徒然草枕

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青天を衝け 第29話「栄一、改正する」

栄一が改正掛で暴れ回る

 今回は完全に「栄一、吠えまくる」です。強引に改正掛を結成させた栄一は音頭を取って日本の諸制度を構築するために奔走しております。密かに郵政の父・前島密なんかも登場してましたが、彼って一番最後の瞬間を見届ける場にはいなかったのか。それは知らなかった。それでよくまあ名前が残ったものだ。

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 もっとも栄一は幕臣の上に農民の出ということで白い目で見る輩もいた模様。しかし「仕事が出来る」というところを見せつけて無理やりに納得させてしまった。口八丁手八丁の栄一の真価の見せ所です。そもそも静岡でも「商人なんかと一緒に仕事が出来るか」といっていた幕臣連中を無理やりにコンパニーに関与させてしまった男ですから、こういうのは慣れているということのようだ。しかし静岡からも結構人材引き抜いたようなんだが、コンパニーの方は大丈夫なのか?

 そしてさらにはあの馬鹿兄貴も呼び寄せたか。あの馬鹿兄貴、社会変革をやらせたら使えない奴だったが、養蚕をやり出したら意外に有能だったという。要するに根っからの百姓か? 養蚕の専門家ということでフランスからの技師と面会させていたようだが、結局は彼はその後、富岡製糸工場の所長になるんですよね。

 

 

栄一の前に立ちはだかる陰険大久保利通(しかしどうせすぐ死ぬ)

 しかし改正掛で暴れまくっている栄一を苦々しく眺めていたののが大久保利通。新政府の中心人物ですが、バリバリの薩摩原理主義者ですから。渋沢が農民の出ということは、大久保自身も農民とレベルの変わらない下級武士の出身なので大して差はないのですが、やっぱり元幕臣に好き勝手されるのは気に入らないんでしょう。それにいきなり「このままだと新政府は倒れる」とそのものズバリの一番痛いところを突かれたし。どうも本格的に栄一に対して嫌がらせをしてくる模様。にしても、このドラマは栄一の前に立ちはだかる奴は、とことん陰険で器が小さく描くな。この大久保も新政府の功労者とは思えないほどの器量の小ささだ。

 とは言うものの、実際には大久保は栄一なんかに構っている余裕はないでしょう。この頃は西郷が薩摩に戻って不穏な情勢になってましたから。岩倉具視までが「このままだったら建武の新政の二の舞になりかねない」って言ってましたが、実際に新政府は全く回らず、世の中に不平士族が満ち満ちているわけですから、西郷が彼等を率いて上京してくるなんてことになれば、まさに建武の新政のごとく新政府は倒れて、西郷幕府の成立なんてことさえ可能性はないわけではなかったですから。もっとも西郷にはそんな気は微塵もなかったでしょうが。

 結局はこの後は新政府と西郷の戦争になります。そして盟友・西郷を殺してしまう大久保ですが、その後に彼自身もテロで倒れることになります。とにかく新政府はドタバタしてます。栄一は「銀行をどうする」と騒いでましたが、結局は銀行を作った時点で、愛想を尽かして新政府からは離脱して民間で活躍することになるはず。

 

 

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