小さなおはなし

ベッドタイムストーリーになるような、小さなおはなしを考えて行こうと思っています。

なぎさちゃん5さい、初めてのおつかい  by 弥生花音

2019-10-07 13:11:03 | 小さなおはなし
あるところに、なぎさちゃんという女の子がいました。

なぎさちゃんは5さい、幼稚園の年中さんです。

なぎさちゃんのママは、そろそろなぎさちゃんにおつかいをたのんでみようかしら、と思っていました。

というのも、なぎさちゃんの家は、商店街のなかにあり、おつかいはそんなにむずかしくなさそうだったからです。

その日、なぎさちゃんのママはロールキャベツを作ろうとおもっていました。

「なぎさ、やおやさんにいって、キャベツを買ってきてくれない?」

なぎさちゃんのママはいいました。

(キャベツ・・・うすみどりいろで、ボールみたいな形をしているやつよね)

なぎさちゃんは思いました。

「分かった、買ってくる」

なぎさちゃんは、150円と買いものバッグを持って、元気よくでかけました。

(キャベツ、キャベツ、似てるけど、レタスじゃなくて、キャベツ・・・)

心の中でなぎさちゃんはとなえながら、歩きます。

5分くらいでやおやさんにつきました。

「へい、らっしゃい!!なぎさちゃん、おつかいかな?」

やおやのお兄さんは元気に声をかけます。

「はい・・・うんと・・・なんだっけ。」

なぎさちゃんは、キャベツ、ということばをわすれしてしまったようです。

目のまえに、「レタス 135円」というねふだを見つけました。

(うすみどりいろで、ボールみたいな形をしていて・・・うん、これだわ)」

「レタス1こ、ください」

あらら・・・なぎさちゃん、似てるけど、レタスじゃなくてキャベツですよ!

「あいよ」

お兄さんは、レタスとおつりの15円をわたしてくれました。

「ママ、ただいま!レタス、買ってきたよ」

なぎさちゃんは、おつかいができたうれしさで顔を赤くして言いました。

(えっ、レタス?キャベツをたのんだのに・・・まぁ、いいわ)

なぎさちゃんのママは、すべて分かったように笑いました。

「ありがとう。これで、おいしいサラダをつくろうね。なぎさもレタスをちぎるの手伝ってね」

「うんっ」

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「ただいま~」

なぎさちゃんのパパが帰って来ました。

「おかえり~、パパ!」

なぎさちゃんとママが返事をします。

「今日は、ロールキャベツだったよなぁ」

つぶやいたパパに、ママが、しぃ~っ、のしぐさ。

「ロール・・・キャベツ?ハンバーグじゃなくて?」

なぎさちゃんが、ビックリして言いました。

「あっ、そうか・・・ママは、キャベツ、って言ったのに、なぎさがレタスを買ってきちゃったから・・・」

なぎさちゃんは泣きそうになりました。

ママが、やさしく言います。

「あのね、ママが言ったのは、たしかにキャベツだったけど、いちばん大切なのは、なぎさがお店でお買い物できたということよ」

ママがなぎさちゃんをぎゅっと抱きしめます。

「お手伝いしてくれて、ありがと、なぎさ」

「ママ、ありがと。ごめんね」

「おいしそうなハンバーグじゃないか。なぎさがまちがってくれたおかげて、こんなおいしそうなハンバーグ食べられるなんて、パパは幸せだな」

パパが言いました。

「パパ、サラダもほめてよ。なぎさがレタス、ちぎったんだよぉ」

なぎさちゃんがおちゃめに言います。

「うん、おいしそうだ。たべやすそうな大きさだな」

パパがなぎさちゃんを抱っこします。

なぎさちゃんの初めてのおつかいは、ちょっと失敗したけれど、おわりよければすべてよし。

今日の夕食のテーブルは、いつもにまして、おいしく明るく楽しいものになりました。


おしまい


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