1月16日から20日まで開かれた今年のダボス会議は、テーマが「断片化された世
界における協力のあり方」(Cooperation in a Fragmented World)だった。
ウクライナ戦争によって世界が米国側と非米側に分裂し、非米側の諸国が米国側
(米覇権)の言うことを聞かなくなっている状況下で、米国側がどのように非米
側に言うことを聞かせるかを考えよう、という意味がこのテーマに込められている。
ダボス会議に集まるのは米国側を代表する政治家や財界人、学者、NGO運営者など
であり、エスタブ権威筋の人々だ。彼らは、歪曲報道を鵜呑みにして集団思考的
に「ウクライナ戦争は米国側(ウクライナ)の優勢、ロシア(非米側)の劣勢で
進んでおり、最終的に米国側が勝ってロシアが負け、非米側の結束も崩れる」と
考えており、それを前提に、どのように非米側を再び米覇権の傘下に戻すかを
考えよう、という話になっている。

https://bit.ly/3JbTh3s
World Economic Forum Invents New Word To Describe The Extreme Chaos Gripping Our Planet

https://tanakanews.com/220619ukrain.htm
すでに負けているウクライナを永久に軍事支援したがる米国

彼らは、非米側の結束は弱い、という集団思考的な間違った認識も持っている。
彼らの認識では、ウクライナ戦争で作られたのは「2つに分断された世界」でな
く「多数に断片化された世界」である。非米側が団結しているなら、米国側と非
米側が対立をやめてどう協力するか、という議論もできるが、そういう議論には
なっていない。ロシアが勝つかもしれないという認識なら、ロシアや非米側との
対話再開、という道もあるが、ロシアは負けるという歪曲話しかマスコミで報じ
られず、エスタブ権威筋の人々もそれを軽信しているので、ロシアや非米側と対
話・協力しようという話にならない。ダボス会議が語る「協力」は「再植民地化」
と同義だ。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/dark-side-davos-revealed-global-elite-bookings-sex-workers-soar
'Dark Side Of Davos' Revealed As Global Elite Bookings For Sex Workers Soar

https://tanakanews.com/220624russia.htm
プーチンの偽悪戦略に乗せられた人類

以前のエスタブ権威筋は、マスコミの歪曲報道を乗り越えて現実をとらえた上で
議論できる部分があった。たとえば、表向き「米国はイラクやアフガニスタンの
占領政策が成功して覇権が隆々としている」と報じられていても、ダボス会議な
どエスタブどうしの議論では「イラクもアフガンも失敗しており、米覇権が浪費
されている。どうしたら良いか」という話が通っていた。しかしコロナ危機開始
後この状況は消え、コロナや温暖化、ウクライナ戦争などに関して報じられてい
るインチキ話を本気で信じ(るふりができ)ない人はエスタブ権威筋から外され
て潰される全体主義的な末法状況になっている。正しい分析ができないので正し
い戦略を作れず、米覇権の衰退に拍車をかけている。(それが、米諜報界を乗っ
取った隠れ多極派の策略)

https://public.substack.com/p/why-a-shocking-number-of-crazy-sounding
Why A Shocking Number Of Crazy-Sounding Right-Wing Conspiracy Theories Turned Out To Be True

https://tanakanews.com/220515intel.htm
米諜報界を乗っ取って覇権を自滅させて世界を多極化

ダボス会議を主催する世界経済フォーラム(WEF)は「大リセット」を提唱して
おり、今年のダボス会議も大リセットを推進する議論に満ちていた。大リセット
の中心は「二酸化炭素の排出を大幅に減らさないと地球温暖化で人類が滅亡する。
排出減の実現のため、人類全体が生活水準の大幅な低下を甘受せざるを得ない」
という話で、人々の生活を悪い方向にリセットするのが大リセットだ。コロナの
超愚策(都市閉鎖)やウクライナ戦争は、エネルギーを大量消費して二酸化炭素
を出しまくっていた先進諸国(米国側)のエネルギー消費・炭素排出を急減させ
たので、その点は結構なことだとされている。今年のダボス会議では、以前から
提唱されていた「世界的に自動車の私有を禁止して排出上限を設けたレンタカー
だけにする新制度」などが議論されている。

https://www.theepochtimes.com/world-economic-forum-says-the-future-for-cars-is-in-the-cloud_4998526.html
World Economic Forum Says the Future for Cars Is in the Cloud

