|
カテゴリ:ライトノベル
「scene clipper」 Episode 1
何時ものようにいた。 何時もの場所にいた。 (いいね、そうこなくちゃ) スニーカーとコンクリートが喧嘩しながら俺を 彼女の元へ連れて行く。嫌いじゃない音を引きずって。 少しづつ彼女の姿が大きくなってくる。 (ジーンズに焦げ茶?の半袖Tシャツだな) 胡坐をかいて左足はそのまま、右膝を立て 右ひじをそこへのせてスマホ、(誰かとお話し中ですか) 左の人差し指をせわしく動かしているのは視線の先、頭一つ上辺り その先を追ってみたが、ただの空気と、ちょくちょくその視線を 遮る人、さらには甲州街道に架かるあの歩道橋か・・・ 視線の元を振り返ると、醒めた眼が俺を射る。 「いつもここに居るんだね、スマホとタバコが必需品らしい」 一言も無しに立ち上がり、すれ違いざまにひと睨みして 駅の敷地を街に向けて出て行った。 (出直しだな・・・まあ1回目の clip はこんなもんだろう ジーンズに焦げ茶の半袖Tシャツ・・・タバコ好き、眼力強め) 高層ビルを避けた空に左の人差し指で字を書いて覚える。 「あんたの真似じゃない、俺もこれ癖なんだよ」 さっきまで座っていた場所に真新しい彼女の残像を描き出しながら 捨て台詞を吐いたが、言い訳になってしまった。 ( 相手はもういないっていうのに ・・・) ( さてと、シッティングブルでバーボン飲んで帰るか ) 久しぶりの小説、応援頂けたら嬉しいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[ライトノベル] カテゴリの最新記事
|