洋書コーナー

“The Plot” by Jean Hanff Korelitz

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⭐️⭐️(2つ星)

これは期待しすぎたために星2つになってしまいました。プロットという題名だけにすごいプロットなのだろうなと期待していたのですが、残念ながらなんともあまり満足できない結果に終わってしまいました。

こちらの本は2021年に出版された新しい本でブックチューバーのガビさんがオススメしていたので古本市で見つけた時に喜んで購入した作品です。

あらすじはデビュー作は売れたけどその後いい作品の書けていない作家が大学かどこかで小説家を目指す人たちのためのクラスを教えているのですが、そのクラスの一人がとても傲慢な生徒で自分の話は絶対にベストセラーになると言い、誰からのアドバイスも必要ないというようなことを主人公に言います。最初は絶対に物語の内容を話さなかった生徒ですが結局その生徒は主人公に自分が出版したい物語を話します。主人公はその物語に衝撃を受け、きっと数年後この本は出版されることになるだろうと心の中で思います。そして数年後、ふと思い出したこの生徒と物語について調べてみたところ、その生徒が亡くなっていたことを知るのです。主人公は生徒が死んだ今、あの話が世の中に出ていないということは彼が話を仕上げずに死んでしまったのだと予測します。そして自分でその話を書こうと考え始めるのです。

なぜ二つ星かというとプロットツイストが途中でわかってしまったのと全体的に作者の書き方が私に合わなかったという2点が致命的だったと思います。話が割とゆっくり進むのと共感のできるキャラクターがいないのとで話にのめり込むことができず、だらだらと読み終わるのに長い時間がかかってしまいました。そして個人的に文章がわかりづらいというか小難しい印象を受けました。

それから、サスペンスやミステリーを読む時に何が楽しみかってやっぱり『えっー!』と驚かせられるところが楽しみだと思います。それが先に予測できてしまうものだととてもがっかりしてしまいます。私でも予測できてしまったということはかなり明らかな書き方だったのではないか?と思ってしまいます。ミステリーならもうちょっと読者を騙しに行って欲しいと思います。(最近の読者はすごいどんでん返しを期待してしまっているので作家さんも大変だと思いますが。)

登場人物はそれほど多くないのですが、全てのキャラクターが好感度ゼロで、誰にも共感することができなかったのも低評価の一つの原因だと思います。ところで作中に白髪で長髪の美しい女性が出てくるのですが、本を読み終わった後に作者のインタビューを見たみたらなんと彼女が白髪の長髪で、もしかして彼女は自分をモチーフにしてこのキャラクターの外見を書いていたのかな?と思ってしまいました。

そしてこの本の中には主人公が書いた本も書かれているのですが、本の中に本が書いてあるというコンセプトは面白いなと思いました。しかし主人公が作中で衝撃を受けたそのお話は実際に本の中で読んでみると作中で表現されているほど世間が驚くような内容ではなかったように思い、それも残念でした。本当に驚くような内容なのだろうと期待していたので、期待はずれでした。

そんな期待外れなお話の中でも私が面白いなと思った部分は作家がどこからインスピレーションを受けるかそしてどこまでが許されてどこからが盗作になるのかという点でした。人から聞いた話を自分の頭の中で膨らませて小説を書くという行為はもしかしたら多かれ少なかれ世界中の作者がやっていることかもしれません。どんな作者だってみんなどこかからインスピレーションを受けているはずだし、それがどれだけ作品に影響をしているかによって盗作ともインスピレーションとも言えるのではないかと思います。そもそも盗作とはどうゆう行為を指すのか?という部分も微妙なのかな?と思いました。すでに誰かが書いていたものを全く同じか少し変えて書いたらそれは盗作になると思いますが、誰かから聞いた話を元に自分の想像力を使って書いた作品は盗作になるのでしょうか?例えば、昔の童話のRetellingなどは盗作とは言わないと思いますが、すでに書かれているものを題材に自分で色々付け加えて話を作っていくものだと思います。

本だけでなく、音楽や絵などアートに関しても盗作とそうではないものの区別がなかなか難しいと思います。アーティストは常に日々の色々な場面からヒントを得て、それは自分の作品に多かれ少なかれ影響しているものだと思います。それは故意だったり、または自分がそれを見たり聞いたりしたことさえすっかり忘れてしまっている過失である可能性もあるからです。本当に真似しようとして真似たわけではないけど結果的に真似のようになってしまった場合それを作った人は罪に問われるべきなのか?

真の意味での新しいものを作るということは本当に難しいことだと思います。いつの時代も真の意味で新しいものを作ってきた人は世間からおかしな目で見られたり、反対されがちだと思います。新しいものを作って世の中に出していくことは勇気の要ることだし、自分を信じていないとできないことだと思います。話が全く本から逸れてしまいましたが、過去にもそしてこれからも新しいものを作っていく勇気のある人々に感謝の気持ちを込めて今日の感想を終わりにしたいと思います。

最後にこの作品は面白い試みだと思いましたが、個人的にはあまり好きになれませんでした。もしかしたら自分が作家だったらもっと共感できるお話なのかもしれません。

2022年5月現在で私が調べたところまだ日本語訳は出ていないようです。

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