https://tanakanews.com/220509iyagar.htm
ひどくなる大リセット系の嫌がらせ

WEFやダボス会議では「世界はこれから食糧難になっていく」という話も出てお
り、食糧難と温暖化対策の両方に対応する策として「世界的に肉の消費を減らし、
肉の代わりに昆虫などを食べることを人々に奨励する。牧畜は温室効果ガスを
排出するので縮小する」というのが出されている。ウクライナ戦争で、肥料の大
製造国だったロシア(天然ガスから肥料を製造)からの輸出を米国側が停止した
ことも食糧難につながると喧伝されてきた。米国では食肉加工工場など食料品の
工場で放火など襲撃事件が相次いでおり、これも食糧難の一因だが、この襲撃は
米諜報界が黒幕だと指摘されている。WEFも米諜報界の代理勢力であり、諜報界
が食糧難を演出している。

https://rairfoundation.com/whistleblower-reveals-what-is-behind-the-mass-attacks-on-us-food-facilities-video/
Whistleblower Reveals What is Behind the Mass Attacks on US Food Facilities

https://off-guardian.org/2023/01/15/a-new-system-inside-the-davos-summit-2023/
"A New System" Inside The Davos Summit 2023

地球温暖化は無根拠なインチキ話だ。非米世界を率いる中国はそれを知っており、
温暖化対策をやると言いつつ火力発電所を大増設している。非米側は温暖化対策
をやるふりだけしてやってない。対照的に、米国側は温暖化対策を本気でやらさ
れ、経済の自滅を加速している。WEFやダボス会議は、米国側の経済を自滅させる
急先鋒になっている。ダボス会議に出席する財界人や資本家は、米国側の経済を
繁栄させることが強い希望であるはずだ。その彼らが、高いカネを払ってダボス
会議に参加し、害悪でしかない温暖化対策をやるべきだと言っている。この馬鹿
げた状況は何なのか。

https://tomluongo.me/2023/01/20/davos-2023-whistling-past-the-great-resets-graveyard/
Davos 2023: Whistling Past The Great Reset's Graveyard

https://tanakanews.com/221130climate.php
温暖化対策で非米化の加速

大リセットは、ある種の「世界の共産主義化・社会主義化」である。米国側の先
進諸国はこれまで(コロナ以前)自由市場経済で繁栄し、言論の自由もそこそこ
あり、市民は自由に生きていた。大リセットが具現化すると、米国側の経済はエ
ネルギー不足や消費社会の縮小で自滅し、自由市場は同時進行している米連銀の
QTなどによってバブル崩壊して消失し、言論の自由はすでになく、マスコミは歪
曲されたプロパガンダばかり発信し、それを軽信しない人は大幅に人権侵害され
る。市民の自由は剥奪されている。コロナや温暖化やウクライナ戦争など、歪曲
された「理由」をつけて市民の状況が大幅に悪化し、先進国の人々の生活は、昔
のソ連や中国や今の北朝鮮の生活に近づいていく。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/swiss-mp-davos-change-living-environements-force-public-follow-climate-goals
Swiss MP At Davos: Change Living Environments To Force The Public To Follow Climate Goals

https://tanakanews.com/220728russia.php
資源の非米側が金融の米国側に勝つ

社会主義体制下でも、共産党幹部など特権階級の人々の生活は良かった。今後の
大リセット実現後の世界における特権階級になるのが、米国側ではダボス会議の
出席者たちであり、非米側では中国共産党など既存の特権階級の人々だ。米国側
の金持ちは、大リセット後の特権階級として生き残るためにダボス会議に出たが
っているかのようだ。高い参加費は身代金だ。非米側は、大リセット後も状況が
あまり変わらない。大リセットは、主に米国側の欧米先進国を自滅させて社会主
義的な独裁の貧困国に変質させる覇権転換策になっている。これは「社会主義化」
なので、米欧や日本の左翼リベラルの人々は、大リセットを構成する温暖化対策
やコロナ愚策やウクライナ戦争のウソの構図を喜んで受け入れている。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/davos-foreign-minister-slovenia-demands-nations-respect-rules-world-order
Davos: Foreign Minister Of Slovenia Demands That Nations "Respect The Rules Of The World Order"

