理系夫婦Y子とMの昭和から令和まで

都内で働く薬剤師Y子と、パソコン・DIY・生物などに詳しい理系の夫M。昭和30年代から今日までの実体験に最新の情報を加え、多くの方々、特に子育て・孫育て世代の皆様のお役に立つことを願いつつ発信する夫婦(めおと)ブログです。

ワクチン接種2回目 ああシンド~~

Mです。

 24日にファイザーワクチンの2回目接種を受けた。やることは1回目と何も変わらないので、全体で小一時間のスケジュール。
 一回目接種のあとはどうでしたか?、と医師に聞かれたので、結構炎症が起きた感じが強くてナカナカでした、と応えた。発熱があってだるかったというのがそれに当たるだろうから、その見方でいうとおよそ半分くらいの方はそうですね、とのこと。

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(参考資料)
  青森県立中央病院 ワクチン副反応調査報告 より拝借
  https://aomori-kenbyo.jp/archives/112080

 はてさて、それがワクチン製剤の化学的性状による反応なのか、それとも、mRNAワクチンが効果を発揮するための「適切な細胞に取り込まれてウイルスタンパクを作って血中に放出」されたタンパク質に対する二次的現象の結果なのかは、どちらとも判断出来ないのが現実だろう。
 ただ、もし後者だとした場合、一回目接種で起こった発熱(炎症)反応は、体内の免疫系細胞がワクチンで作り出されたウイルスタンパクを、①これまで見たことのない外敵、と見たのか、②「あのウイルスだ」と既知の相手と判断して起こった反応なのかによって、その意味は大きく違ってくる。
 ①の場合は、mRNAワクチンが効果を発揮するときは発熱を伴うものだ、という単純な現象になる。しかし②の場合は、知らず知らずのうちに既に新型コロナウイルスを体内に取り込んでいたか、あるいは従来型のウイルスに似ているということで、体内の免疫系が「あのウイルスだ!」と防御反応を発動した結果の発熱、ということになるからだ。この場合には、1回目接種から、すでに免疫系の二次反応(既得免疫反応)に似た現象が起こっている、ということになる。

 ところで、上に示したグラフは、実のところ、今回Mが接種を受けたクリニックの医師の感触とは、大きく異なっている。
 発熱に関して見ると、一番右側の棒グラフがそれにあたる。なんと、青森では、一回目投与で発熱した人は40人に1人である。2回目になると一気に増加して約半数。これは、東京都内でワクチン接種に当たっている医師の発言と比べると、あまりにも大きな差、という感じがする。
 半分程度の人が、1回目の接種後に発熱反応を起こしている、という医師の発言から思うのは、東京では、初回接種なのに軽度の二次免疫反応(過去に対応したことのある相手に対する反応)を起こしたケースが多いのではないか、ということ。そして、2021年9月現在で多数の感染者を抱えている東京都内では、多くの人が、実は新型コロナウイルスにかなりの頻度で出会っていた(発症しないで感染だけしていた)ということを示しているのではないか、と思ったのである。青森のデータは、東京よりもずっとクリーンな環境の人々だから起こったのではないか、という気がする。 

 だとすると、ほとんど東京で動き回っているMは、2回目接種後はシンドイ結果が予想される。1回目接種で免疫系は迎撃態勢を整えているから、2回目接種後は、mRNA由来のタンパクが出てくるだろう6~12時間くらい経つと、1回目よりはるかに強い免疫反応が起こり、熱も高くなれば、だるさ、痛さなどの全身反応も強く起こるだろう。
イヤだなぁ、でも多分そうなるだろうなぁ・・・、と思いながらクリニックから帰ってきたのだった。

 案の定、接種から8時間ほどで、内部熱感が起こってきた。身体の中が熱くなってきたと感じ始めたのである。体表面温度はあまり変わっていないが、暖かいものを避けたくなってきて、床の冷たさが気持ちいい、などの知覚に変わっていく感じ。食欲は落ちていなかったが、温かい食べ物はイヤだ、という感触があって、どちらかというと冷たいくらいの総菜を出来るだけ飲み込んだのだった。消化さえしてしまえばどうにかなる。明日は戦場かもしれないのだ、という気構えで食った!

