小学生の頃、押し入れの中におもちゃ箱が入れてあった。電気で走らせる鉄道模型や操縦器等が入れてあり、時折、出してきては、軌道を組み立て遊んでいたわけである。そのおもちゃ箱は畳面と同じ下段にあったが、上段にも色々な荷物が入れてあった。その中に、一面が20センチほどの正方形で、長さが1mほどある段ボールの箱があった。家庭にある箱としては少し特殊であるが、いつも何が入れてあるのだろうと思っていた。ある時、両親がいない時に開けてみたわけである。

 箱は横置きされ、四つの長い面の一つが差し込み式となっており、容易に開けることができた。差し込み面を開けると、緩衝材のような保護材のような、柔らかい白い紙がびっしりと詰まっていた。それらを取り除いていくと、ファラオにご対面、というわけではなく、そこには、目にも鮮やかな赤茶色をした 埴輪があった。頰当ての付いた冑(かぶと)と甲(よろい)を身に着け大刀を装備した、所謂、挂甲(けいこう)の武人と言われる埴輪である。

 挂甲の武人も細かく見れば種々のタイプがあり、博物館等に展示してあるようなものはもっと大きく、草摺りの下端が張っている。家にあったものは、父がどこかで手に入れた小型の複製品か、現代の作家が、同武人のイメージで作ったテラコッタのようであった。後日、母に聞いてみると、もう一つ馬型の埴輪があるそうで、そういえば、帰郷した折、サイドボードの上にそれらしき馬があったような気がするわけである。人型の方は縦に長く、ちょっとした地震でも、倒れて壊れる恐れがあるので、出していないということであった。

 さて、挂甲の武人といえば、「大魔神」である。

(続く)