鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「楽しい古事記」

2000年5月30日刊。1999年1月~12月まで「本の旅人」に連載されたもの。

阿刀田高の「ギリシア神話を知っていますか」(1981年)は新しい境地を開いたと思う。類似の本がいろいろ出るかと思ったが、類似の本を出したのは阿刀田高だけ(「アラビアンナイトを楽しむために」「旧約聖書を知っていますか」「新約聖書を知っていますか」等々)。彼ほどの博識と、分りやすく解きほぐして説明する能力があって初めて成し遂げられることであり、凡人にまねのできる芸当ではないということだろう。

それにしても日本の古典まで手を広げていたとは知らなかった。もちろん、古事記日本書紀も、タイトルは知っているが何が書いてあるか知らない。図書館で目にとまったので、読んでみることにした。

12章あるが、各章とも、古事記の内容をダイジェストして解説した部分と、エッセイの部分に分かれている。エッセイは、記事の内容に関係する土地や史跡を訪ねた時の様子を綴ったものである。これは面白い試みだと思った。

内容に関しては、実は大半の話は様々な形で伝え聞いていたものだった。日本の創世期から天皇の治める御代が確立するまでの「歴史」についてまとめた本ということは、神話をまとめたものだということだ。いや、古事記の内容が断片的に神話のような形で語り継がれてきたというべきか。なるほど、なるほど、いろいろなことが「つながった」気がした。

こういう「勉強」は近年とんとしていないが、漫画やドラマを見る面白さとは別種の刺戟がある。年々活字を読む体力がなくなってきているが、少しずつでも続けたい。



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