https://tanakanews.com/220730europ.htm
自滅させられた欧州

インチキな温暖化問題を使って米国側を経済的に自滅させる流れは今後もずっと
続く。米国では(諜報界に入り込まれた)左翼リベラルの民主党が、温暖化対策
としてガスレンジ・ガスコンロの使用を禁止しようとしている。これなどは温暖
化対策の口実で人々の生活を悪化させようとする策の好例だ。米民主党は、この
手の馬鹿げた策をやるほど支持が減り、共和党への支持が強まるが、民主党は選
挙不正のシステムを握っているので、今後も選挙に「勝ち」続ける。米国政治は
不正が肥大化しており、弱体化の一因になっている。効かないコロナワクチンが
延々と人類に接種され続けているのも、製薬会社が米政界に贈賄した結果の巨大
不正だが、エスタブ権威筋の一部であるマスコミが報じないので不正が是正され
ず、ワクチン連打に必要なコロナのパンデミック扱いも、コロナの重篤性の低下
を無視してずっと続く。

https://www.stationgossip.com/2023/01/no-trains-no-planes-no-automobiles-and_15.html
No trains, no planes, no automobiles and NO GAS Welcome to the DE-CIVILIZATION Democrat utopia

https://www.zerohedge.com/geopolitical/new-zeland-beta-test-western-governments-micromanaging-populace
Is New Zealand A Beta Test For Western Governments Micromanaging The Populace?

温暖化対策やコロナやウクライナ戦争といった大リセット関連の事象は、米覇権
を崩壊させ、覇権構造を多極型に転換するために必要とされている。大リセット
は、不合理が露呈しても無視されて延々と続く。日本はG7加盟国で米国側なので、
大リセットの不合理を拒否できずに受け入れている。だが、米覇権に従属して
いるだけで、米国が衰退したら対中従属に切り替えるだけなので、大リセットを
形式的に受け入れるだけで実質的な自滅策をあまりやらされずにすんでいる。日
本は、都市閉鎖もやらなかったし、ロシアから天然ガスを輸入し続けているし、
温暖化対策も掛け声だけでできるだけやらないようにしている。日本がやらされ
ているのは害悪だけのコロナワクチンの接種ぐらいだ。それも政府の強制でなく、
人々は(本人もしくは上司が)間抜けだから接種している。日本がAUKUSに入っ
たりしたら、もっと自滅させられる。

https://tanakanews.com/221111election.htm
選挙不正が繰り返される米国

https://tanakanews.com/220919multipol.htm
世界を多極化したがる米国



この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/230124davos.htm



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◆バイデンの機密文書放置事件はクーデター未遂?
https://tanakanews.com/230119biden.php
【2023年1月19日】オバマ元大統領らは、ウクライナ戦争などで中露を結束さ
せて米覇権を自滅させているバイデン政権の続投を阻みたい。バイデン政権内
でオバマの息がかかった勢力が、機密文書の放置を公式な話にしてしまう政治
的な失策をわざとやり、スキャンダルを起こしてバイデン政権を危機に陥れ、
共和党にバイデン弾劾劇をやらせたり、民主党内でバイデンを続投させない
動きを広げようとしたのでないか。そんな見方が米政界で出ている。しかし、
この件が報道され始めてから10日経ったが、スキャンダルは大きくならず、
むしろ沈静化している。

◆コロナ対策やめて世界経済の中心になる中国
https://tanakanews.com/230109china.php
【2023年1月9日】中国は今年からゼロコロナ策を放棄して経済成長を再開し、
消費市場もしだいに活況になるが、対照的に欧州など米国側の多くの地域はひ
どい不況とインフレ再燃・金利上昇による経済難が続く。中国は、世界で最も
経済が再活性化していく地域になる。中国は世界の実体経済の中心になってい
く。米国側の企業は、旺盛な消費を再開する中国に製品を売りたいと希望する。
中国側は歓迎だ。しかし、一つだけ条件がある。それは「中国を敵視する国か
らは買いません」ということだ。

◆多極化の決定打になる中国とサウジの結託
https://tanakanews.com/230106oil.php
【2023年1月6日】中露サウジが見ているのは短期やスポットの市場でない。世
界の石油ガス貿易の多くは10-30年の長期契約だ。今後5-15年ぐらいで契約更
新期に入る。欧米諸国が、以前と同じように契約更新できると思っていると、
OPEC側から「石油ガスは人権侵害など歪曲的なレッテルを貼らない中国側に売
ってしまいました。売り切れです」と言われる。米国側は石油ガスを買いにく
くなっていく。25年後までにドルの基軸性が大幅に低下する。ドル建てで売っ
てくれる産油国が減っていく。

 

田中宇の国際ニュース解説 無料版 2023年1月24日 https://tanakanews.com/

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コロナ対策やめて世界経済の中心になる中国 https://tanakanews.com/230109china.php
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