良血馬のG1制覇 ~エリザベス女王杯

今年のエリザベス女王杯は、かなりの混戦というイメージでした。それは古馬に中心となる馬がいないということが、一番大きかったと思います。

実績では無敗の3冠を達成した5歳馬デアリングタクトがNo.1であることは間違いないのですが、4歳春から5歳春の1年を怪我で休み、その後はデアリングタクトらしいレースを見せられていません。3冠レースで見せた粘り強さや息の長い末脚が、すっかり影をひそめてしまっているのです。
同じく古馬になってすっかり株を落としているエフフォーリアと同じエピファネイア産駒ということもあり、エピファネイアの子供たちは早熟ではという説もでていますが、あながち間違っていないのかもしれないと思わせます。
それでも1番人気に支持されましたが、中団から伸び一息で6着に終わりました。

続いて今年の秋華賞の1,2着馬が人気になりましたが、スタニングローズは秋3戦目というローテーションと、秋華賞がぎりぎりしのぎ切ったというレースぶりから、ナミュールはG1で勝ちきれないという勝負弱さから、いずれも中心とするには不安が残ります。
またこの10年で3歳馬で連対したのは6頭で、特にこの5年では2頭のみ。また秋華賞連対馬も最近は良績がないということも、3歳馬から入ることをためらわせました。
そして結果は、スタニングローズは好位につけたものの、4コーナー手前で早くも騎手の手が激しく動き14着と大敗。ナミュールは後方から脚を伸ばしたものの、やや離れた5着に終わりました。

そんな中、1番人気のデアリングタクトの単勝が4.3倍で、20倍以下が10頭という混戦を制したのは、4番人気(8.1倍)のジェラルディーナでした。
父はG1 6勝のモーリス、母はG1 7勝のジェンティルドンナという超良血ですが、2歳時はなんとか阪神JFに出走(7着)したものの、3歳時はクラシック路線に乗れず。条件クラスは3歳夏から秋に3連勝で突破したものの、オープン入り後は足踏みが続きます。
重賞に挑戦すること6度目の前走オールカマーでようやく重賞を初制覇。勇躍2度目のG1挑戦となっていました。

そのジェラルディーナですが、パドックではいつも激しく入れ込みます。今日も激しくクビを振って、チャカチャカと小脚を使い、発汗もすごいので、これで大丈夫かと思ってしまいます。
グリーンチャンネルでは、G1のパドックで前走との比較を見せてくれるのですが、前走のオールカマーよりも入れ込みが激しく、やはりG1の雰囲気では厳しいかと思わせました。

ところがジェラルディーナのすごいところは、あれだけパドックで激しく入れ込んでいても、レースではしっかり折り合うのです。今日も大外から出ると、テン乗りのC.デムーロ騎手はジェラルディーナを後方の馬群の後ろに誘導。まったく掛かることなく、後方から6,7番手の外を追走します。
4コーナー手前からポジションをあげていくと、直線は大外から脚を伸ばし、残り100mで前を行くウインマリリンをとらえると、1 3/4馬身差をつけて1着でゴール。

一時は母の域には遠く届かないかと思われていましたが、見事にG1ホースの仲間入りを果たし、両親の名前をさらにあげることになりました。名馬の仔、特に名牝の仔が出世することはあまり多くない印象です。最近では昨年の秋華賞を勝ったアカイトリノムスメが記憶に新しいですが、それに続く快挙となりました。

さすがに今から母の成績を超えることは難しいですが、それでもG1を勝つということはなかなかできないことです。2代続けてG1馬になったということで、牝系が長く続いていく可能性は期待できると思います。ぜひジェンティルドンナの子孫にふさわしい成績を残す産駒たちを残していってほしいと思います。

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