飛び込むBlue

終わりはまだまだ遥か先の方だ

「煙か土か食い物」を読んでいる

最近読んでいる本は舞城王太郎の「煙か土か食い物」。

僕のことを昔から知る人は驚くかもしれないけれど、実はこの本を読んでいない。僕の初舞城は「世界は密室でできている。」で、その後「阿修羅ガール」「九十九十九」「好き好き大好き超愛してる。」「SPEEDBOY!」「山ん中の獅見朋成雄」「ディスコ探偵水曜日」「ドリルホール・イン・マイ・ブレイン」などを読んだ。翻訳の「コールドスナップ」も読んでいる。

でも実は「煙か土か食い物」を読んでいなかった。読みかけたことは何度もあったし、購入して手元にはあったのだけれど、なぜか読み終えていなかった。たぶん、「煙か土か食い物」がはじめての舞城だったら、その文体の面白さからワクワクして読み進められていたと思うのだけど、舞城文体に親しんだあとで手を出してしまったので、冒頭で「あー舞城文文体だな」と感じ、それだけではわくわくせず、ストーリーが動き出す前に諦めてしまっていたのかなという感覚。とはいえ、ゼロ年代のあの時代のメフィストファウストを追いかけていた身として、「煙か土か食い物」読んでなかったのかよ、というのは自分に対して思ったりする。

じゃあ何故いま手を出したのかというと、先日から通い始めた小説教室で、他の方が書いたプロットを読んだとき、その文体にほんのわずかに舞城みを感じたからだ。その人は全然舞城読者ではないし、そもそも小説というよりも脚本を志向しているタイプなので、そこを重ね合わせるのは特に意味ないんだけど、もしかしたら勧めたら面白く読んでくれるかもしれないという印象がある。まあ、勧めるんだったらその前に自分が読まないといけないし、勧めるかどうかは別として、そういや読んでなかったなという思いがあり、読み始めたという次第。いやしかし読めば読むほど文体が舞城だなぁ。この文体がこの作品の登場まで世の中に存在しなかったというのが、なんだかすごい。

いつの世の中も「新しい」作品を見ると、なぜこれがこれまで世の中になかったんだという思いになる。メフィスト賞受賞作はやっぱりそういう作品が多いよな。