以前、東北の地方の村に住んでいたことがある。
その時、何かの集まりで宴会に参加した、
宴会は村の公民館のような所で行われ、
和室の大広間に二、三十人ほど集まっていた、
宴会では、持ち寄った料理やツマミ、
それに、建物には立派な調理室があるので、
そこで調理したものなどが出された、
参加者は多種多様であったが女性も結構いたように思う、
村では農業を生業としている人が多いので、
四十前後の農家の主婦という呈であった、
男は、自分も含めてたわいもない話から始まり、
盛り上がって行ったわけであるが、
先の女性たちも決して話に加わらないというわけではなく、
宴会の陽気な雰囲気を壊さない程度に、
時々、ニコニコしながら話に加わると、
食べ物の無くなった皿を回収したり、
帰りに、新たな料理やアルコールを持ってきたりする、
宴会も終盤になると、
食べれる物は大皿に集約され、
テーブルの上もすっきりしてくる、
男は二、三人のグループに分かれ、
ぬるくなったビール片手に話し込んでたりする、
そして、宴もたけなわではございますが
と幹事が終宴を告げると、
男たちは腰を上げてトボトボと調理室に向かう、
使用した陶器の皿やうつわ、調理器具など、
すべて施設に備え付けの物なので、
洗って元に戻しておくことが、原則であり、
男衆もそのお手伝いに行くわけである、
しかし、調理室に入っていくと、
最後の皿のすすぎがちょうど終わった所で、
ほとんどの皿やうつわは、水を拭かれて、
元の棚に収まっており、
こちらは何もする事がない状態であった、
女性たちは、湯飲みでお茶など飲みながら、
少し赤くなった顔で、時々笑い声を上げつつ、
井戸端会議をしているわけである、
その時、なんて手際のいい人達だろうと感心した事を覚えている、
夫婦で参加した人達も複数おり、
お酒が入って少し砕けた旦那を叱咤し、
散会の挨拶をして、それぞれ帰路に着いていった、
自分は、
少しすっきりした気持ちで、
晩夏の田舎道を、帰って行ったのである、