(「ギャラリーは何処へ」からの続き) 

 

 写真撮影の最中に異変を感じた私。鉱山調査で重要な事は生理的現象が起きない様に、出発前に後顧の憂いの無き様、トイレをしっかり済ませる事なのですが・・・。

 

 この日もいつもの様にトイレは済ませて来た私だったのですが、不十分だった様です。小の方ならばまだしも、拙い事になりそうです。このまま収まる事は無いでしょう。

 

 かと言って、27歳に成ったばかりの私には恥じらいとためらいがあります。例え村でトイレを借りるとしても、その距離は結構ありますから間に合わないかも知れません。

 

 日頃使っていないコンピューターをフル稼働して出した答えは、「下に降りても活路が無い、ならば、上に行くしか無い、頂上に行けば何とかなるかも知れない」。

 

 と望みを繋ぐしか方法が無さそうです。鉱山の底に小さく見える通訳に、「邱ちゃ~ん、山の頂上まで登っても良いですか」。

 

 ちょっと間があり、「良いけど、何もないそうですよ~」、「それじゃ~ちょっと行って来るよ~」。すると皆さん、上に上がって来ようとします。

 

 なぜ私は山に登るのか・・・。そこに山があるからなのか・・・。いや人がいないと思われるからですね。着いて来られちゃ困ります。

 

「やばいよ、やばいよ」。
 

 「上でちょっと写真撮るだけだから、すぐ戻って来るから待っててくださ~い」。すると皆さん歩を止めて、やれやれといった感じです(登るのシンドイですから)。

 

 「良し、これで何とかなりそうだ」と思ったのでした。しかし、そうこうしている間にも、のっぴきならない状態になっています。

 

 取り敢えず上に歩を進めつつも、下半身に渾身の力を入れ続けないと悲惨な事になりそうです。「いかん」、暫し歩を止めて耐え忍ぶ私。カモフラージュの為、写真撮影で誤魔化します。

 

 すると、神の助けかスウッと収まって来ました。しかし、過去の経験上このまま収まる筈がないのです。

 

写真撮影で誤魔化している時の写真

 

 「一度登ると決めた以上、登るのが漢、弱音を吐いたら負けだ」と訳の解らない事を呟きながら、急斜面を進む私。

 

 その顔には目的を遂げようとする男の悲壮感が滲み出ていたと思います。またしても、耐えがたい苦痛に襲われ、立ち尽くす私。

 

 「頑張れ頂上はもうすぐだ、ここで諦めてどうするんだ」と自分に喝を入れつつ、尚も上り続けた甲斐あって、頂上が視界に見えて来ました。

 

 歩きながらもベルトを緩め、シミュレーションします。「頂上に着くなり、下半身を露わにし、しゃがむと同時に目的を達成、その間絶えず監視の眼を緩めない」。

 

 兎に角時間勝負、手間取ってると怪しまれかねません。

 

 何とか何とか頂上に到着し、目的を遂げた私。

 

 監視中の写真(尻丸出しで撮影)

 

 すっかりスッキリした私は、山頂からの眺めをカメラに収め、下山しようとしたその時、鉱山とは反対側の斜面から、ゴソゴソと何かが近づいて来る物音がして振り向くと、人が・・・。

 

 斜面を登って来た農夫と思しき男は、見慣れない私の姿を眼にすると、鋭い眼光を向けています。たまらず「你好」と声をかけるも、無視して畑の方へ歩いて行きました。

 
 もう少し遅かったら、恥ずかしくもあられもない姿を見られてしまうところです。間一髪セーフ。ホッと胸をなでおろした私です。

 

頂上で写したパノラマ写真

 

 この後、13年もの間中国と深く係る事になる私は、何度か同じ経験をする事になるのですが、何処に行っても何処からともなく人が湧いて来るのです。私が引き寄せるのでしようか。

 

 中国は、それだけ人が多いと言う事かも知れません。

 

 こうして辛くも難を逃れた私は、山頂に大きな足跡、いや大きな印を残し、一目散に下山するのでした。

 

 人生初の野○○を山の頂でしてしまった私。果たして運が開けるでしょうか。

 

 乞う御期待・・・。

 

 

(つづく)

 

 

 

 

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