一番楽しめたのは田中邦衛。

 

しろあです。

 

『マジックアワー』を久しぶりに見返して、ちょっと物足りなく感じつつも、

やっぱり三谷幸喜の映画は面白いなぁと思い、過去に遡って作品を探しました。

三谷幸喜のマイホームを建てるときのトラブルを原案に描いたコメディということで、

私もマイホームを建てた経験があるので楽しめるかなと思い再生。

 

放送作家の主人公……まぁ、三谷幸喜の分身ですね。

建設は奥さんのお父さんは大工の棟梁。

デザインは奥さんの学生時代の後輩にモダン建築も手掛ける家具職人。

今回、家を建てるにあたり、ふたりの力を借りることになった……

というのが大きなトラブルのはじまりです。

 

デザイナーはお店の内装デザインはやったことがありますが、一軒家ははじめて。

しかも建築士の免許がない

 

　いわゆる、素人。

 

お父さんはばりばりの日本建築の職人だけに、こだわりが強く、

家というのは強く頑丈でなければいけない、畳の部屋がないといけない、

などのこだわりがあります。

娘の家だから、いい家にしたい。その想いも強いわけですが、

 

　家具職人がもってくる図面、レイアウトに対するアイディアを鼻で笑い否定します。

 

うん、まぁ。そうなりますわな。素人の図面ですから。

挙句の果てにお父さんは「俺は降ろさせてもらう」と言い出すし。

 

そんな相対立するところも面白いんですが、主人公がコウモリのように

なんとかあっちを味方し、こっちを味方してバランスを取り持ち、

地鎮祭、上棟式と話は進んでいきます。

 

が、ほぼ建て始めるとイニシアティブは大工にうつり、

６畳の和室の約束が２０畳になっていたり、

塗料や建材などのデザイナーのアイディアを

「その素材はないし、時間がないから、こっちかこっちのどっちかから選んで」

と言いながら進めていく。デザイナーの意見は封じられてしまうのですが？！

 

　嵐の日、建設途中の家を見に棟梁が行くと、

　そこに心配してデザイナーもやってくる。

　デザイナーは明日の朝までにやらないといけない仕事があるので

　後は棟梁に任せて帰宅。

　デザイナーが帰宅途中、細い道で家を見に向かっていた主人公と

　すれ違い、その時にデザイナーの車は事故ってしまう。

 

　幸いデザイナーは命に別状はないのですが、

　病院の帰りに車に乗っていたお客様から預かったアンティークの家具

　をピックアップしたいという。

　この家具の破損を明日の朝までに直て納品しないといけない。

 

　車に到着し、確認してみると、事故の衝撃で家具はバラバラになっていた。

 

絶望しながらもパーツを集めて建設中のマイホームに持ってくる。

無理だと諦めるデザイナー。おろおろする主人公。

そこに棟梁が「これ、このパーツを作れれば、出来んじゃないか」と言い出す。

多少悶着はありますが、結果的には

 

　やってみよう

 

ということになり、３人で力を合わせて家具の修繕に取り組むのです。

 

デザイナーのアイディアと、棟梁の技術により、夜が明けるころに完成。

この出来事で互いに尊敬し合える関係になり、さわやかなエンディングへ向かいます。

 

と筋だけだとありきたりなストーリーですが、ここに三谷幸喜のシナリオ技術がふんだんに発揮され、

まだるっこしさを感じながらも、絶妙なテンポで話は進んでいきます。

時々挿入される　”建築格言”　のような言葉も面白い。

 

そしてなんといっても、大工の棟梁を演じる田中邦衛がいいですねぇ。

ああいう味のある俳優は演技指導とか、そういうの通り越して地の雰囲気で絵を作り上げちゃいますね。

この雰囲気って最近の映画やドラマでは見かけなくなってすっかり忘れてましたが、

昭和のドラマってこういうのあったよなぁ、と懐かしく感じました。

 

こういう演技を楽しむ、俳優を楽しむのに昔の映画を見るというのもいいかもですね。

 

気軽に楽しい映画を見たい時におすすめです。

 

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