夏休み前のこと。

いつものようにクエマンションをチェックしていた左衛門佐。

いつものようにくっついていたタツノオトシゴを見て、

仕事休みで家にいた嫁さんに

 

「かあちゃん、タツノオトシゴさんだよ。」

 

と見せてあげた。

すると久しぶりにタツノオトシゴを見た嫁さん、

 

「あ~、タッツーちゃんだ!!カワイイ!!この子飼いたい!!」

 

と言い出した。

まさかの展開に思わずしまったと思ったがもう後の祭り。

知っている人もいるかと思うがタツノオトシゴの飼育は難易度が高い。

特に人工餌に餌付けされていないワイルド個体はガチで活き餌しか食べないので

この活き餌の確保がメチャメチャ大変なのだ。

しかし、かかあ天下の左衛門家で嫁さんに逆らうワケにもいかないので

しぶしぶ飼うことに。

流石にまだ何の準備もしていなかったのでこの子は一旦リリースし、

後日、ゴソゴソと倉庫からキューブ水槽を引っ張り出した左衛門佐。

気の早い嫁さんが早速買ってきた人工水草やらエアレーションやら

とりあえず水槽をセッティング。

桟橋をトコトコ歩いて船へ。

クエマンションを一つずつゆっくり引き上げながら入念にチェックすると

この日はタツノオトシゴがトータル3匹着いていたので

この子たちを家に持ち帰って飼育開始。

そしてこの日から左衛門佐の地獄の餌捕りの日々が始まった。

 

 

家のすぐ目の前が浜名湖という環境の左衛門佐。

とりあえず夜に常夜灯点いてるとこで採集すればなんとかなるんじゃね?と考えていた。

しかし全くもって考えが甘かった。

雨が降り真水が混じる→プランクトン寄ってこねえ!!

海草の端切れゴミ多杉→プランクトン掬えねえ!!

ヒラメの仔魚やってた時期と違って夏場はプランクトン採集するには

条件が悪すぎる。

それにいくら採ってもやはり一日でろ過されていまい、

翌日にはまた採集しなければならない。

それでも9月上旬までは雨の日も風の日も毎日頑張って

プランクトン採集していた左衛門佐だったがついにギブアップ。

嫁さんも一か月毎日水槽眺めて楽しんだので良しとしてくれた。

プキュン!パキュン!!とか言わしながら餌吸い込む姿はめっちゃ癒しだったけどね。

まあそれでも1匹も死なせることなく浜名湖に返せたのは良かった。

でもよっぽど暇なときじゃないとこれは無理だな。

何も飼育してるものが無い冬場とかだったらいいかもしれないけど。

 

 

さて、表題のクエちゃんであるがついに先日、

浜名湖へと返した。

最近またさらに偏食が激しくなり、

好きなメジナしか食べなくなっていたのだが

桟橋で採集できるメジナのサイズが大きくなってしまい、

餌に適したサイズのメジナが採集出来なくなってしまっていた。

仕方ないのでイサキ、ヒラアジ、カイワリ、ヒイラギ、メバル、

クロサギ、フエダイ、キュウセン、ササノハベラ、アオリイカ幼体、ミミイカ他など

今採集できる魚は全て試したのだがどれもダメ。

メジナだけは投入するとすぐに反応し、

鼻先で軽く小突いたり軽く噛んだりするのだが

やはり餌には大きすぎると言って食べない。

なんてワガママな子なんだ。。。

でもそろそろ潮時かな・・・。

新しい当歳魚のクエちゃんが来たら~と思っていたけれど

この水槽ではもう限界かも。

体長だとまだかもしれないが全長なら軽く30cmオーバー。

今までたくさんのクエを飼育してきた左衛門佐だが

かつてここまで大きくした子はいない。

めっちゃカッコイイ子に育った。

 

こんなにデッカクなりました。

 

流石にここまで大きく育てるとちょっと別れが寂しい気もするが

こうした別れは左衛門佐にとっては毎年のことであり、

毎回のことである。

この大きさならウーちゃんに狙われる確率も下がるかな。

なんとかせめてメスの成魚にまでは成長して産卵に参加してほしいね。

 

さらばだ、クエちゃん。

 

代わりのクエちゃんがまだ居ないので空いた水槽には

先日採集したマハタの当歳魚を代役で投入することにした。

新しいクエちゃんが来たらすぐに入れ替えるけど。

 

 

2021年産、マハタの幼魚。

 

