも、より大きな問題が有ります。
かけたデータ欠損データ=NAが存在するという問題です。
知財を出す会社と出さない会社の差が激しい。出す分野とノウハウとして隠す分野の差が顕著である。といった偏在の話は知財担当には良くわかると思いますがそれ以外にも有ります。
また、以前も書いたとおり属地主義のために必要な国を絞って出願するためにアメリカと中国のみ、自国の日本さえ出さないのである国だけでは片手落ちの時が有ります。

欠けたデータで有名なのは戦争で航空戦を行った戦闘機の分析が有名です。銃弾を受けた飛行機のデータには墜落したデータがないという話です。

つまりなんとか基地まで戻ってこれた戦闘機の分析はひとつも帰還率の向上に役立たない。その戦闘機が射たれていない箇所をあえて強化しなくてはいけませんでした。クリティカルでないから生還出来たという逆説的な話です。
HUAWEIのなかには射たれた戦闘機があるそうですが、まさにアメリカから出入り禁止されてシャットダウンされるなんて思ってもみない話だったと思えます。

また、今も残る木造建築をもって、木造って長生きというのは立替された粗雑な建物の存在を忘れているというのも有りました。

経営における失敗データ

渋沢栄一の潰した事業が凄いというのも生存バイアスがかかっています。引退時に降りた役職が600社におよぶそうです。
商工会議所しらべでは実際には480社にもおよぶ起業への関与があったという調査もあります。株式会社以外の今でいうNGO、NPOといった互助会が退任した役職に含まれるからかもしれません。
百年後の現在でも186社が生存していると三谷宏治先生は言ってました。
吸収合併されたりしたものを含めると286社。半分以上の残りはご臨終しています。
それでも凄いですが、渋沢栄一のおこした全ての企業が凄いわけではなくて割引く必要が有りますことをご紹介しておきます。

当たり前ですが今も健在な企業ばかりが持て囃されるわけですね。

逆に失敗しまくっていても余り話題にならない、上手な失敗こそが大事だということをあげる経営学者がいました。

アップルのミス 入山教授のはなしは、販売中止した製品を列挙していました。

アマゾンのミス 成毛さんのデータを示して 山口周さんも撤退上手だと誉めていました。そのなかで例示されていたのが

アマゾン·オークションズミレニアム一年 1999

検索エンジンA9 四年 2004

ミュージックインポーター三年 2012

ファイアフォン一年2014

アマゾンウェブペイ七年2007

と開始時きの西暦から漢数字しか販売していませんでした。他にも短命な商品として          

ペイフレーズ2009

アマゾン·ローカルレジスター2014

アマゾン·ウォレット2014

アクスビル2006~2013
なども例示しています。
デスバイアマゾンならぬ自死ですね。

データの欠損理由

とかく私たちはとりやすいデータだけから判断しています。 あったかもしれない、欠けていることがわかっているデータ、そもそも測定していないわかっていないデータは世の中に存在しないためどうしても後回しされがちです。

例えば自社サイトを利用しないユーザー?の存在が多いとか。

東京都の重症患者の定義など変わると比較できないとか

中国の出生率も捏造?とか

データの不備といわれて思い出す指標は数多くあります。それでは知財に絞って考えてみます。

知財データの不備

知財データは比較的客観的なのですが、ここでも欠けたデータが有ります。それはノウハウのような出願しなかった発明だけでなく根本的なものです。

論より証拠、ある特許のクレームをみてください。この発明は20年前の1998年出願ですが内容をみて凄いと思えます?

画像1

コンピューターの文書リンクに関する特許です。リンクの数によりスコアリングすることが書かれています。

従来技術として既にヤフーやエキサイトの検索エンジンは世の中に有ります。

どうですか?凄い発明だと分かりますか?

今の目ではなく、15年前だとどうですか?



答え合わせするとこれはアメリカの十大発明のひとつです。

グーグルの基本特許です。

画像2

ラリーペイジがスタンフォード大学のTLO ?と書いた発明です。

この発明をもってライセンス交渉するも誰も見向きもせず自ら起業したそうです。

主観的に質を、特許の価値を判断する目がない。

経営に用いるコックピットデータになり得ない。

で結局、知財の数を求めるしか出来ない。悲しいですが事実です。

まとめ

知財の10年選手なら年金で本来なら捨てるべきでない特許を捨てて後悔したことがあると思います。また外国出願しなかったことでの後悔も。

データを読み解く力が大事です。

中国ではビックデータを一括管理する一大センターを設けました。中国中央の貴陽省にあるのですが、デカイ電力施設があるわけでも、水力発電の三峡ダム近くでもありません。湾岸にばかりが発達するから内陸部というならチベットや内モンゴルなどもあるのに、と思っていたら謎が解けました。
習近平が抜擢した書記がここにいるからだそうです。いわゆる実績づくりです。
重慶では打黒しすぎて疲弊したところに若手のホープだった孫をあて、ぐずぐずさせて切った後にこの人を入れて周りがサポートしました。結果景気も上向き常務委員に抜擢人事。

さらっとデータだけからは読み取れないですよね。

知財でも他社からの感心度合いや被引用回数など質を代替する事データを求めています。
繰り返すことになりますが知財を出す会社と出さない会社の差が激しいですから数値だけではわからない。知財を出す分野とノウハウとして隠す分野の差が顕著である。といった偏在の話もありましたね。

経営に求められる知財データ、
それこそがデータ欠損データ=NAが存在するという問題でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?