異例のローテーションでの勝利 ~天皇賞(春)

天皇賞(春)といえば平地では最長距離3200mのG1ということで、基本的に長距離が得意な馬の唯一の活躍の場となっています。以前は条件戦やOPでも3000m以上の長距離戦はいくつかありましたが、最近は少なくなって、G1の菊花賞、天皇賞(春)以外は、G2の阪神大賞典、ステイヤーズS、G3のダイヤモンドS、OPの万葉Sぐらいとなっています。(2021,2022年は3勝Cの松籟S、古都Sが3000mで施行)

そして天皇賞(春)でずっと言われてきたのが、それらの3000m以上のレースを連戦してきた馬は、本番でいらないということでした。
ちょうど天皇賞(春)にあわせて、前年の12月にステイヤーズS、当年の1月に万葉S、ダイヤモンドS、3月に阪神大賞典と、うまくスケジュールされているのですが、ほかの3000m未満のレースをはさまずに、これらのレースを連続して使ってきた馬は、どんなに好走していても、天皇賞(春)では上位に来られなかったのです。

その理由としては、おそらく長距離重賞はかなり体力を消耗するので、本番を迎えるころには体力的に消耗してしまっているということが考えられるのですが、はっきりしたことはわかりませんでした。
ただしかなり強力な傾向ではあったので、予想においてはたびたび利用していました。

この傾向にあらがって良績を残したのが、昨年3着に好走したシルヴァーソニックでした。シルヴァーソニックは、初めて走った重賞2021年のステイヤーズSで3着に入ると、そのあとは3000m以上のレースに出走し続けます。
ステイヤーズS、万葉S、阪神大賞典と3戦連続3着のあとの2022年天皇賞(春)では、スタート直後に落馬して競走中止したものの、ステイヤーズS、レッドシーターフH(ドバイ 芝3000m)と連勝して臨んだ昨年の天皇賞(春)では、3着を確保。ただし連対までは、残念ながらいきませんでした。

そして今年、3000m以上のレースを3連戦して出走してきたのが、最終的に1番人気となったテーオーロイヤルでした。
約1年ぶりの出走となった昨年のアルゼンチン共和国杯では10着に敗れたものの、ステイヤーズSで2着となると、ダイヤモンドS、阪神大賞典と連勝。特に阪神大賞典は先行して抜け出すと5馬身差の圧勝で、長距離での絶対的な強さを見せつけたのです。

しかし気になったのは、3000m以上のレースを連続して使ってきた馬が連対できないというジンクス。個人的にはその理由だけで、テーオーロイヤルの評価を少し下げてしまいました。
ところがテーオーロイヤルは好スタートから無理なく好位を取ると、折り合いに苦労する馬たちがいる中、前に馬がいない外目を走りながらも、しっかりと折り合います。4コーナー手前でドゥレッツァなどの騎手の手が動き始めても、テーオーロイヤルの菱田騎手の手はほとんど動きません。
ディープボンドと並んで先頭で直線に入ると、ディープボンドを競り落として、あとは後続を離す一方。最後は後方からブローザホーンがすごい脚で追いこんできたものの、2馬身差をつけて余裕の勝利を飾りました。

鞍上の菱田騎手、所属の岡田調教師もこれがG1初制覇となりました。
菱田騎手は派手な活躍はないものの、しっかり持ってくるイメージがあります。騎手を志したきっかけが、2004年のイングランディーレが勝った天皇賞(春)を見たことだったそうで、より一層感慨深いものがあったのではないでしょうか。

そして3000m以上のレースを連戦して天皇賞(春)を勝ったのは、2012年のビートブラック(ダイヤモンドS 6着、阪神大賞典 10着からの勝利)以来のことで、3連戦からとなると1991年のメジロマックイーン(嵐山S 2着、菊花賞 1着、阪神大賞典 1着からの勝利)以来33年ぶりの快挙でした。
これで来年以降はこのジンクスは使えなくなるのですが、傾向が変わるときというのは何らかのきっかけがあるもので、それはもしかしたら昨年のシルヴァーソニックだったのかもしれません。

そしてもう1つ気になったのは、最終的に2番人気(単勝倍率はテーオーロイヤルと同じ2.8倍)になったドゥレッツァの大敗でした。
菊花賞はとても強い内容で勝ち、全5・1・1・0の安定感や、パドックではクビを使って素軽い歩様でしっかり歩く様子がとてもよく見えたことから期待したのですが、4コーナーで手応えが悪くなると直線は下がる一方で、5.6秒差15着と大敗してしまいました。最後は歩くようにゴールしていたので、どこか悪くしていなければいいのですが。

また昨年のダービー馬タスティエーラも、大阪杯11着に続いて7着と完敗。今年の4歳牡馬はレベルが低いと言われていたのを、大阪杯のベラジオオペラの勝利で覆したと思っていたのですが、最後の大物と期待していたドゥレッツァの大敗で、認めざるを得ない状況になってしまいました。

今後安田記念、宝塚記念、さらに秋のG1においても、4歳牡馬の支持はかなり下がることになるでしょう。しかし重賞経験が1戦のみの4歳牡馬スマートファントム(14番人気)が、2番の上りで3馬身差4着に突っ込んできたように、4歳世代の遅れてきた新星が現れる可能性もあります。
何事も決めつけは良くないと毎回思い知らされているので、虚心坦懐で臨みたいと思います。

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