 どうにか就寝まではそのくらいの状況で推移した。
 ところが未明、ガタガタ来る震えで目が覚めた。時計を見れば午前2時。接種から16時間である。明らかに表面体温が上がっていて、風邪で高熱を出したときの感触と全く同じ。ゴソゴソ起き出して解熱剤を飲み、その辺にある厚手の服をまとって毛布まで掛ける。しばらくガタガタ震えていたが、多分30分程度で解熱剤が効き始めたのだろう、再びの眠りに入れたのが幸いだった。

 翌朝は、普段通りに起きたものの体調は良くない。薬が効いているので熱はさほどでもないが、結構だるい。2時間ほどの運転が必要な移動をしなくてはならないので、解熱剤を追加しながら、どうにか気張った。

 結果的に、運転もどうにかなったものの、接種から30時間ほどは、とにかくだるく、さらに節々が痛く、ファイザーのバカヤロ~~~、と叫びたい気分だった。

 思うに、Mの場合、今回のワクチンは、接種一回目から既存の免疫反応を呼び起こしていたのだと感じる。それが、以前からあるコロナウイルス(当然Mは感染歴があったはず)との共通抗原性に対する反応だったのか、それとも新型コロナウイルスに最近感染していたためなのかは不明だ。
 ファイザーであれモデルナであれ、開発者たちは、新型コロナウイルスのスパイクタンパク遺伝子を調べて、従来型との違いがある構造の元になる遺伝子を見つけ、そのmRNAを合成したはずだ。ただ、そのmRNAから作られるタンパク質は、古くからいたコロナウイルスたちの表面タンパク質と「全然違う」はずはない。むしろ、似ているけど違う、という程度のはずである。だから、今回の、初めて実用化されたmRNAワクチンがそこそこの効果を発揮できたのも、既存のウイルスとの共通性があったからこそだ、と考えることも出来る。「こいつ、あのワル仲間だぞきっと!」と認識できたので、ならば対抗しようぜ、と早期の反応が呼び出されたのだろう。

 正直言って、今回のワクチン接種は、仕事上の必要性がなければ受けたくなかった。多分、結構シンドイ副反応に見舞われるだろうな、と感じていたから。そして、結果的にその通りになった。

 多くの人の命を救うことになっているのは確かだろうが、一方で、今回のmRNAワクチン接種は、世界規模で壮大な臨床試験を行っていることに他ならない、と思っている。実際のところ、安全性試験等を急ピッチで進められたのは「ウイルスそのものを使うのではないから」という一点に尽きる。従来のワクチンでは避けられない、「感染源そのものをカラダに入れる」という危険行為は、慎重にも慎重を重ね、何年もかけて安全性を確認することでクリアしてきた。その時間経費がmRNAワクチンなら回避できるのである。
 それは分かるのだが、はっきり言って、mRNAワクチン自体が、まだ開発途上のワクチンなのだという事実も我々は認識しておくべきだろう。とにかく今回のコロナ騒動では、そんな開発途上のものであっても使わざるを得ない状況を作ってしまった。メーカーにとっては、棚ぼただったはずだ。
 使わなければならない状況に陥ってしまったから、リスク覚悟で各国とも迅速承認して使ってしまった、というのが現実なのである。

 今後、mRNAワクチンは、ワクチンメーカーの主要アイテムになっていくだろう。それは良いのだが、従来型ワクチンのような多能性を持たない「単一指向性ワクチン」である、という特質も軽視しないでもらいたい。従来型ワクチンの利点を踏まえながら、複数種のmRNAをミックスした場合の効果をみるなど、いろいろと検証を進めていくことも試して欲しい。
 デジタル時代にどんどん衰退してしまったアナログアイテムが今になって再評価されているのと同じで、従来型医薬が新型医薬に駆逐されてしまうことのないよう、製薬企業には、コスト最優先だけでなく、効果最優先の開発思考も捨てないで、味のあるクスリ作りを残して欲しいと思う。