久しぶりに髪を切ろうと思った。
いつも行っているトコロに電話をすると、本日、予約でいっぱいなのだという。そういえば世間は連休だということで、髪を切りたい輩が沢山いるのだろうと推測。
自分は美容室に行く事が苦痛でたまらない。長時間、椅子に座ってじっとしていられないからだ。また担当の人が「今日はお休みですか?」といったありきたりの会話を仕掛けてきて、対応するのがひどく面倒でもある。
「お仕事は何ですか?」とプライベート領域に踏むこんでくる担当もいて、昔はこんな事やってんですよ、と正直に言うと、「じゃあ、タレントさんとかにも会いますか?」とゲスな方向にいくので、最近はニートですと言うようにしている。
さてやっと髪を切る覚悟をしたので、いつもの店の予約が取れないからと断念してしまうと、次いつその気になるかわからない。
それで普通の理髪店にふらりと入った。口数の少ない気難しそうな主人が「どうします?」と聞く。
「短くしてください」と答える。
「どのくらい?」
「いい感じで」
主人は無言でハサミを動かし始める。
気が楽でいい。
少し経って、隣の椅子に年配のおじさんがやってきた。
担当は女将さんとおぼしき女性。
この人が主人とは真逆でおしゃべり。一時たりとも黙っていない。このおしゃべりに気圧され、おじさんは苦笑い状態。
「どうしましょうね。前に切ったのは?あぁそう、2ヶ月前。じゃあ伸びた分だけ切りましょうか。それよりももっとさっぱりします?バリカンで。すごく短くすることも出来るけど、そこそこにもできますけど」
おじさんは俗にいうクロワッサンスタイルで前頭葉と頭頂部は薄く、温水洋一のようなイメージだ。
女将さんの口撃に口を挟む暇を見つけられないおじさん。
「まぁ任してもらってもいいですし。それともこんな人の髪型がいいとか、好みを言ってもらってもいいですよ。だれか好きなタレントさんとか…」
ここでおじさんはナイスな発言をする。
「将棋の藤井聡太なんかいいね…」
女将、大笑いしながら、「いやだぁー。そりゃ無理だわよ! 髪の毛、無いんだもの!」
無言で作業していた主人も隣をみやりながらニヤリと笑う。
店の雰囲気が一気に和んだ。
昔、シュールな4コマ漫画で床屋のシーンがあったのを思い出した。強面のヤクザが散髪屋に来る。恐る恐る髪を切る主人。髪を切り、ヒゲを当たり、調髪し、最後に主人が鏡を持ち出して「いかがでしょうか?」と客に尋ねる。
「そうだな… もうちょっと長くしてもらおうか」
主人は泡を吹いて倒れる。
理髪店に行くとなかなかおもしろい人間ドラマを見ることが出来る。
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