徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

ベルリンフィルデジタルコンサートホールでバレンボイムのブラームス

仕事復帰に備えて体調回復を

 長いようで短かったお籠もりGWもいよいよ今日で終わり、明日からはまた仕事である(極めて気が重い)。と言うわけで体調回復を兼ねて(?)休み最終日の今日はやはりライブ配信を楽しむことに。

 以前に1年契約をしたベルリンフィルデジタルコンサートホールの最近のアーカイブ公演を聴くことにした(やはり元を取らないといけない)。今回はバレンボイム指揮でプロンフマンと共演したブラームスのピアノ協奏曲第1番に同じく交響曲第1番というやや重厚なプログラム。交響曲第1番はブラームスの中では私も結構好きな曲ではある。

 にしてもドイツの感染状況もまだあまり良くないのか、どうやらホールに観客を入れずに行われた演奏の模様。ベルリンフィルも一時期はホールに観客を入れたコンサートを再開していたのだが、再びそれが不可能となってしまったようである。まあそれでもベルリンフィルクラスになると、このデジタルコンサートホールのような稼ぎを出す方法があると言うのはさすがに強い。他のオケは無料ライブ配信だとそれなりの視聴者が集まるようだが、やっぱり有料になるとハードルが上がるという現実があるとか。まあ確かに私も時々聴いているバリ管やミュンヘンフィルにコンセルトヘボウにサンクトペテルブルクフィルなどが全部有料になったらとても払いきれないし、国内のオケで「一公演1000円」と言われると結構ハードルが高いのが本音。

www.digitalconcerthall.com

 

ベルリンフィルコンサート(2021.4.24)

指揮:ダニエル・バレンボイム
ピアノ:イェフィム・ブロンフマン

ブラームス ピアノ協奏曲第1番ニ短調
ブラームス 交響曲第1番ハ短調

 いきなり大がかりで大仰な曲であるが、ここでのブロンフマンのピアノは壮大で華麗と言う言葉に尽きる。堂々たる音楽というのはこういうのを言うのだろうか。そもそもあまり細かい統制をかけずにオケを豪快に鳴らすバレンボイムのバックの元で、いかにも大がかりでいて煌びやかな演奏を繰り広げる。第一楽章などはビンビンと伝わってくるそのパワーに圧倒されてしまった。

 第二楽章になると静かな曲調になるのだが、それでもブロンフマンのピアノは相変わらず豪華な雰囲気を湛えている。速度の速い最終楽章になるとそのまま華麗に颯爽とした演奏。最後の最後までひたすらゴージャスという演奏であった。

 後半の交響曲第1番は、やはりバレンボイムらしいと言うか、冒頭から緊張感のようなものはそんなに強くなく、オケを太く鳴らさせるというイメージ。この辺りは基本的にテンションが高い演奏を好む私としては、どうしてもややぬるく感じざるを得ないところである。

 基本的に細かいことは言わずに抑え目のテンポで太く綺麗に鳴らさせる演奏である。さすがにベルリンフィルだけあって時々ハッとするぐらいに綺麗なシーンはあるのだが、どことなくサラッと流れて何も残らないというきらいがある。その辺りが極めて残念。それなりにスケールの大きな演奏ではあると感じるのだが、その大きくなったスケールが、そのまま核のないままに拡散したという印象がある。これはあくまで私の趣味の世界ではあるのだが、この曲はもう少しいろいろと刺さってくるものがあっても良い気がする。全体的に柔らかくて角が丸まりすぎているように感じられた。