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この著者の本を読むのは初めてです。
著者の詩を知らないままエッセイを読むのは、順番が違うのかもしれませんが……。
『きみの言い訳は最高の芸術』 最果タヒ 河出文庫 2019
ブログに書いていた文章を中心にまとめた本とのこと。
友達とおしゃべりしているような軽い文体で書かれていて、読んでいると、ラジオやネット動画を通して話しかけられている感じがします。 一方的に、ぶわーっと言葉が来るような印象。
最初は、著者の文章と波長が合わないというのか、読んでも文章をうまく飲み込めないまま通り過ぎてしまうような、距離を縮めたいのに近づけないようなもどかしさを感じました。 (「ネガティブ極めて、ポジティブへ。」の話は、唯一(?)すんなり読めてわかりやすかったです。)
ただ、それでも頑張って読み進めていくなかで気づいたのは、このわかりづらさは著者自身が最初から相手にわかってほしいと思っていないからこそなのかな、ということです。
「わからない言葉であればあるほど、その人はその人だけの人生を生きてきたんだと、はっきりと知ることができる」 「いろんな人と、何言ってるのかわかんないよ、って笑ってみたい。人が、自分とはまったく違う人生を過ごしてきたんだということを、大切にしていたい。100%の理解なんていらないし、したくもないんだ。」(p.101)
「人に伝わってほしいとは思わなかったし、共感してほしいとも願わなかった」(p.163)
「わかんない部分があるからあなたと私は他人なんです。そういう態度でいたかった。」(p.164)
最終的には、よくわからないけれど著者が著者としてただ存在している、それだけでいいよね、と不思議と肯定的な気持ちになりました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.01.27 04:41:27
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