東京ガスのCMのお話です。
 よく見るのがテレビ朝日土曜日朝9時半からの「食彩の王国」の中です。
 いくつかパターンがあるのですが共通テーマは「家族の絆」、頑張る子供(若者)に対する家族の思いやりの陰にガスがあるというストーリーです。中でも私が好きなのは「母のチーズケーキ篇」。まずは結婚式の披露宴でチーズケーキが出された場面から始まります。新郎が口にして「オヤっ!」という表情。その時新婦が起立してスピーチを始めます。実はこれは......。


 新郎の亡くなった母が生前まだ見ぬ新婦に宛てた手紙を新婦が朗読を始め、(CM上)途中から母の声に替わります。母から新婦へのお願いは、「息子イチローが大好きだったチーズケーキを結婚式で作ってほしい」というものです。そのチーズケーキはイチローが子供の頃から何かで頑張った時にいつもご褒美として作っていたものでした。

 イチロー君は取り立てて優秀な子供ではなく、少年野球ではバットとボールが大きくずれて三振、学芸会では炎の役に甘んじるなど、ごく普通というかむしろちょっとダメ少年。それでもいつも頑張っているんです。そして「また頑張ったね!」と家族でチーズケーキを食べます。「また頑張るからまた作ってね!」というイチローに、母は「何度でも」と応える。



 そして高校入試合格発表のシーン、ここでイチローからの合格を知らせる電話を母が布団の上で受けていて、病気である事を窺わせます。その後チーズケーキをみんなで食べるシーンで、父から「これやっぱり美味しいなー、イチローの結婚式で出したらどうだ?」という提案、イチローも母にお願いするが、CM冒頭の披露宴での「オヤっ?」という表情からすると自分がお願いした事は忘れていたよう。

 母からまだ見ぬ新婦に向けて書いた手紙には、「あなたにイチローが大好きなチーズケーキ作りを手伝って欲しいのです。息子との最後の約束を守りたいのです。」となっており、病気で自身の先が長くない事を悟り、大役を新婦に托したという事がわかります。母が遺したレシピに基づいて父と新婦がイチローには内緒でケーキ作り、そして披露宴に至ったというストーリー。

 このストーリーの展開、音楽、流れる雰囲気、そしてこのイチロー少年の不器用だけど一生懸命頑張る姿が好きで、いつも(内容は何度も見てわかっているのに)しっかり見ていました。残念ながら去年(2020年)の9月くらいで他のシリーズに代わってテレビCMではもう見れないのですが、YouTubeで見つけたので紹介させて頂きます。1分半の中にストーリーが凝縮されていて見応え十分です。

 他人との比較ではなくそれぞれ自分の人生を頑張る事が大事だと思い起こさせてくれるCMのお話でした。