昭和のおっさん

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本「失われた時を求めて 6」プルースト

失われた時を求めて(6)――ゲルマントのほうII (岩波文庫)

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「私」はヴィルパリジ侯爵夫人のサロンで社交界デビューします。そこは実は3流のサロンで夫人の親戚の一流の貴族以外は2流3流のブルジョアなど雑多な人々が集っています。

読んでいると当時のフランスの様子がなんとなくわかってきますね。100年ほど前にフランス革命があり貴族の地位が下がり能力があり金持ちのブルジョアが力をつけて、というような。

サロンではそれぞれがそれぞれの立場で駆け引きしながら会話をする様子が面白いです。そしてその中でも当時の「ドレフュス事件という事件が大きな話題でもありそれぞれの立場を示して面白いところです。この事件は軍人のドレフュスがスパイ容疑で逮捕された事件なのですが、実は冤罪でドレフュスがユダヤ人なことから、つまり根はユダヤ人の差別問題なわけです。普通日本人が考えるユダヤ人差別というとドイツのホロコーストになると思うんですが、ああいったことも突然発生するわけではなく長い歴史があってのことなんですね。西洋人とユダヤ人の問題の根深さが少しわかるような気がします。

サロンの帰りにホモのおっさんに目をつけられたりしてちょっと面白いですがプルースト自身が同性愛者だったそうで、どんな気持ちでこういうキャラを書いていたんでしょう。

後半は「私」の愛する祖母が病が重くなり亡くなるまでを書きます。祖母が衰えていく様を克明に描きつつ周りに集う人々の様子の俗っぽさが面白く書かれています。

結論を言うと面白いです。最初のうちはちょっと不安でしたがどんどん面白くなります。と、次の7を手に取るとこりゃまた分厚いな。