徒然草枕

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白鷺館アニメ棟

復帰第一弾は東響のニコ生配信でオルガン付き

ようやく復帰です

 不覚なことに、先週末に体調を崩して(夜中に猛烈な吐き気と下痢に苦しめられた)そのまま二日ほど寝込んでしまった。時節柄コロナも疑ったのであるが、その後も発熱及び咳は一切なく、どうやら別の病気だった模様。とりあえず週の半ばには一応の回復はみたのだが、その後も気力が全く続かない状態になってしまって、仕事に出ても3割運転ぐらいの体たらく、帰宅すると何も出来ずに横になっている状態で、しばらくブログの方も生死不明になってしまっていた(実際に突然に一切更新が止まったから、コロナで死んだと思った人もいるかも?)。

 この週末になってようやく娑婆に復帰したのだが、未だに体調はボロボロだし、近畿圏はコロナの大流行でとんでもない状態だしということで、この週末に予定していた大フィルと京都市響の定期演奏会の連チャンはキャンセル。と言うわけでこれだけでいきなりチケット代1万円超の損害、さらに来月の九州交響楽団も遠征断念なのでこれに関連して1万円弱の損害と財政的にも精神的にも挫けそうである。

 という状況でボチボチとブログの更新をと思っていたら、Twitter経由で東京交響楽団のライブがニコニコ動画で配信があるとの情報が飛びこんできた。そこで開演時間を少し過ぎていたが視聴。例によって固定カメラ映像を選択、コメントを目で追ったら吐き気がするのでコメントオフ設定である。

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東京交響楽団名曲全集第173回

指揮:ユベール・スダーン
チェロ:上村文乃
オルガン:大木麻理

サン=サーンス : チェロ協奏曲第1番 イ短調 op.33
サン=サーンス : 交響曲第3番 ハ短調 op.78 「オルガン付き」
オッフェンバック ホフマン物語」より「舟歌」

 私が視聴を始めたときには既にチェロ協奏曲の最中であったが、上村の堂々たる演奏に「はて、この曲ってこんなに格好良かったっけ?」と驚いた次第。この曲を聞くのは全くの初めてではないはずなんだが、こういう印象の曲というイメージはなかった。とにかく上村のチェロの音色が太いので、それが「格好良い」という印象につながっているようである。

 20分の休憩の後(画面の前だと結構長い)、始まったのはサン=サーンスでは一番有名ではないかというオルガン付きである。さてこの曲は冒頭から揺らめくようなさざめくような旋律の積み重ねが特徴なのであるが、どうも初っ端からその響かせ方がスダーンはなかなかに個性的なようである。基本的にはかなり低重心のバランスで、さざめくと言うよりも丸ごとの音の塊としてぶつけてくる印象。そのためにいささかまとまりを欠くような風にも聞こえる。

 そのまま突入した第二楽章は非常に淡泊な印象。ここでは各楽器の音色にかなりニュアンスを含める演奏も多いのだが、その辺りのニュアンスはスダーンと東響の演奏からはあまり感じられない。音をそのまま出しているという印象。

 続いての第二部は冒頭から抑制がかかっていて乱痴気騒ぎにはならないのはスダーンたる所以か。もっともそれは良いのだが、もう少しピリッとした緊張感も欲しいと言う気もしないでもない。それは後半のややアップテンポの第四楽章も同様。何となく音楽が淡々と進んでいくという印象。

 

 

 正直なところ、最後まで「ちょっと違うな」という印象がつきまとったのは事実。ドイツ・オーストリア系の作曲家と違ってフランス人であるサン=サーンスの音楽は、もう少し煌めきとか艶めかしさのようなものが欲しいなと言うのが私の正直な感想。スダーンの演奏は妙に淡泊というか、古典音楽を聴くような印象で戸惑いが結構あったことが否定できない。

 なおアンコールとしてオッフェンバックの「舟唄」があったのだが、これの方がチャーミングで美しいニュアンスのある演奏で明らかに私好み。やはりフランス系の音楽(オッフェンバックはドイツ生まれらしいが)はこのキラキラネットリ感が欲しい。


 それにしてもこの曲は音響システムにかなり過大な要求をする。私のPC用の小型スピーカープラスローコストサブウーファーの組み合わせではパイプオルガンの本当のサウンドを再現するのは到底不可能である。もっともそもそもの配信データ自体が既に音量的に飽和している感があった。PC環境という制約がある以上、これはあい仕方ないところでもある。

私のPCサウンドシステムについては以下の一連の記事で紹介

www.ksagi.work

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