「介護の仕事は!」と言われてしまう理由

 自主的と言いながらも…

月1のペースで、こみちが勤務している施設でも「勉強会」が開催される。

講師を務めるのは、施設内で働く看護師や理学療法士、作業療法士だったりする。

勉強会に参加しない人は、レポートの提出が義務づけられているが、正直なところ不満もある。

今月の勉強会は、狙ったようにこみちの勤務日に重なっていて、視聴したのは3ヶ月ぶりくらいになる。

パワポで作った10ページ程度の資料を、パラパラとめくりながら説明が続くと言うスタイルだ。

正直なところ、「〇〇とは?」で始めてしまうと基本情報の羅列で終わってしまうことが多い。

折角、介護施設で働く現場スタッフを対象としているなら、教科書的な説明もいいけれど、もう一歩現場に踏み込んだ話に展開して欲しいと思う。

と言うのも、ネットで検索すれば見つかりそうな情報をリメイクすれば、資料としての完成度は高くなるが、その内容に目新しさは含まれない。

むしろ、「〇〇って言うんだ!」と感心してしまう初心者向けなら、それこそ対象とするスタッフを線引きするべきだろう。

時間にして1時間ほどであったが、一斉に集まって行うほどの内容だったかと言うと、そこは次回の検討項目になる。

ユニットケアとは何か?

介護施設を探してみると、「個室」とか「四人部屋」、さらには「従来型個室」や「ユニット」と言う区分に気づく。

これらは単純に入所した人が寝泊まりする環境を説明するものになるが、特に「ユニット」だからできる「ケア」には特別なものがある。

多くは10名ほどのグループを作り、中央部の広間の周辺部にそれぞれの個室が配置されている。

つまり、ユニットの場合には、限られた人数の利用者が顔を合わせるスタイルということだ。

一方で、料金面でお得な設定なのが4人部屋のような多人数で使う部屋割りで、しかもその部屋がいくつも並び、時に80名とか100名とか、それ以上の利用者が同じフロアを使う。

スタッフも固定されなくて、特定のスタッフが対応すると言うよりも、どこかの誰かがサービスを提供してくれると言う雰囲気になる。

それゆえに、大勢の利用者を対象としている場合には、どうしても個々の望みに則した対応は難しく、それを望むなら料金が高い「ユニット」を選ぶべきだ。

最も、ユニットで働くスタッフの教育にも配慮が求められる。

なぜなら、利用者が高額の料金を支払い意図を理解し、それに見合ったサービスを提供しなければいけないからだ。

しかし、そのためには技術面や接遇マナーなどで、しっかりとした教育が必要となる。

時折、スタッフ同士での会話に触れて、ユニットケアを本当に理解しているのか気になることがある。

とは言え、スタッフの月収を改めて考えても欲しい。

深夜帯を働く夜勤手当を月に数回こなして、月収20万円前半と言う金額は、流石に考えさせられる。

それこそ介護が好きと言う人でなければ、介護の仕事は苦労ばかりで終わってしまう。

そうならないためには、施設の運営方針を真剣に議論するべきだ。

案外、深掘りすると施設の介護方針にどこかで違和感を感じるだろう。

それはつまり、真剣に深掘りしていないからこそ露呈することだ。

一見地味でも、根付いたケアは評価される。

派手で人目を惹くケアは、インパクトこそあるがどこかで矛盾を招く。

その辺りがユニットケアの意図や目的を誤解してしまう怖さだろう。