鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「推し殺す」2

  • カノンノ「推し殺す」2(バンチコミックス)

2024年10月8日刊。「くらげばんち」2024年1月号~7月号掲載。

三秋縁は石黒ナルミ先輩に、SNSでフォロワー数を上回ってみせると大言壮語を吐くが、そもそもSNS「ツイバミ」にアカウントを作ったばかりでフォロワー数ゼロからのスタートで、どうしたらフォロワーが増えるのか見当もつかないレベル。

しかし小松悠のアドバイスで「御影さんのおかげ」シリーズを継続してアップ、イラストレーターの人にRTされたのをきっかけに、徐々に知名度が上がっていく。

批判の中傷のコメントも目につくようになり、それをいちいち読んで落ち込んだりもするが、美術部の活動に参加させてもらいデッサンの練習をしたり、御影さんシリーズ以外の作品のネームを描いたりして、前に歩を進めて行く。

一方、石黒ナルミも、父親が人気漫画家で、父に対するコンプレックスであったり、かつてプロデビューした時に編集者に人格を否定されるような扱いを受けたことが傷になっているなど、ここまで決して順風満帆だったわけではないことも明かされる。

結局、三秋が宣言した期日までにフォロワー数でナルミを上回ることができず(というか1/10にも達せず)、結果は勝負にもならなかった、というところだが、ツイバミを初めて約一ヵ月でフォロワーが8,000人以上もついたのはすごいことだ。そしてとある出版社の編集者が三秋に目を留め……

漫画でもなんでも、それで世に出ようと思うなら、そして長く続けようと思うなら、絵柄にしても、ストーリー展開にしても、絵の「描き方」、プロになる道の作り方、すべてにおいて自分らしさを追求することが何より大切だと思う。下手に他人と張り合うと自分を見失う元である……と思うけれど、「具体的に目標を設定し、他人と競争して何がなんでも勝つ」ということができるようでないと、プロにはなれないかな。

三秋は、いろいろ不安なことはあるけれど、とにかく道を進みつつある。小松はどうする?