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“Things Fall Apart” by Chinua Achebe

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⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️(5つ星)

今回はアフリカ文学の名作としていろんな国の学校などでも読まれているというChinua Achebeの”Things Fall Apart”のご紹介です。この作品はChinuaAchibeのデビュー作だそうで、1958年に出版されました。実は20年以上前から一度は読みたいと思いながら本棚に眠らせており、その間に一度読まずに手放したりもしているのですが、去年の古本市で偶然見つけて、そろそろちゃんと読んだ方がいいかなと思って購入しました。200ページほどの短い本なので読み始めたらすぐ読めるかななんて軽く考えていたのですが、最初の半分ぐらい(Part One)がなかなか進まず、アフリカの名前になかなか慣れることができず、登場人物がごちゃごちゃになってしまったり、文化や習慣に関する言葉が理解できず、とても難しく感じました。本を読み終わる頃に最後のページが用語集になっているのを発見し、これに早く気がついていればもっと理解が深まっただろうにと後悔しましたが時すでに遅し。しかし、前半苦戦しながらも半分を過ぎて白人の宣教師が出てきたあたりからどんどん読み進めることができました。

あらすじはナイジェリアのIbo村に住む”強い男”Okonkwoを中心に繰り広げられるIbo村での伝統や習慣を通して語られるOkonkwoの一生のお話です。Okonkwoと父親の間の過去の葛藤やそれゆえ生まれるOkonkwoとその息子の間の葛藤。そしてある事件によって課せられたOkonkwoの人生の転機を得て、アフリカの村々にやってくるキリスト教の宣教師たちとキリスト教に改宗した村人たちそして昔の神々を信じて伝統を守りたい村人たちとの間に起こる摩擦などか書かれています。

星は5つです。最初は本当にDNFしちゃおうかなと思ったくらいですが、最後に読み終わった時にこれはたくさんの人に読んで欲しいというか多くの人が読まなければいけないお話なのではないかと思いました。私が特に考えさせられたのはキリスト教の宣教師たちがアフリカの村々にやってきてキリスト教の教えを説き、信者を増やし、果てには自国の政治まで持ち込んで村をどんどん変えていくところがなんとも言えない感情を引き起こしました。

先進国と言われる国に住んでいる人たちは(きっと私も含めて)先進国と呼ばれていない国々に対してもっとこうしたらいいのにとかこれを取り入れたらもっといい生活ができるし、国としてもよくなるんじゃないかとか勝手に思いがちですが、その国や村にとって何が本当にいいことなのかは他の国の人が決めることではないのではないかという思いも湧いてきました。もちろん新しい技術を取り入れたり、いろんなことを便利にしていくことはいいことのような気もしますが、それによって失われていくものも大きいのではないでしょうか。

他国などに新しいものを取り入れる時は慎重に行うことが重要だと感じました。本に出てくる宣教師はIbo村の神々を否定し、彼らの信じている神々は間違っていると説きます。そして自国のルールを取り入れて村を変えていこうとします。宗教の話はいつでもとても難しく、人それぞれ自分の神を心から信じているからこそ他の神を否定してしまうことが多いと思います。他の神や宗教を否定する人たちはもしかしたら本当に他の人たちの為を思って説教をしているのかもしれませんが、自分の正義が絶対と思うのはとても危険なことだと私は考えます。私からみて明らかに間違っていると思われることももしかしたらその(私が思う)間違ったことをしている人にはその人なりの理由があるのかもしれないし、育ってきた環境により何が正しく何が間違っているかは変わってくるのだということを常に心においておきたいと思いました。

この本の主人公であるOkonkwoはあまり好感の持てるキャラクターではありませんが、話を読み進むうちに彼のことを少しづつ理解できるようになり、個人的には最後の方は彼に共感する部分も出てきている自分に驚きました。

またこの本を通してナイジェリアの小さなこの村の習慣などを知ることができたのも良かったと思います。今の時代から考えるとこの村で行われているいくつかの習慣はおかしいと思うものも多々ありましたが、そうゆう疑わしい習慣や伝統も含めて興味深いと思いました。

アフリカの文学は今まであまり読んでこなかったのですが、これを機会にもっと幅広い作品に挑戦していきたいなあとつくづく感じました。一言にアフリカといっても広いので国によって違いもたくさんあるだろうし、例えばナイジェリアもアフリカだけどモロッコだってアフリカだし、文化や習慣も全く異なるだろうし、アフリカ文学と一言で括ってしまうのもよくないなと自分で書いておきながら思いました。

この本を課題本とする学校も多々あるという話を聞き、それはとても良いことだなと思いました。このお話はたくさんに人に読んで色々考えて欲しいなと思った作品でした。いつかまた(今度は用語集を見たり、予習をしたりしながら)読み返してみたいなと思います。

ちなみに日本語バージョンも出ているようです。日本語版の題名は『崩れゆく絆』という題名で出ています。

20年以上読みたかったこの作品、やっと読み終えることができて良かったです。皆さんも是非読んでみてくださいね。

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