(「清らかな少女の如く」からの続き)
皆さん正解。私の投げキッスを受け取って下さい(だから要らねぇって言ってんだろ)。
堤防の先には中国を代表する大河、長江(揚子江)があるではないですか。私は言ってやりましたよ、「長江の水があるでしょ、それを使いましょうって」。
するってえと、奴さん達、鳩豆です。「長江からここまで300m以上(季節によって変わる)です、ここまで水を運ぶのは人手がかかり過ぎます」って言うじゃな~い。
「ポンプを使ったら」と言うと、「電気が無い」って言うじゃな~い。「発電機使いましょう」と言うと、「発電機?」って知らないの。
皆さん知ってますよね。祭りの屋台で良く使っている、燃料入れてエンジン回して発電する奴です。中国にだって探せばあるでしょう。
いや、前回の出張で、私は鉱山で確かに見たぞ。読者の皆さんも見た筈。明日鉱山に行けば解りますが。今知りたいと言う方は「人気者」の記事の3人の子供の写真を見てください。
しかし最早彼らは興味を失っています。やれやれ、水洗設備は無理か。
原料の規格は、250~50㎜なんですが、+250㎜が多すぎて、これも改善の必要があります。工場の機械に入らないのです。
無理に入れると壊れてしまう為、小割しなければなりません。しかし彼らは、「小さくすると-50㎜が増えてしまうから勿体ない」とぬかすんですよ。
規格は規格、「あ゛~ん、アンタらの都合なんて関係ねぇ~んだよ」とは言わないで、ここは冷静に行きましょう。
「このままの状態ならば、この原料の使用は止める事になります」、「・・・」、「良い原料なのに勿体ないですね」、「・・・」。
少し間を置き、「もしも、規格順守と水洗の徹底をしてもらえるならば、-50㎜も原料として検討しても良いんだけどなぁ~、勿体ないなぁ~」。
と言うと、「具体的に如何すれば良いんですか」と食いついて来ましたよ。
「網(10㎜)の上で水洗して泥や異物を洗い流してくれるのならば、50~10㎜と言う新規格を作っても良いと言う事です」(実は相当品でテスト済みです)。
-50㎜は泥や異物が多く、原料として使用できないのです。仕方なく彼らは、工事用の砕石としてほとんどタダ同然で業者に渡しているんです。それが売れるとなれば・・・。
「さっきの水洗設備についてもっと話し合いませんか」。「話し合いじゃねぇ~だろ、教えて下さいだろ、あ゛~」と言う言葉も飲み込みましょう。
「明日、鉱山に行けば解りますよ、その設備があるから」って、何で客の俺が知ってて、担当者のアンタが知らないんだよ。これが完全分業制の欠点ですね。
自分の仕事以外頭にないんです(日本でもそういう人いますけどね)。
私は以前、アルバイトで、橋脚の強度劣化促進工事にたずさわった折、ドリルの冷却水として、川の水をポンプで汲み上げて使用した経験があったのです。「経験は力なり」ですね。
私は、水洗設備を導入した場合、必要となる作業が出来るか否か、選別責任者の蔡さんと担当者を交え確認し、蔡さん煽てて(更にたばこ2個あげて)蘄州港を後にしました。
蘄春に戻ると嫌な嫌な宴会です(「戦場の不思議な夢」参照)が、連れていかれたのは以前とは違う小ざっぱりとしたレストランです。
Kさんが、「N(前担当者)から酷い店だったと聞いてましたが、悪くはないじゃないですか」、「前回は酷かったですよ、ヤモリが這ってましたからね」。
私は「ここは如何言う店?」と聞くと、副県長さんが「蘄春で一番のレストランです」だってさ。「前回の店(蘄春で一番のレストランだった筈)は如何なったのですか」と聞くと・・・。
担当者とヒソヒソして「ここに移ったんです」だと。テーブルも使い込んでいるみたいだし(前回のレストランに在った物じゃない)、半年しか経ってないのに不自然です。
これが中国人の面子って奴です。ただの嘘ではないですよ。自分達の立場と客の立場を慮っての嘘ですからね。解ってやりましょう。
ただ、皮肉を込めて、こちらも面子を通しましょうか。「前の店の方が良かったですよ、こんなに立派な店だと緊張しちゃいます」(やな奴)。
まぁ、私達が客としてランクが数段上がったって事だから、その証拠に、対外貿易局長と副局長までやって来ました。もう土産が無い。仕方なく、中国で買った煙草全部あげました。
宴会も程無く終わり、宿舎で固形燃料使ってミネラルウォーターを沸かして、カップラーメンで口直しです(美味い)。だって、ゲロマズ料理なんてまともに食べられないですからね。
Kさんと食後のコーヒー飲みながら、今日のまとめと明日の作戦会議をちょこっとして、さっさとオネムの時間です。
しかし、中国人との交渉は骨が折れます。あちらの立場を慮ってやらないと先に進まないのですから。でも、ここまではまずまずの展開です。明日は如何なるのかな・・・。
(つづく)
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