徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

お知らせ

アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

青天を衝け 第12話「栄一の旅立ち」

栄一、平岡円四郎にスカウトされる

 栄一がついに血洗島から京に向けて旅立ちます。こうして栄一達が天下に向けて羽ばたいていく・・・と言えば聞こえが良いですが、実際はあの雑極まりない計画が漏れた危険があるので、京に向けて遁走したというのが実態です。

 栄一達は江戸に行ったようですが、そこで慶喜配下の平岡円四郎にスカウトされる。まあ慶喜の家臣は彼しかいないみたいな状況ですから、明らかに人材不足でしょう。にしても、一橋家の家臣が江戸市中で農民をスカウトするか? まあ正史でも栄一は円四郎の手引きで京に行けたらしいから、それまでに円四郎と接触していたのは事実だったらしい。となると円四郎はめぼしい奴には次々と勧誘をかけていた可能性がある。まるで自衛隊のスカウトである。

 で、その円四郎は命を狙われているという話がありましたが、実際に円四郎は最後はテロで命を奪われるようです。まあジョーイの巨頭である斉昭の息子だけに、慶喜の本意は攘夷にあると下が勝手に忖度していたのだが、慶喜は「攘夷なんて日本の実力で出来るわけないじゃん」と攘夷に動く気配が微塵もなかったので、下の連中が「これは君側の奸たる平岡円四郎が慶喜の意向を歪めているに違いない」と勝手に暴走したという展開です。まあいつの時代でもそうですが、テロに走るような輩は視野が著しく狭いので、往々にして自分に都合の悪い現実は直視せず、現実の方を自分の妄想に合わせて歪めようとするものです。で、円四郎はその犠牲になったと。

 

雑なテロ計画は長七郎に完膚なきまでに否定されて頓挫

 で、バカ兄貴の雑なテロ計画ですが、京に行って世の中の現実を散々見てきた長七郎によって完膚なきまでに否定されます。一言で言えば「こんな雑な計画は成功するはずもなく、単なる犬死になる」という単純明快なもの。栄一は「自分達が挙兵すれば、それに呼応する奴らがいくらでも出てくる」などという根拠なき楽観論を掲げてましたが、んなことは起こるわけもないのは分かりきったこと。長七郎に「薩摩はイギリスにボコボコにされて攘夷を捨てたし、京でも攘夷派の公家達が天皇の意向で追放された」なんて最新の状況を教えられたら、情報から孤立している田舎者としては「あれ?攘夷派って知らない間にすごくヤバい状況になってね?」って考えざるを得ないというところ。

 まあここで長七郎の説得を振り切って実行していたら、見事に栄一達は犬死にして「大河ドラマ 渋沢栄一 完」でした。長七郎のおかげです。もっとも長七郎にしたらこれは現実に完全にうちひしがれた大きな挫折であり、これはどうも彼のメンタルによろしからぬ影響を与えたのか、後に乱心したのではと言われる事件を起こし、実際に最後は病死なんですよね。何となく既にメンタルが危険な兆候は現れていたようだが。栄一とは対称的に不幸な結末を辿る人物です。

 結局は計画断念に至るわけですが、栄一達はとにかく派手にやり過ぎたので役人に目をつけられている可能性が高く、結局は京都に逃走することに。栄一の自白に「そんなアホな計画を考えていたのか」といささか呆れた感のある親父ですが、どうやら自身も過去に厨二な黒歴史を持っていたらしき親父は、栄一に金を渡して逃走を援助。やっぱりなんだかんだで本質的には甘い親父です。にしても実際は一番災難なのは嫁です。現実に栄一はこの後も散々に嫁を泣かせる模様。

 で、栄一厨二テロリスト編は終了、次回からは京都編に突入とのこと。そしてその後は「テロリスト、幕臣になる」で、「気がついたら明治になっていた」って展開か。それにしても北大路欣也の無駄遣いはまだやってるのか? いよいよもって登場意味が不明になってきているが。

 

次話はこちら

www.ksagi.work

前話はこちら

www.ksagi.work