体長6cmあるかないかってトコ。

やっぱマハタは目が大きくてカワイイね。

Epinephelus系のハタとはちょっと違う、

Hyporthodus系特有の体高がマハタの魅力。

 

第3水槽のアオハタ’Sも順調に成長しているみたい。

たぶん全長で5cmってとこだと思う。

”みたい”っていうのはいつ見ても姿見えないから。

餌食う瞬間しか出てこないから写真も撮れない。

稚魚のときはもっと動きがあって姿も見せてくれたんだけどね。

嫁さんに、

「この水槽、いつもタコツボとか土管しか見えなくてつまんない」

って言われちゃう。

ちなみにアオハタ同士は激しい喧嘩をしないので

隠れ家をたくさん作ってやれば混泳可能。

多分アカハタとかキジハタとでも上手くいくと思う。

 

そして左衛門佐の興味を一身に受けながら育っている例のスジアラの幼魚。

今、体長で6cmぐらいだと思う。

黒点にしか見えなかった斑点はものの見事に

美しい青星へと変化した。

体色も少し赤味が出てきた。

でもよく画像検索すると出てくる深紅みたいな赤じゃなくて

赤金って感じ。

スジアラにしてはかなり体色が薄い個体みたいだけど

浜名湖産だからかなのかはわからない。

 

体長3cmぐらいの頃。

 

体長4cmを超えたぐらい。この頃から顔の周りの斑点が青に変化しだした。

 

体長5cmを超えたぐらい。暗くて画像では判りにくいがほぼ全ての斑点が青に変化した。

 

活きているスジアラの幼魚を見たのは

ハタマニアである左衛門佐もこの子が初めてなので

いろいろと研究しながら飼育している。

食性についてはやはり魚食性が強い魚であることがわかった。

しばらくの間、常に小ハゼが5匹、小エビが5匹になるように

調整しながら餌を投入していたが

圧倒的に小ハゼを投入する方が多かった。

ハゼを食べ尽くすと小エビも食べるが多分この魚、

甲殻類よりも魚類の方が好きだ。

ちなみにハゼをヒメハゼ5匹、シマブー(シモフリシマハゼね)5匹で投入もしてみたが

なんと、シマブーは1匹も食べなかった。

そういえばクエちゃんも一度もシマブー食べなかったけど

なんだ、シマブーはハタちゃん達から毒魚認定でもされてるのか?www

 

ただ、スジアラの飼育にはかなり気を使っている。

理由は当たり前のことだがここ浜名湖の環境が

スジアラの生息には適さないことが容易に想像できるからだ。

左衛門佐は水槽に使用する海水は全て浜名湖の海水を使用しているので

出来る限り遠州灘から青く澄んだ潮の入ってくる

大潮の潮周りを狙って海水を汲んでいる。

昔よりも海水の流入量が多くなった浜名湖ではあるが

それでも遠州灘の塩分濃度と比べると若干低い。

果たしてスジアラがこの水質に耐えうるか?

という心配が一つ。

もう一つの心配は亜熱帯~熱帯系のハタであるスジアラにとって

ここ浜名湖の厳寒期の水温は低すぎるであろうことだ。

まあ水槽であれば冬場にヒーターで加温すれば良い話なのだが

この魚が耐えうる水温の下限値は果たして何℃なのだろうか?

左衛門佐はもしこの子以外に浜名湖に迷い込んだスジアラの幼魚が

他に何匹か居たとしても、

チョウチョウウオなど他の多くの死滅回遊魚同様、

浜名湖の低水温期を超えることが出来ずに死んでしまうのではないかと思う。

飼育し慣れた他の近海産のハタと違い、

本来浜名湖に居るはずのないスジアラの飼育は

正直わからないことだらけだ。

 

さて、本格的な秋が到来した浜名湖。

なんとなくだけど・・・。

今年はハタの子供、少ない気がするなぁ。。。

それでもまだ9月だから判断するには早すぎるけど。

まあ昨年もマハタの当歳魚だけが異常に多くて

左衛門佐は最終的に60個体以上のマハタの幼魚の顔見たけど

その他のハタの数はそうでもなかったもんな。

特にオオモンハタの幼魚は少なかった。

オオモンハタの当歳魚に関しては明らかに昔より

見る数が減っていると思う。

 

あ、そういえば・・・。

この子、未だに正体わからんのだけど・・・。

ってか、何でこんなに成長遅いの・・・?

 

お前はいったい何者・・・?